実践重ね知識を知恵に
園田学園女子大学

実践重ね知識を知恵に

園田学園女子大学は人間健康学部(総合健康学科、人間看護学科、食物栄養学科)と人間教育学部(児童教育学科)、短期大学部(生活文化学科、幼児教育学科)を擁し、地域の「地(知)の拠点」としての役割も果たしている。教室で学んだ知識が地域や社会でどう生かされるかを実感できる「経験値教育」の場がふんだんに用意され、学生の人間力を高め、社会で生き抜く力を養っている。

地域課題を調査、研究

「経験値教育」自己評価など指標化

尼崎の森中央緑地で生き物のつながりを楽しむ環境学習(つながりプロジェクト)=県立尼崎の森中央緑地パークセンター 園田学園女子大学では、教室で学んだ理論をもとに社会で実践することで知識を知恵に変える力を付ける「経験値教育」を重視し、学生の成長に結びつけている。
全学部学科2年次の必修科目となっているのが課題解決型科目「つながりプロジェクト」だ。340人の学生が学部学科横断のメンバー構成で22チームに分かれ、尼崎市および近隣が抱える課題の調査・研究に当たっている。また、地域に入り込んで土地の歴史や文化を生かした活動にも取り組んでいる。高齢化のため解散の危機に直面していた近松応援団の活動を引き継いで近松門左衛門の人形劇を大学のクラブ活動として行ったり、人気アニメ「忍たま乱太郎」の主人公の名が猪名寺乱太郎であることにちなみ、猪名寺地区で子どもたちに忍者学校の授業を行っているのもその一環だ。また、今後は広く県内にも課題解決の場を広げ、昨年新たに香美町に整備したサテライトスタジオを拠点に、現地の民家に宿泊し高齢者と交流する事業もスタートする予定。

子どもたちと一緒に庄下川の生物を観察 こうした経験の中でどれだけ人とのつながりができたかを数値化するとともに、自己評価と地域の人や教員からのコメントなどを通じ、「自分で学ぶ」「気づく」「考え抜く」「コミュニケーションをとる」「協働する」の5項目について指標化し、自身の成長をわかりやすく把握できるようにしていることも経験値教育の特長だ。
同大学ではこれまで39年間にわたって公開講座などを通じ、地域で学び続けたいと考えている住民らに生涯学習の場を提供してきた。そんな中、「つながりプロジェクト」などを担当する地域連携推進機構と総合生涯学習センターが今年4月に統合し、新たに社会連携推進センターとして衣替えした。今後は、学生が学外に出て行くだけでなく、学内に来る地域の人たちとの交流の場を増やしていくことも考えているという。同センターの松葉真所長は「学生がさらに豊かな経験ができるよう、大学と地域、社会を橋渡しする役割も強化していきたい」と話す。

充実の海外研修、留学

NZの大学内に宿泊施設も

ニュージーランドでケーキ作りを習う製菓クリエイトコースの学生ら=クライストチャーチ 国際交流センターでは、ニュージーランド、オーストラリア、フィジー、インドネシア、台湾、韓国、中国の7大学と提携し、2週間程度の短期から1年間の長期までの海外研修、留学プログラムをそろえている。
1980年代にオセアニア地域の大学と学術交流の協定を結んだことを契機に、ニュージーランドのカンタベリー大学内に宿泊施設が整う「そのだクライストチャーチキャンパス(SCC)」を開設。毎年春と夏に3週間の研修を実施しており、これまでに延べ1200人の学生が参加している。

スマホで気軽に留学情報・動画が見られる SCCでは全学部全学科の学生が誰でも参加できる普遍的なカリキュラムとは別に各学科の学びを深める専門プログラムの充実を図っている。食物栄養学科、短期大学部生活文化学科製菓クリエイトコース向けでは、地元の市場見学やパン作り体験、製菓体験などを通じて日本とニュージーランドの食文化の違いなどを学べる内容となっている。人間看護学科向けでは、病院見学や助産師セミナー、保健所セミナーなどがカリキュラムに組み込まれている。また、来春には児童教育学科、幼児教育学科の学生を対象に現地の幼稚園、小学校を訪問するプログラムも始める。
国際交流センターの村端慶治所長は「それぞれのプログラムには現地の学生との交流の機会や学生たちだけで街を巡る機会も設け、学生たちの主体性を育む貴重な機会になっている。それぞれの研修、留学に参加した学生のフォトブックや動画を載せた特設ホームページも開設し、さらに多くの学生に参加を呼びかけていきたい」と話す。

伝統誇るスポーツ校 駅伝競走部を新設 来年度はバドミントン部も

今年創部した「駅伝競走部」は部員7人でスタート。関西の大会で上位進出を狙う 体育会系クラブの活躍は園田学園女子大学の伝統で、「スポーツが盛んな大学」として知られる。この1年間も各クラブの選手たちが全日本クラスの大会で顕著な成績を収めた。
一昨年に全日本大学女子選手権で優勝した名門のソフトボール部は昨年惜しくも準優勝に終わった。1970~90年代に大学王座決定試合15連覇を果たすなど、名門の伝統を持つテニス部では、小池颯紀(さつき)選手(総合健康学科3年)が、昨年の関西オープン選手権シングルスで優勝したほか、全日本室内選手権大会でベスト8に食い込んだ。
また、陸上競技部では那須眞由選手(同4年)が今年の兵庫リレーカーニバルの棒高跳びで優勝した。
本年度、新たに創部されたのが駅伝競走部だ。陸上競技部で長距離を走る学生に新たに駅伝強豪校から入部した4人の新入部員とあわせて7人でスタート。まずは関西の駅伝大会で上位進出を狙う。また、来年度からはバドミントン部も創部する予定。スポーツ振興センターの板谷昭彦所長は「着実に実績を重ねていき、SONODAの名前がより広まることになれば」とその効果に期待を寄せている。
このほか、強化クラブであるバレーボール、バスケットボール、剣道や、ラクロス、チアリーディング、軟式野球も盛んだ。

学長に聞く

社会で生き抜く力培う

川島明子学長
―大学の理念は。

本学は1938年、地域社会の女子教育に貢献することを目的に、他者への思いやりを意味する「捨我精進」を建学の精神として開学しました。「経験値教育により、他者と支えあう人間を育成する」を教育理念とし、学内外でのさまざまな活動を通して失敗と成功を繰り返すなかで、社会でしっかりと生き抜くことができる自信をつけてほしいと考えています。教職員と学生の距離が近く、教職員が学生一人一人に寄り添い、共に歩むことで結ばれる絆の深さも本学らしさといえます。

―教育の特長は。

「経験値教育」です。教室で学んだ知識が社会でどう生かされるかを実感する具体的な経験を重ねることで、「生きる力」や「知恵」に変えていく学びです。その取り組みの一つが2年次の必修科目「つながりプロジェクト」です。尼崎市を中心とした近隣地域をフィールドに、地域の課題解決を目指す取り組みを通じて地域創生に貢献できる人材として成長し、また学部・学科を超えたチーム編成により多職種間協働の大切さを学ぶ機会にもなっています。

―地域に根差した大学として役割を果たしています。

本学では「学び続けたい」という気持ちを持つ多くの方々に、約40年の歴史を持つ公開講座やシニア専修コースなどさまざまな学びの場を提供しています。本年4月には、既存の総合生涯学習センターと地域連携推進機構を融合し、社会連携推進センターを発足しました。これからも教育、研究、社会貢献を通じて、地域とともに歩み、地域の活性化と課題解決の知の拠点となることで、「経験値教育」をさらに進化させていきたいと考えています。

在学生からのメッセージ

リトミック資格取得へ

人間教育学部 児童教育学科4年 和田ゆかりさん(21)

幼稚園の先生を目指しており、他大学にはないリトミック(リズム運動法)の資格が取得できる園田を選びました。所属しているわらべ歌のサークルでは100人近い学童への指導を通じ、どうしたら子どもたちが話を理解してスムーズに動いてくれるかが学べる貴重な機会になっています。学内の実習支援室は教材が充実し、何より親身になって私たちの話を聞いてくださる先生がいます。実習で困ったことがあればすぐに相談に乗ってくださり、とても居心地の良い場所になっています。

大学概要

住所 尼崎市南塚口町7の29の1
アクセス 阪急塚口駅徒歩10分、阪神尼崎駅から阪神バス13系統阪急塚口行き(11分)南塚口町1丁目下車すぐ、JR立花駅から阪神バス14系統阪急塚口行き(7分)園田学園女子大学下車すぐ
学部(本年度定員) 人間健康学部総合健康学科95人、人間看護学科80人、食物栄養学科80人、人間教育学部児童教育学科95人、短期大学部生活文化学科90人、幼児教育学科120人
教員 教授47人、准教授36人、講師5人、助教14人、助手11人
在学生 1627人
ホームページ http://www.sonoda-u.ac.jp/

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