神戸親和女子大学は文学部(総合文化学科)と発達教育学部(児童教育学科、心理学科、ジュニアスポーツ教育学科)、通信教育部、大学院文学研究科で構成される(2019年度4月1日入学者が対象)。各学科での専門的な学び「オンキャンパス教育」で知識を得て、学外活動などの「オフキャンパス教育」で実践教育を重ねる。各種団体と連携して積極的なボランティア活動を支援するほか、海外での研修やインターンシップの充実ぶりや質の高さが際立つ。学外での成功体験を積み重ねると同時に、一人一人に寄り添う学内での学びを通じて、学生が自信をつけ花を開かせる親和の教育への評価は高く、その成果が高い就職率に表れている。
学生が実習以外で小学校や幼稚園を訪れ子どもたちとふれ合う「学校園ボランティア」。現在19の教育委員会と協定を締結
学外で実践経験を積む「オフキャンパス教育」の中でも、神戸親和女子大学らしい特長的な取り組みが、サポート体制が充実しているボランティア活動。教員や保育士への就職実績に秀でた同大学の強みを生かして、「学校園ボランティア」では教職課程・実習支援センターが県内を中心に19の教育委員会とボランティア協定を締結。教員採用試験を目指す児童教育学科の学生の参加が多く、実習以外に教育現場で子どもや現職教員と関わる機会を増やすことで、子どもへの接し方や同じ目線で考える力をつけていく。
カナダの子どもたちにダンスを披露する学生ら。国際感覚とコミュニケーション力を身につける=ウィルキンソン公立学校
また、地域連携センターが各種団体と連携してより広い分野で多様なボランティア活動を支援しており、2017年度に同センターが派遣した学生の延べ人数は全学生数の約1800人を上回る2061人。学内行事や大学がある神戸市北区のイベントをはじめ、神戸マラソンや東日本大震災の被災地などでは毎年多くの学生がボランティア活動に励んでいる。「学校園ボランティアをはじめ派遣先からの評価は年々高まっている。本学には先輩から後輩に伝える姿勢が伝統的にあり、現場で経験を積むことの重要さが共通認識となっているのだろう」と須郷陽治・地域連携センター事務室課長。
もう一つのオフキャンパス教育の特長が、盛んな国際交流だ。多文化共生のカナダ・トロント大学付属小学校などで子どもたちに日本文化を紹介する授業などを行う「海外教育実地研究」や、イタリア・ミラノのモンテッソーリ認可幼小一貫校でイタリアの保育法のほか本場の芸術に触れる「海外芸術・教育研修」をはじめ、海外の心理学やスポーツ教育について学べる海外研修など17プログラムを用意し、目的に合わせたプログラムが選択できる。
子育て支援ひろば「すくすく」。平日は毎日開放、子どもたちと保護者が楽しめるプログラムを学生が実践
学内の「オンキャンパス教育」と融合した教育戦略も高い評価につながっている。学生が実習以外で身近に保育を体験できるようにと、学内に設置し平日は毎日開放している子育て支援ひろば「すくすく」。幼稚園教諭、保育士志望の学生が週1回親子を対象にした遊びのプログラムを担当し、授業で学んだことを実践して力をつけている。開設から10年間で受け入れてきた親子は地域住民を中心に約5万4千人にのぼり、常駐の保育アドバイザーが子育て相談にも応じて地域に貢献している。「学生が机上での学びを実践として試み、それを親子で喜んでもらうという、良い流れができている」と児童教育学科の佐藤智恵副学科長。学生にとって、実習では経験できない保護者対応が学べる点も大きいという。
しなやかな感性と力強さを備えた女性スポーツ指導者を養成する「ジュニアスポーツ教育学科」
社会の要請に応える形で、2019年度の入学生から2学科で定員増を実施。児童教育学科の定員は195人から215人に。また、保育士養成定員も20人増え(計画中)、県内の4年制女子大学では最多の150人となる。「近年の保育現場における深刻な人材不足と、先生を目指す多くの人々に貢献したい」と児童教育学科の古川知子学科長。
保健体育教員をはじめとした女性スポーツ指導者を目指すジュニアスポーツ教育学科の入学定員も60人から80人に増員。「女性指導者が少数にとどまり、不正や暴力問題が後を絶たないスポーツ教育の世界において、しなやかな感性と力強さを備えた女性スポーツ指導者を増やすことが国内外で求められている」(中瀬古哲・ジュニアスポーツ教育学科長)と考え、学科誕生の10年を機によりスポーツ指導者の育成に力を入れる。
その一つの学びの場となるのが4月に開設したNPO法人「親和スポーツネット」。地域のスポーツ人材と住民の間をつなぐ役目を大学が担い、公開講座やスポーツ教室などに学生が積極的に関わって地域に貢献すると同時に学生自身も経験を積むことを目指す。
教員採用試験2次直前講座。教員志望者向けのサポートプログラムが手厚い
「先生になるなら、親和!」のキャッチフレーズで知られる神戸親和女子大。幼稚園、保育士の資格を併せ持ち幼保連携型認定こども園で勤務できる保育教諭採用で全国1位。幼稚園教員採用で西日本1位、保育士採用同2位、小学校教員採用同3位(いずれも2017年3月卒業生、大学通信調べ)の実績がある。
教員志望者向けのサポートプログラムが手厚く、改善を重ねシステム的に洗練されているのが特長。試験科目全般をカバーする「教員採用試験対策セミナー」が3年次から用意されているほか、基礎的な力の向上のための「キャリアアップ科目」もある。豊富な経験を持つ教員が現場感覚を踏まえて指導し、現場経験のある教員たちが模擬面接を担当して的確に助言。高校教員が選んだ「面倒見の良さ」が全国の女子大で3位(同)にも選ばれており、「少人数制で教職員が親身な指導ができるのはもちろん、学生たち自身も教員を目指す厳しいプロセスの中で支え、助け合う雰囲気を築いていく」と教職課程・実習支援センター長の洲脇一郎教授は話す。
児童教育学科以外の学生でも、入学後に通信教育プログラムを併修することで幼稚園、小学校教員のどちらかを目指せるのも親和女子大学の強み。もちろん企業への就職を目指す学生のためのキャリアサポート体制も整っており、17年度の就職率は大学全体で99.0%に達した。
「言葉の力」を武器に企業や地域にさまざまな提案を行い、大手企業に就職する学生もいる総合文化学科。また、国家資格の公認心理師に対応したカリキュラムもスタートした心理学科。それぞれの学科での学びが就職につながっている。
三井知代学長
―どのような学生を育てていく方針ですか。
少子高齢化やグローバル化、情報産業分野を中心とした科学技術の進歩など著しい変化を遂げる日本において、社会の課題解決に積極的に取り組む女性を育成することが本学の使命です。学生にはそのために必要な三つの「超えていく力」を身に付けてほしいと考えています。社会の課題に対する「課題解決力」、既成概念の境界を超えて多様な人とつながる「コミュニケーション力」、そして今までの自分を打開する「自分の限界を超える力」です。
―本年度から着手する教育改革について。
こうした「超えていく力」を備えるためには、学生が成長できる教育環境が必要。そのために、共通教育を順次改革していきます。具体的には、1年次生全員を対象とした英語の必修授業に「ベルリッツ」からネーティブスピーカーを招き、「使える英語」の学習を充実させています。コミュニケーション力習得のため、英語を話す力だけでなく日本語を書く力の向上も目指し、いずれも少人数制クラスで鍛えていく方針です。
―親和の強みと受験生にメッセージを。
規模が小さな本学は教職員が学生一人一人の可能性を信じて寄り添うだけでなく、先輩が後輩をサポートする環境が伝統的に整っているのが特長です。長年本学に携わる中で目を見張ることは、入学時にはまだ堅いつぼみだった学生が、小さな成功体験を自信に変えながら卒業時に大輪を咲かせて巣立っていく姿です。生涯の支えになるような学びと出会いの場を用意した本学で、自分自身を大きく成長させてほしいと願っています。
先生との距離が近く、学びを深めるための環境が整っていると感じて神戸親和女子大学を選びました。3年次にイタリアでの海外芸術・教育研修に参加。現地の子どもたちに折り紙などの日本文化を紹介したほか、世界の幼児教育界で注目されているレッジョ・エミリアの施設を見学して大きな刺激を受けました。日本を題材にしたオペラ「マダム・バタフライ」を鑑賞し、幅広い表現力に感動したことも思い出深いです。海外研修で日本と異なる教育観に触れた経験を生かし、グローバルな視野を持った教員を目指します。
住所 | 鈴蘭台キャンパス=神戸市北区鈴蘭台北町7の13の1 三宮サテライトキャンパス=神戸市中央区三宮町1の9の1、三宮センタープラザ9階 |
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アクセス | 鈴蘭台=新開地駅=神戸電鉄鈴蘭台駅徒歩10分。三宮、三田、小野からスクールバス利用可 三宮=JR三ノ宮、阪急・阪神神戸三宮、神戸市営地下鉄三宮駅徒歩5分 |
学部(本年度定員) | 文学部(60人)、発達教育学部(355人) |
教員 | 教授48人、准教授19人、講師8人、助教2人 |
ホームページ | https://www.kobe-shinwa.ac.jp/ |