地域に貢献する人育む
神戸学院大学

地域に貢献する人育む

建学の精神「真理愛好・個性尊重」の下、神戸市内の二つのキャンパスに10学部・7研究科を展開し、学生数1万1千人余りを擁する神戸市内で最大規模の文理融合型私立総合大学へと発展を遂げている。2018年度からは国家資格「公認心理師」に対応するカリキュラムを備えた心理学部が開設された。総合大学のメリットを生かし、医療・健康・福祉系の4学部6学科が合同で運営する専門職連携教育(IPE)の単位化も始まり、地域社会の医療と福祉に実践的に貢献しうる人材の育成にも力を入れている。

学業の成果 現場で実践 地元企業とコラボ商品開発

神戸開港150年記念事業で、ブルボンと連携して神戸をイメージした「白のアルフォート」チョコレートを商品化した 神戸学院大学では、講義や演習で身に付けた知識や技能を、地域や企業の現場における課題の解決に生かす実践的な学びの場が多く用意されている。
特に阪神・淡路大震災を経験した神戸に拠点を置く大学として防災や災害ボランティアの活動は盛んだ。被災地から「感謝と友情」をテーマに掲げる神戸マラソンでは毎年600人以上の学生のほか、保護者で組織する教育後援会や同窓会も加わって大会を支えている。東日本大震災、熊本地震では学生と教職員が現地を訪れ被災者支援を実施している。

経営学部の女子学生らが「らーめん やぶ家」とコラボ。コンセプトを設定し商品開発を行った また、企業と連携した商品開発にも積極的に取り組む。昨年の神戸開港150年に際しては、現代社会学部、経営学部らの学生が菓子メーカーのブルボンと連携し、神戸や港をイメージした「白のアルフォート ミニチョコレート塩バニラ」を商品化した。
栄養学部の学生は阪神百貨店、まねき食品とタッグを組み、おせちと恵方巻きをそれぞれ商品化した。前者は若者のおせち離れに歯止めをかけようと開発されたもので同学部の学生約400人に行ったアンケートの結果を踏まえ開発。後者は食材の栄養面での効果などの説明も商品に記載し、それぞれ好評を得た。また、経営学部の女子学生は「らーめん やぶ家」とコラボし「大切な男性(ひと)と食べたいラーメン」をコンセプトに飽きのこないあっさりスープのラーメンを開発した。こうした地域や企業連携への取り組みは、「グローバルな視点から地域社会の多様なニーズに対応できる人材の育成」という大学の教育基本理念を実現する場となっている。

医療・福祉系学部で連携 混成メンバーで治療・ケア研究

医療・健康・福祉系の4学部6学科の学生らが連携・協働に必要な知識や技能について議論を交わす 心理学部、総合リハビリテーション学部、栄養学部、薬学部の医療・健康・福祉系4学部6学科から、公認心理師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、管理栄養士、薬剤師を目指す学生が一堂に会して、互いの職種の連携や協働に必要な知識や技能について学ぶプログラム「専門職連携教育(IPE)」に取り組んでいる。
超高齢社会を迎え、患者の早期退院、在宅療養の促進による地域包括ケアが国の方針で進められている。そこで神戸学院大学では8年前から「地域社会の医療と福祉に貢献できる医療人の育成」を目指して、3学部によるIPEをスタートさせた。本年度からは心理学部の学生も新たに加わり、神戸市看護大学とも連携を図る。
IPEの授業では、各学部の混成メンバーで構成されたグループで症例について検討し、治療・ケアのアプローチ方法を考え、発表する。こうした授業を通して互いの職種や役割をより深く理解するとともに、多職種とコミュニケーションを取りながら、将来医療・福祉分野で活躍できる素地を築く。

心理学部を新設 「公認心理師」取得後押し

今年4月新しく開設した「心理学部」。国家資格「公認心理師」の取得要件を満たすカリキュラムが整備されている 18年4月、10番目の学部となる心理学部が開設された。新しくできた国家資格「公認心理師」の取得要件を満たすカリキュラムが整備され、学部4年と大学院2年で必要な科目を履修すると国家試験受験資格が得られる。19年4月には大学院心理学研究科も設置される。
「こころ」の理解には、それを支える身体の仕組みや社会との関わりを学ぶことが重要との考えから、感情▽認知▽学習▽発達―といった従来の心理学的科目に加え、産業▽福祉▽医療▽教育▽司法―という五つの領域を幅広く学ぶことで、「こころ」を総合的に理解する。
また、地域において「社会参加する心理学」を実践。地域ネットワークを活用した実験実習や学内外でのフィールドワークに取り組む機会が数多く設けられており、心理学の知識を実践的に応用しながら身に付けることができる。
カリキュラムは1年次から「心理」を考えるきっかけとなる体験中心の実習が豊富に用意され、少人数のゼミも行われる。2年次では公認心理師資格に対応した「心理学基礎実験実習」がスタート。3年次には学内外の施設での実習を経験することによって主体的な行動力を身に付け、4年次では医療・教育・福祉・産業・司法分野の学外施設実習を経験するなど、公認心理師資格に対応した専門的なカリキュラムが展開される。

多彩な資格講座を開講 手厚い就職支援制度

法学検定に合格した学生ら。公務員採用試験や行政書士など、資格取得対策の課外講座が充実している 正課授業・課外講座・キャリアセンターが三位一体となった就職支援体制が整えられている。正課の国家試験では、理学療法士の合格率が93・0%、作業療法士は74・4%、社会福祉士は59・0%、精神保健福祉士50・0%、管理栄養士92・2%、臨床検査技師92・9%、薬剤師は82・2%。それ以外にも資格取得に挑戦する学生に対して学内で課外講座を開講しており、時間を無駄にすることなく学べる環境が整っている。
公務員採用試験対策関連講座をはじめ、行政書士、ファイナンシャル・プランニング技能検定、宅地建物取引士、証券外務員二種、総合旅行業務取扱管理者、簿記検定など23種類の資格の課外講座を設置。昨年は、宅地建物取引士講座、行政書士講座の履修経験者10人(いずれも法学部4年次生)が、国家公務員総合職試験や同一般職試験、国税専門官採用試験などの難関を突破した。また行政書士試験には2年次生21人、3年次生18人、4年次生2人が合格、合格率は過去最高の77%で、全国平均の5倍近い好成績だった。また、宅地建物取引士資格試験に90人が合格、合格率は80%を超え、全国平均の15・6%を大きく上回った。
キャリアセンターでは、1年次から進路・就職ガイダンスや業界研究セミナーなどを開催。就職相談も予約なしでいつでも受けられるなど、学生一人一人に合わせた親切な指導を行っており、年間延べ7千人近い学生が個別相談に訪れている。

学長に聞く

海外51大学と交流協定

佐藤雅美学長
―どのような教育を実践していますか。

「真理愛好・個性尊重」を建学の精神とし「社会から必要とされ、信頼される存在価値の高い大学」を目標に掲げています。学ぶ意義や目的、モチベーションを引き出す初年次教育に始まる各学部での学び(タテ軸)と、教養教育や課外活動、ボランティア活動など、総合大学ならではの環境を生かした多様なプログラム(ヨコ軸)を組み合わせ、学生の伸びしろに働きかけ、成長を促す教育を重視しています。

―具体的な取り組みは。

学びを実践する場として地域、社会との連携に力を入れています。昨年は神戸開港150年を記念した商品の開発に挑み、経営学部と現代社会学部のゼミ生が菓子メーカーと新商品を開発しました。経済学部のゼミの活動がきっかけで、本学と淡路市は地域創生に関する連携協定を結んでいます。また、医療・健康・福祉系学部の学生が合同で、症例検討など具体的なケースを想定した連携のあり方などを学ぶ専門職連携教育(IPE)にも取り組んでいます。

―現在力を入れているのは。

大学全体の国際化の推進です。海外の51大学と国際交流協定を結んでおり、研修・留学プログラムの充実を図っています。在学生なら誰でもネイティブスタッフと英会話を楽しめる「English Plaza(い~ぷら)」を開設。2015年に設置したグローバル・コミュニケーション学部では3年次前期での留学が必須となっています。また、経済学部のゼミではモスクワ大学と「アニメ・オタク文化学生サミット」を開催し交流を深めています。学生は自分の可能性を信じ、高い目標を持って積極的にチャレンジしてほしいと思います。

在学生からのメッセージ

幅広い学問留学の役に

グローバル・コミュニケーション学部4年 津田菜波さん(21)

実践的な英語の修得と幅広い学問が学べる魅力を感じ、学部1期生として入学しました。語学はもちろん、ワークショップ形式でコミュニケーションやチームワークを学ぶ授業は後の留学で役立ちました。先生方も熱心で、学内には自分の成長につなげられるチャンスがたくさんあります。3年次前期にケンブリッジ大学に留学し、文化や宗教の違いを肌で感じたことは貴重な経験でした。現在は、大学と教育連携協定を締結しているANAエアラインスクール学内講座に通いながら、航空会社への就職を目指しています。

大学概要

住所 ポートアイランドキャンパス=神戸市中央区港島1の1の3
有瀬キャンパス=神戸市西区伊川谷町有瀬518
アクセス ポートアイランド=ポートライナーみなとじま駅徒歩6分
有瀬=JR明石駅から神姫バス「神戸学院大学方面」行き
学部(本年度定員) 法学部450人、経済学部340人、経営学部340人、人文学部300人、心理学部150人、現代社会学部220人、グローバル・コミュニケーション学部180人、総合リハビリテーション学部170人、栄養学部160人、薬学部250人
教員 教授150人、准教授81人、講師63人、助教29人、助手3人(5月1日現在)
在学生 1万1424人(5月1日現在)
ホームページ http://www.kobegakuin.ac.jp/

特集大学

  • 神戸大学
  • 関西学院大学
  • 兵庫県立大学
  • 甲南大学
  • 神戸学院大学
  • 兵庫医療大学
  • 神戸常盤大学
  • 大手前大学
  • 関西国際大学
  • 兵庫大学
  • 神戸国際大学
  • 神戸海星女子学院大学
  • 園田学園女子大学
  • 神戸親和女子大学
  • 大阪芸術大学短期大学部  伊丹キャンパス

特別インタビュー