生涯にわたる学び提供
大手前大学

生涯にわたる学び提供

大手前大学は70年余の歴史を持ち「STUDY FOR LIFE(生涯にわたる、人生のための学び)」を建学の精神に掲げる。現代社会学部、総合文化学部、メディア・芸術学部、健康栄養学部の4学部10コースがあり、在学生は2400人余り。大手前大学ならではの密度の濃い教育が行われ、4年間で社会で必要とされる問題解決力が養われるカリキュラム、仕組みが整えられている。来春には国際看護学部(仮称、設置認可申請中)も新たに開設される予定だ。

問題解決力を徹底育成

大規模プレゼンで力試す

学生が問題解決力を磨く「大手前プレゼンフェスタ」。教員、企業関係者ら参加者約500人の前でプレゼンを披露 大手前大学では、卒業後に社会で貢献し価値ある人材として求められる「問題解決力」を養うための能力開発型教育「C―PLATS®」がすべてのカリキュラムのベースに貫かれている。
「C―PLATS®」は、「社会的責任」と「チームワーク」から成る「チームで働く力」の土台の上に、「論理的思考力」「分析力」「創造力」「計画力」から成る「考え抜く力」、そして「行動力」「リーダーシップ」「コミュニケーション力」「プレゼンテーション力」から成る「前に踏み出す力」へとつなげていく教育だ。開講されるすべての科目は、この10の力のいずれかが習得できるよう設計されている。学生は将来の目標を見据えながら、自分に足りない力、伸ばしていきたい力も考えた上で科目を選択することができる。
また、すべての学生が学ぶ必修の「コア科目」では10の力を特にしっかりと養うプログラムが組まれている。「例えば、2年の春学期では自分でテーマを見つけ、問いと仮説を立てて図書館などで調べ、アウトラインに沿った論文やリポートにまとめていく。問いを立てる訓練が思考力を磨くことになる」と総合文化学部の石上浩美准教授は力を込める。
コア科目「キャリアデザイン」で、自分のキャリアの将来図について発表した中から選ばれた学生代表が、教員や企業関係者らの審査員と約500人の聴衆を前にプレゼンテーションする「大手前プレゼンフェスタ」も、学生にとっては問題解決力を磨き上げる格好の舞台となっている。
学生が提出した課題リポートやプレゼンテーションの映像などは、学生の成長の記録として「e―ポートフォリオシステム」に蓄積されていく。10の力がどれほど伸びたか自己評価した結果も見られるようになっており「就職活動の際に、自分がどのような経験を積んでどのような力を獲得できたかひと目で分かり、自己PRにも生かすことができる」と教学運営室長の現代社会学部の川口宏海教授。
リーダーシップ開発プログラムも新たにスタートする。「2年生の段階から社会でのキャリア形成を意識し、企業研修や卒業生のインタビューなどを通じてキャリアをつくり上げていく意欲やスキルを高めていく」と担当教員である現代社会学部の坂本理郎准教授。
「問題解決力」はゼミのさまざまな活動でも培われている。メディアを生かした地域課題の解決に取り組むメディア・芸術学部の谷村要准教授のゼミでは、映像表現を専攻する他ゼミと連携して京都府京丹後市で地域のPRビデオの制作を進めている。「それぞれの専門性を生かしながらゼミ同士が連携することにより、地域課題の解決に役立つ活動を展開していければ」と谷村准教授は話す。

学外活動で社会貢献

資料英訳しハンセン病周知

長島愛生園歴史館で説明を受ける大手前の学生ら=岡山県瀬戸内市邑久町 学生が学外に足を運び、社会に貢献する機会が多く用意されている。国立ハンセン病療養施設・長島愛生園(岡山県瀬戸内市)の対外発信活動のサポートもその一つだ。
ハンセン病患者の文学作品を研究していた総合文化学部の田中キャサリン講師が同園と交流していたことがきっかけ。世界遺産登録を目指していることを知り学生とともに英語での発信をサポートできないかと考え、2015年から夏期の1週間の集中講義として取り組んでいる。
まずは学内でハンセン病を取り巻く背景や歴史を勉強した後、現地を訪れて施設を見学した後に英訳作業に入る。これまで同園のパンフレット、ウェブサイトの英訳、証言ビデオの英語版字幕の作成などに順次取り組んできた。
大学図書館で学んできた内容を展示したり、ハンセン病や英語教育をテーマにした学会で学生が発表する機会もある。田中講師は「4年間続けて参加する学生もいるし、卒業しても関わってくれる学生もいる。ハンセン病のことを分かりやすく描いた漫画を自主的に訳したいと取り組む学生もいる。問題意識を持って主体性を持って学んでくれる姿勢が頼もしい」と話す。
今後は周辺の地域との関わりや他の療養施設についても調べ、活動を広げる予定で「背景の理解、差別用語の表現法など蓄積されたものは大きく、私たちでないとできない依頼も舞い込んできている。ハンセン病のことをより多くの人に知ってもらえるように学生と取り組んでいきたい」と話す。

国際看護学部(仮称)開設へ

時代に適応できる人材を

来春、新たに開設を予定している国際看護学部(仮称)では、ボーダーレス化の時代に対応し、医療英語を身に付けるだけでなく、海外研修などを通じ、異なる背景や文化を持った人たちに寄り添うことのできる看護師の養成を目指す。
「私自身、海外での研究、教育の経験を経て、日本の医療がグローバリゼーションから取り残されていることを実感した。時代の変化に対応し、多様性に適応できる理解力と受容性を持った看護師を育てたい」と力強く語るのは、新学部設置準備室の鈴井江三子教授。
看護の対象を日本人、定住外国人、訪日外国人、在外日本人の4カテゴリーに分け、経年的にカテゴリー別の実習を展開し、「繰り返しの中から積み上げていく教育を大切にしたい」と話す。
医療英語教育では実践的な英語を重視し、問診で必要な英語などを学んでいく。3年次に行われる海外研修では5カ国に分かれて現地の医療機関で実習を行う。「例えば、フィリピンでは家族の関係性をとても大切にした大家族主義の文化がある。そうした多様な背景を体感し、理解してもらえれば」
鈴井教授には開設に当たってもう一つの問題意識がある。「看護の現場で疲弊し、せっかく働きだしたと思ったら辞めていく看護師を見てきた。とてももったいないし残念なこと」。こうした問題意識を踏まえ、既設の看護学部の多くが看護師に加え保健師、助産師の選択制にしたカリキュラムを組んでいるのに対し、大手前大学では看護師一本に絞る。「看護師としての根っこをしっかりつくり、看護師に必要な体力もつけていきたい」と話す。

学長に聞く

能力開発型教育に注力

鳥越皓之学長
―大学の特長は。

本学は、現代社会、総合文化、メディア・芸術、健康栄養の4学部で10コースを持ち、約2400人の学生が在籍しています。小規模ゆえに学生同士、学生と教職員の距離が近く、伝統的に明るい学風が根付いています。入学後に芽生えた関心や興味を尊重すべく、1年生で各専攻の基礎科目を学んでから2年生以降の専攻を選べるようにしています。また、コミュニケーション力、論理的思考力、行動力など社会に出てから求められる能力を養う能力開発型教育にも力を入れており、学内でプレゼンテーション能力を競う場も設けています。

―2019年度に国際看護学部(仮称)の設置を計画しています。

訪日外国人が増える一方、医療現場の受け入れ体制は追いついていません。コミュニケーション力があり、実践英語教育に力を入れている本学ならではの役割として、他国の言語、文化を理解し、ひいてはボーダーレス時代の多様性に適応できる看護師を養成していきたいと考えています。そのほかにも18年度からドローン入門の講義がスタートするなど、社会のニーズに応えたカリキュラムを取り入れています。

―高校生にメッセージを。

人間としての素養を学ぶリベラルアーツ教育に重きを置きながら、公務員受験講座などの各種資格取得の支援に力を注ぎ、実践的教育とのバランスを取っています。何をやりたいかが定まっていなくても、ここでは専攻を決めるまでに1年間の時間があり、その後も他学部の科目も受講できます。学生も教職員も親しみやすく、友達もつくりやすい環境で自分のさまざまな可能性を見つけてください。

在学生からのメッセージ

プレゼンで表現力磨く

総合文化学部3年 大森優香さん(21)

お菓子作りが好きでスイーツ学コースのあるこの大学を選びました。将来は、アレルギーのある人でも食べられるお菓子を開発したいと考えています。その思いをまとめ、学内の「大手前プレゼンフェスタ」で発表したところベストプレゼンテーション賞をいただき、自分の考えをまとめ伝えるよい経験となりました。1年生の授業で心理学に興味を持ち、スイーツ学コースで学びながら現代社会学部の心理コースを専修しています。これからも興味のある分野の授業を積極的に受講し視野を広げていきたいと考えています。

大学概要

住所 さくら夙川キャンパス=西宮市御茶家所町6の42
いたみ稲野キャンパス=伊丹市稲野町2の2の2
大阪大手前キャンパス=大阪市中央区大手前2の1の88
アクセス さくら夙川=JRさくら夙川駅徒歩7分、阪急夙川駅徒歩7分、阪神香櫨園駅徒歩7分
いたみ稲野=阪急稲野駅徒歩1分、JR猪名寺駅徒歩5分
大阪大手前=地下鉄・京阪天満橋駅徒歩2~5分、JR東西線大阪城北詰駅徒歩13分
学部(本年度定員) 現代社会学部(220人)、総合文化学部(190人)、メディア・芸術学部(180人)、健康栄養学部(80人)
教員 教授53人、准教授28人、講師8人、助教3人、助手1人
在学生 2470人
ホームページ http://www.otemae.ac.jp/

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