園田学園女子大は人間健康学部(総合健康学科、人間看護学科、食物栄養学科)と人間教育学部児童教育学科、短期大学部(生活文化学科、幼児教育学科)があり、約1,900人が学生生活を送っている。行政や企業、住民と触れ合う現場で実践を積み、教室で学んだ知識を知恵に変える「経験値教育」を通じ、困難に直面しながらもその都度前に進み、成長していく力を身に付けている。
地元尼崎を歩き、住民とコミュニケーションをとり課題を探す園田の学生ら
文部科学省から拠点校に指定された「地(知)の拠点整備事業」が4年目を迎え、園田学園女子大が掲げる「経験値教育」の場として進化を続けている。
「〈地域〉と〈大学〉をつなぐ経験値教育プログラム」をテーマに「連携協力に関する包括協定」を結んだ尼崎市とともに「健康づくり」「学校教育」「生涯学習」「子ども・子育て支援」の四つのテーマで、地域社会を通して人々と触れ合いながら学びを深めている。
本年度から2年次の課題解決型の必修科目「つながりプロジェクト」が設けられた。380人の学生が18人ずつ「笑いによる健康増進」「子どもの防災教育」など21のプロジェクトに分かれて参加し、それぞれのテーマの下、フィールドワークやワークショップを通して地域が抱える課題を把握し、1年間をかけて企画や提案を練り上げていく。各プロジェクトは4学科の学生が分野を超えて共に学ぶところも特長だ。
昨年2月に尼崎市と包括協定を締結。地元が抱える課題解決の研究に弾みがついている
地域連携推進機構の大江篤教授は「地域の方々とのコミュニケーションはもちろんのこと、それまで話したことのない学生同士によるチームづくりから始まって、役割分担をしながら協調して一つのものを作り上げていくこともいい経験になる」と話す。2月に行われる発表会が総仕上げの舞台となる。授業外で取り組んだ活動については、スマートフォンを使って記録し、地域の人からも客観的に評価をしてもらう。
また、学生と地域をつなぐ役割を果たす委員会「つなGirl!(ガール)」は今年で3年目。1~3年のメンバーが、新入生を対象にした街歩き企画などの運営を行うほか、週に2日キャンパス内で地域の人向けに「まちの相談室」を開設。2015年度には80件の相談が寄せられ、うち37件についてはボランティアを派遣した。大江教授は「大学で学んだことを地域で生かすことによって、知識を知恵に変える力(経験値)を養うことにつながっている」と学生の成長を実感している。
加治遥選手
体育会系クラブの活動は、強化クラブ(テニス、ソフトボール、陸上競技、バスケットボール、バレーボール、剣道)の成果が目覚ましく「スポーツのSONODA」の評価が定着。昨年4月に完成したスポーツセンターも選手たちの活躍を後押ししている。
ソフトボール部は全日本大学選手権で6度優勝、4度準優勝という実績を残している名門だ。関西学生リーグでは春秋を通じ12季連続優勝を達成。6月に韓国で開かれる「東アジアカップ」に、大学日本代表として4人が選出されている。
1970~90年代に大学王座決定試合15連覇を果たした名門のテニス部。加治遥選手(4年)は昨年12月の「全日本学生室内テニス選手権大会」で優勝し、初の全国タイトルを獲得したほか、同月香港で開催されたITF(国際テニス連盟)の女子1万ドル大会でも優勝し、国際大会初制覇を成し遂げた。
昨年完成したスポーツセンターはバスケットコート2面分の広さを持つメーンアリーナとサブアリーナ(兼武道場)、トレーニングルームを備えている。特にバスケットボール部は、試合と同じコート面積を確保できたことで練習が充実。関西学生リーグ2部ながら、全関西バスケットボール学生選手権では1部チームに2勝し、5位に入る健闘を見せた。
今年から教授陣に加わった荒木香織さん(右)
このほか、学生たちが自主的に活動しているクラブとしてラクロス、チアリーディング、軟式野球部などが外部コーチの指導を受けながら活動を行っている。
また、昨年ラグビー日本代表のワールドカップでの躍進を、メンタルコーチとして支えた荒木香織さんが今年から教授陣に加わり、クラブへのサポートにも期待が集まる。
受け入れ留学生と一緒にみこさんに変身
ニュージーランド(NZ)にある「そのだクライストチャーチキャンパス(SCC)」への留学を中心に、提携をしている海外7大学への留学サポートを強化しており、留学希望者は年々増加の一途をたどっている。
1980年代にオセアニア地域の大学と学術交流の協定を結んだことを契機に、NZのカンタベリー大学内にSCCを設置。毎年春秋3週間の研修を実施しており、これまでに延べ約1,000人以上の学生が参加している。研修では語学だけでなく小学校や幼稚園、高校、大学などの視察、実習を行い、日本と比較検討する機会を設けている。
また、NZ、豪州、フィジー、インドネシア、台湾、韓国、中国の7大学と提携し、派遣、受け入れプログラムを実施している。今年は台湾や韓国への留学希望者が大幅に増えているという。
また、受け入れ留学生も増えており、学生が主体的に交流プログラムを企画するほか、ホストファミリーとして迎え入れることで国際感覚を学びながら成長できる機会となっている。
国際交流センターの村端慶治所長は「学外だけでなく学内でも国際交流がごく当たり前にできるような環境を整えていきたい」と話す。
川島明子学長
―大学の理念について。
本学は1938年、地域社会の女子教育に貢献することを目的に「捨我精進」を建学の精神として開学しました。以来、「他者と支えあう人間の育成」を理念として「社会的、精神的そして経済的に自立し、社会で活躍できる女性」の育成に取り組んできました。教職員と学生が寄り添い、共に歩むことで培われるつながりの強さを体感できる環境を生かし、豊かな人間力を養う学風を大切にしていきたいと考えています。
―教育の特長は。
最大の特長は「経験値教育」です。学内での講義や実験、実習で得た知識が、どのように社会で生かされるかを実感するために、具体的な経験を重ねる本学独自の学びです。地域志向科目やボランティアなどで実際に地域へ出て活動し、学問と実践を結びつける経験を通じて、知識を知恵へと変えていきます。本年度から、大学共通科目に尼崎市をフィールドにした演習科目「つながりプロジェクト」を必修として加えました。地域の課題解決に向けて企画立案と提言を行うPBL(Project-BasedLearning)型の授業です。学部、学科を横断した学生が組んで参加しますので、学生間の強いつながりも築いていけると思います。
―女子大の役割について。
私がいつも意識しているのは、女性には就職、結婚、出産など男性と異なるターニングポイントがあり、専業主婦や子育てといった金銭化されない労働をしている期間も大切なキャリアとして捉え、そうした女性の一生涯を支える大学であり続けたいということです。経験値教育、さらにはその土台として新しい知識を入れ続けることのできる教養教育を通じ、社会に出てからも成功、失敗体験を積み重ねながら学び続けてほしいと願っています。
中学生のころから保育士に憧れ、オープンキャンパスに参加した際、丁寧で優しく接してくださった先生方や先輩方、明るいキャンパスにひかれて入学を決めました。
学生が先生役と子ども役になって保育の現場を再現する実習や、就職で役立つ実践的な授業も多く、学びがいがあります。
留学生バディーや近松人形劇部、学園祭実行委員会などの活動に積極的に参加し、毎日がとても充実しています。
大学で学んだ知識と経験を生かして、保護者から信頼され、子どもから愛される保育士になりたいです。
住所 | 尼崎市南塚口町7-29-1 |
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アクセス | 阪急塚口駅徒歩10分、阪神尼崎駅から阪神バス13系統阪急塚口行き(11分)南塚口町1丁目下車すぐ、JR立花駅から阪神バス14系統阪急塚口行き(7分)園田学園女子大学下車すぐ |
学部(本年度定員) | 人間健康学部総合健康学科95人、人間看護学科80人、食物栄養学科80人、人間教育学部児童教育学科95人、短期大学部生活文化学科90人、幼児教育学科120人 |
教員 | 教授46人、准教授32人、講師3人、助教17人、助手11人 |
在学生 | 1,887人 |
ホームページ | http://www.sonoda-u.ac.jp/ |