大阪芸術大学短期大学部(芸短)は「メディア・芸術」「デザイン美術」「保育」の3学科13コースを持つ総合芸術短期大学だ。一線で活躍する現役のプロフェッショナルが教員陣に名を連ね、未経験者でも一から学べるカリキュラムが用意されている。社会に出てからも役立つスキルと考える力を2年で養い、さらに学びを深めたい学生は大阪芸術大学への編入も可能だ。
石原卓客員教授が担当する「エンターテイメントと情報社会」の授業
「舞台で演じる人も声優も文章を書く人も、クリエーティブの基本は編集力であることをまず知ってほしい」。メディア・芸術学科の選択授業「エンターテイメントと情報社会」を担当する石原卓客員教授は、初回の授業でコンテンツ制作の基本について語りかけた。続けて、編集力とは、すでにあるものを新しい何かと組み合わせることでよりよくすることだと述べ、コンテンツの中身を発想するコツとして「受け手はこう考えているだろうという潜在意識に働きかけ、表現していくこと」とアドバイスした。
演劇、映画、ライブなどの情報を扱う雑誌「ぴあ」の副編集長を経て、独立。現在は編集プロダクションを経営し、各種冊子や映像制作の傍ら、バンド活動、映画出演と多彩な活動を続ける石原客員教授。15回の講義では、その経験や人脈を生かし、映画監督の西尾孔志さんやFM802プロデューサーの今江元紀さんをゲストに招いて話を聞くほか、映画のストーリーやラジオ番組の企画構成を考える演習を通してコンテンツづくりの発想力、表現力の基本を学ぶ。
また、自己PRの文章を作成し、プレゼンテーションの手法も含めての自己表現方法を体得する。「上手な文章を書くことではなく、自分の個性を自分らしく表現できるかが大切。自己PRをする相手が何を求めているかを考え表現することで、就職活動にも生かせる。人前に立つプレゼンを経験することで自信を得てほしい」と狙いを語る。
昨年の講義を受けた学生の一人は、当初は舞台の裏方である音響の仕事を志していたものの、講義を受けてから自ら劇団をつくりたいと思うようになり、実際に立ち上げたという。石原客員教授は、受講を終えた学生に対して親身に相談に乗るなど学生のサポーター役としても慕われている。
芸短は大学名に「大阪」が付いているが、3学科のうち「メディア・芸術」「デザイン美術」の2学科が伊丹市にキャンパスを置く。神戸方面からのアクセスは、阪急伊丹駅、山本駅、JR中山寺駅など複数の経路があり、JR中山寺駅から徒歩12分、阪急山本、中山観音駅からは徒歩20分の距離。
メディア・芸術学科の授業風景。共同制作で他コースと協力し合うなど多ジャンルの学生と交流が活発だ
メディア・芸術学科には「メディア(ライティング・編集・取材・ウェブ、広告、放送、映像)」「舞台芸術(身体表現、舞台制作)」「ポピュラー音楽」「声優」「ポピュラーダンス」の5コース9専攻がある。
1年次はコース混合の4クラスに分かれる必修科目「プレ・ゼミナール」があり、コースを超えて仲間づくりができる。全コースの学生が受講できる選択授業では、専攻を超えたボーダーレスな学びが得られる。キャンパス内には音響、放送、カメラなどの設備やコンピューターがそろい、最新の機材を使って実技や演習ができるのも特長だ。
教授陣は各界の最前線で活躍するプロフェッショナルがそろう。ドラマ「西部警察」で刑事リュウ役を演じた加納竜さんは「舞台芸術コース」の教授。声優コースの教授、渡辺菜生子さんは「ちびまる子ちゃん」のたまちゃん役を担当する声優だ。
舞台芸術コース 身体表現2年生 新山琴美さん 舞台実習 練習に余念なく
舞台芸術コース2年生の新山琴美さんは、舞台や映画で活躍できる女優を目指して学んでいる。27人の学生でともに作品を作り上げる「舞台実習」では、7人のヒーローのうちの1人の役を演じることが決まっており、殺陣や舞の練習に余念がない。「休みがもったいないと思うくらい充実した日々を送っている」と話す。
グラフィックデザインの授業で指導する松井桂三教授・学科長
デザイン美術学科は「グラフィックデザイン・イラストレーション(グラフィックデザイン、イラスト)」「空間演出デザイン」「アートサイエンス」「キャラクター・マンガ・フィギュア(キャラクター・マンガ、フィギュア)」「アニメーション・デジタルデザイン・ゲーム」「工芸・立体デザイン」「絵画・版画(絵画、版画)」の7コース10専攻に分かれている。1年次の前期に、7コースの基礎実習から自分に合った三つの基礎実習を選んだ上で、後期に専攻コースを選択する。
「アートサイエンスコース」では、テクノロジーを駆使するクリエーター、木村幸司さんが担当教員を務め、学んだ学生が国際的なアワードの優秀賞を受賞している。また、少年ジャンプなどで作品を発表している漫画家の凸ノ高秀さん、国内外で数々の受賞歴を誇る建築家の谷尻誠さんをはじめ、一流の教員陣から直接指導が受けられる。コースや専攻の枠を超えたジャンルとの組み合わせで授業が受けられる「クリエイティブ研究」は学生の創作意欲を刺激している。
松井桂三学科長は「さまざまな分野を結び付けて、自分の発想を形にしていく力は社会に出ていろんな仕事で生かすことができる」と語る。
芸短では独自の奨学金制度を設けている。総合型選抜入試、学校推薦型選抜指定校制入試では、一定の条件を満たせば、年間35万円が支給される。採用人数は併せて最大130人。また、大学入学共通テスト利用選抜入試では、2教科の合計が160点以上でかつ上位15名の条件を満たせば学費が全額免除される。
塚本英邦学長
―大阪芸術短大の特色は。
「メディア・芸術」「デザイン美術」「保育」の3学科を持つ総合芸術短期大学で、このうち伊丹学舎にある「メディア・芸術」「デザイン美術」の2学科は12コース19専攻と非常に多彩です。デザイン美術学科であればデッサンから始めるなど、スキルがない状態からでも学べるようにカリキュラムを考えている点も特長です。2年間で凝縮して学んだ後は4年制大学への編入も可能で、将来の進路を考えながら学ぶことができます。
―最前線で活躍するプロを教授陣にそろえています。
俳優の加納竜さん、建築家の谷尻誠さん、フィギュア作家のオオゴシトモエさん、キルト作家の柴田明美さんをはじめ、教員陣はそれぞれの世界において現役で活躍しているトップランナーばかりです。同じ学科内であれば他のコースの授業も選択できるので、幅広い素養が身に付き、作品づくりに生かすことができます。学生は少人数なので教員と学生の距離がとても近く、クラスやサークルで出会うさまざまな目標を持った学生と刺激し合える環境もあります。
―以前より受験者数が増えているそうですね。
情報発信を通じて本学の魅力がより多くの人に伝わるようになってきました。年に数回実施している体験授業に参加した高校生の大半が実際に受験しています。本年度の本学の在学者数は902人と最近では最も多くなりました。今後も良い設備を整え、良い教員をそろえ、レベルの高い教育をし、そこで優秀なOBを輩出する循環をつくり、芸短のブランド力を高めていきたいと思っています。
高校生の時にあるバンドのミュージックビデオ(MV)を見て、自分でも映像を制作してみたいと思い、本学を進学先に選びました。1年生の映像実習の授業では、三つの映像作品をつくり、カメラマンそして2回の監督経験を務めました。30秒の映像をつくったのですが、限られた時間の中で自分の思いを伝えることの難しさを感じました。演出のことなど、まだまだ学びたいと思う気持ちが募り、来年は大阪芸大への編入を考えています。
ポピュラー音楽コースで学ぶ学生の依頼を受け、MVを制作中です。歌のストーリーに合わせた映像も組み合わせようと考えていて、舞台芸術コースの学生の協力も得ます。全てのコースの学生と一緒に学ぶ授業があることで、コースを超えて交流し、一つのものをつくり上げていけるのも魅力です。
【開催日】
6月20日(日)
7月11日(日)
8月1日(日)
9月5日(日)
10月3日(日)
2月6日(日)
【時間】
9:30~16:20
※オープンキャンパスde体験入学 希望者は、ホームページより事前申し込みが必要です。
※授業1科目からでも申し込み可能です。
※詳細はホームページをご確認ください。
https://osaka‐geitan.jp/admission/opencampus/itami/index.html
住所 | 伊丹キャンパス=伊丹市荒牧4の8の70 |
---|---|
アクセス | JR宝塚線中山寺駅徒歩12分。阪急宝塚線山本駅、中山観音駅徒歩20分。阪急伊丹駅、JR伊丹駅から伊丹市営バス「荒牧バラ公園行き」(約27分)「大阪芸大短期大学部前」下車すぐ |
学部(本年度定員) | メディア・芸術学科(160人)、デザイン美術学科(160人)、保育学科(100人)[大阪学舎] |
教員 | 教授22人、准教授17人、講師171人 |
在学生 | 902人(4月1日現在) |
ホームページ | https://osaka-geitan.jp/ |