医療や教育 専門家錬磨
神戸常盤大学

医療や教育 専門家錬磨

 神戸常盤大学は、保健科学部(医療検査学科・看護学科・診療放射線学科)、教育学部こども教育学科、短期大学部口腔(こうくう)保健学科(3年制)、看護学科通信制課程があり、「いのち」に寄り添い、支えるスペシャリストを養成している。医療職や教職として必要なコミュニケーション能力やその基盤になる教養科目も充実。地域での実践の場も数多く用意され、専門職業人としての人間力の形成やキャリア支援にも力を入れている。

口腔保健学科が四年制移行へ 歯科衛生士の需要増加

学内診療所、関連病院の実習 強み 保育士等の資格取得を支援

来年度、四年制へ移行を予定している口腔保健学科。口と全身の健康の関わりがより明らかになり、歯科衛生士の役割はいっそう高まっている 2022年度から口腔保健学科は、短期大学部から四年制大学への移行を予定している(認可申請中)。全国の四年制大学では13番目、県内では初の設置となる。近年、口と全身の健康の関わりがより明らかにされ、歯科衛生士の果たす役割がますます大きくなっていることから、カリキュラムをさらに充実させる一方、ライフステージに合わせた働き方の選択肢を増やしておくためのキャリア教育にも力を入れる。
 歯周病はさまざまな全身疾患と関連していることが報告されており、特に糖尿病については双方向で病気の進行を促しているとされる。乳幼児や子どもでは歯の生え始めや生え変わりの食事の重要性、高齢者ではかんだり飲んだりする力など口の機能が衰えることが全身の虚弱(フレイル)につながるリスクも指摘されている。
 口腔の健康を維持していくことは健康寿命の延伸、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に資することから、国も歯科口腔保健の充実を重点課題に位置付けている。それを裏付けるように歯科衛生士の活躍の場も広がっており、求人倍率は20倍を超えている。
 大学での教育のポイントは二つ。歯科衛生士の専門スキルの向上、そして就職後のライフステージも見据えた働き方を考える力の養成だ。
 専門スキルの向上では、歯科診療所をはじめ、病院、介護施設、企業などでの臨地実習やインターンシップの機会を増やし、多様な職場で活躍できる人材を養成する。特に学内に口腔保健研究センター(歯科診療所)を持つことから歯科保健指導などの臨地経験を積めるほか、関連施設のときわ病院(三木市)では、外来・病棟・高齢者施設で実習を行い、全身疾患を持った患者に対応するチーム医療を学ぶ。また、大学内に付属の歯科診療所があることで「コロナ禍においても大幅な制約を受けることなく実習を行えている」と歯科医師でもある口腔保健学科の八木孝和教授は話す。
 もう一つは、キャリアを考える力の養成だ。卒業後に歯科衛生士として職に就いたとしても、その後ライフステージの変化やワークライフバランスの実現のために働き方が変わったり、再就職したりするケースが想定される。「そのときに自らのキャリアを主体的に考えることのできる人材を養成したい」。例えば、必修科目で社会福祉主事任用資格が得られるだけでなく、保育士、歯科医事務管理士、食育指導士、食生活アドバイザーなどの資格取得を目指せる。こうした資格を持っていることで再就職の際に強みとなり、広く食に関わる仕事を選ぶこともできる。「歯科衛生先進国であるアメリカで働く道もあり、仕事に夢を持つことの大切さも、豊かなキャリアの構築につなげてほしい」と八木教授は話す。

医療検査学科 臨床検査技師の資格取得

医療検査学科は2012年、全国の四年制大学で初めて臨床検査技師の養成課程として文部科学大臣の指定を受けた。臨床検査技師は、病気の早期発見や診断、治療法決定に必要な生体情報を提供する専門職だ。4年次にはがん細胞を探し出す「細胞検査士」の受験資格を得る課程も受けられる。通常なら臨床検査技師として1年以上の実務経験が必要だが、同学科なら在籍中に資格を取得できる。

看護学科

実践と理論組み合わせ教育

兵庫県内の私立大学で最も早く開設された看護学科。学生は看護師、保健師、養護教諭の資格取得を目指す。1年次から病院で看護師のケアの様子を見学したり、2年次からは基礎実習などがあり、実践と理論を組み合わせた教育体系が特徴。また、担任とは別の専任教員がサポートする「チューター制度」により、学生4、5人を1人の教員が継続的に支える少人数教育を実践している。

診療放射線学科

最新装置で身に付く実践力

昨年度、兵庫県内の大学として初となる診療放射線学科が開設された。診療放射線技師は、放射線や超音波などを用いて体内を画像化する検査や放射線治療に携わる専門家だ。本学科では、専門知識・技術習得とともに、他学科との連携を視野に入れた多くのカリキュラムを設けている。加えて実習を充実させ、診療放射線技師としての専門力と他者との協調力とを兼ね備えた人材を育成する。

こども教育学科

少人数制で細かく指導

こども教育学科では、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭の資格取得を目指す。保育者養成コース、教員養成コースでは、ともに専任教員が1年次から4年次まで少人数制のゼミを通してきめ細かい指導に当たる。大学と同じキャンパス内に付属幼稚園があり、授業外でも日常的に子どもと関わることができる。また、教職支援センターが教員採用試験の合格を目標にした学びの場を提供し、試験に必要な知識だけでなく就職してから役立つ実践力の育成にも取り組んでいる。

ヴィッセル神戸と連携 ノエスタ神戸に「子育て広場」

子育て支援スタッフ常駐 幼児と保護者ら交流

子育て広場「ときわんノエスタ」が開設されたノエビアスタジアム神戸 神戸常盤大学は4月、プロサッカーチーム、ヴィッセル神戸とパートナーシップ契約を結び、同チームが拠点とするノエビアスタジアム神戸内に子育て広場「ときわんノエスタ」を開設した。
 子育て広場は、専門資格を持った子育て支援スタッフが常駐し、小さな子どもと保護者が自由に遊びながら交流できるスペース。保育士や教員を目指す学生にとっての臨地実習やボランティア活動に取り組む場にもなっている。
 新長田の子育て総合支援施設「KIT」内の「ときわんクニヅカ」、元町6丁目商店街の「ときわんモトロク」に次いで三つ目の子育て広場となる「ときわんノエスタ」は、出産前のプレママ、就学前の子どもとその保護者が平日、無料で利用できる。ヴィッセル神戸のホームゲーム開催日もキックオフ3時間前から試合終了30分後まで利用可能。また、小中学生を対象に、体験教室と学童ラウンジが一緒になった「てらこやノエスタ」も併設され、月水木の放課後に利用でき、学生らが宿題や予習・復習のサポートに当たる。

学長に聞く

意欲に応える場多彩に

濵田道夫学長
―大学の特長は。

 保健科学部、教育学部、短期大学部の全学科で幼児から高齢者まで、健康な人から病気の人までさまざまな人のいのちに寄り添い、支える専門職業人の育成を目指しています。
 教員1人当たりの学生数が12人程度の少人数教育により専門職に必要な知識、技能がしっかりと修得でき、専門職として働く上で欠かせない教養教育にも力を入れています。このたび大学と地域をつなぐ「すこラボ」(健康生活研究所)を開設し、多職種連携の学びを地域で実践する機会をさらに増やしていきます。

―常に先駆者の道を歩んでおられます。

 2012年度に全国の大学では初の臨床検査技師養成課程として文部科学大臣の指定を受けました。20年度には保健科学部内に県内初の診療放射線学科を開設しました。そして、22年度はさらなる飛躍の年になりそうです。
 現在、短期大学部にある口腔保健学科を四年制に移行し、県内では初の歯科衛生士養成四年制大学となる予定です。口と全身の健康には深い関わりがあることから歯科衛生士の活躍の場が広がっており、キャリアの可能性が広がる他資格の取得もサポートします。

―どのような学生に目指してほしいですか。

 本学には国家資格の取得を目指したり教育現場などで活躍したり、将来の仕事を明確にイメージして入ってくる学生が多くいます。目的意識を持った学生の皆さんの意欲をさらに引き出し、能力を伸ばす場をたくさん用意しているので、ぜひさまざまな機会にチャレンジしてください。

在学生からのメッセージ

教員試験への支援厚く

教育学部こども教育学科3年 千田源さん

 大学選びをしていたところ、神戸常盤大学は教員採用試験合格までのサポートが手厚く、きめの細かい指導に定評があることを知り受験しました。入学後は学内外で子育て支援のボランティア活動に携わっており、行動や一人一人個性の違う子どもたちに日々接することで声の掛け方、コミュニケーションの取り方などを学び、採用試験の準備に役立てています。
 この3月には、これから入学する学生に対する入学前教育のサポーターとして関わり、グループワークで意見を言えない人から、どうすれば引き出せるのかについても気付きが得られました。自身が助けられたように、一人一人の長所を見付けて伸ばしながら、その長所に自信を持たせて子どもたち自らが短所も克服できるような指導ができる教員になりたいと思っています。

掲示板

公開講座で地域に還元

 神戸常盤大学では、神戸常盤地域交流センターが地域の皆さまの生涯教育に対するご要望にお応えし、本学の知的財産を広く地域社会に還元するために、公開講座を開講しています。本年度前期講座では、本学教員による「0才からのヨーロッパ音楽紀行」や「夏にかかりやすい子どもの病気とその対処法」、「最近の食中毒の傾向」などの講座を開講いたします。また、神戸常盤大学の学生と共に授業を聴講する「芸術文化論」の特別聴講生を募集しています。7月には「私の女優論」として女優の三船美佳講師に登壇いただき数々のエピソードをお話しいただきます。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。申し込み方法等の詳細については本学HPをご確認ください。

大学概要

住所 神戸市長田区大谷町2の6の2
アクセス 神戸高速鉄道西代駅徒歩9分、JR新長田駅徒歩15分
学部(本年度定員) 保健科学部(230人)、教育学部(80人)、短期大学部口腔保健学科(70人)、短期大学部看護学科通信制課程(150人)
教員 教授47人、准教授19人、講師31人、助教12人、助手1人
在学生 1454人(男子270人、女子1184人)、通信制課程282人(男子24人、女子258人)(5月1日現在)
ホームページ https://www.kobe-tokiwa.ac.jp/univ/

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