地域で実践 学びに深み
神戸学院大学

地域で実践 学びに深み

 神戸学院大学は、神戸市西区とポートアイランド(中央区)の二つのキャンパスに文系7学部、理系3学部、大学院8研究科を展開し、学生数1万1千人余りを擁する同市最大規模の私立総合大学だ。その特長を最大限に生かし、学部の垣根を越えた学び、地域との連携プロジェクト、ボランティア活動などを通じ、個の可能性を伸ばし、一人一人の成長を促している。

現代社会学部 合同プロジェクト

学生視点でまちの魅力発信

オンラインで進めた「たじま未来プロジェクト2020」の実習成果発表会の様子。現代社会学部の三つのゼミが豊岡市・養父市と連携。街の魅力発信のアイデアを提案している  神戸学院大学では、学内での学びだけでなく、地域や企業の現場に入り込み、そこに横たわる課題について実践的に考えるプログラムが多く用意されている。
 現代社会学部の三つのゼミは、養父市、豊岡市と連携し、学生の視点で地域の活性化に取り組む「たじま未来プロジェクト」に取り組んでいる。2020年度はコロナ禍で活動を制限されたが、学生たちは、町の魅力を発信する音楽・映像・キャッチコピー・ポスターを制作。また、地域の課題解決を目指した政策提言では、移住・定住を促すための婚活イベントの開催や近畿圏に居住する女性をターゲットにした旅行を提案したほか、耕作放棄地にコスモスを植え、開花時期にチェロ演奏会を開催するアイデアを披露した。
  栄養学部の学生が企業と連携し、コロナ禍でも楽しめる、若い世代向けのおせち料理を提案した 栄養学部では毎年、阪神百貨店、まねき食品と連携し、若い世代のためのおせち料理を提案して商品化している。昨年は、2段重ねのお重を広げたときに日本列島の形に見えるように工夫し、北海道のスモークサーモンとイクラから沖縄の豚バラあぶり焼きまで各地の郷土料理45品を彩り鮮やかに盛り付けた。コロナ禍で全国を行き来しにくくなった中、食を通じて日本一周旅行が味わえるように考えた。おせちは250食限定で阪神百貨店にて販売された。
 ボランティア活動支援室では、80人を超える学生スタッフが「参加」「相談」「企画」を三本柱に、ボランティアに参加するだけでなく、一般学生のボランティア活動もサポートしている。地震や豪雨などの被災地を支援する「災害班」、ごみと資源の分別啓発などに取り組む「環境班」、近隣の子どもたちと交流する「子ども班」、献血や高齢者施設でのイベントなどを行う「医療班」、フェアトレード商品を広める活動などを行う「国際班」、学生に向けてボランティアの情報を発信する「広報班」の六つがあり、それぞれの班の特性を生かした活動を行っている。

学部を超えたプログラム充実

法など5学部 スポーツ科学の副専攻

医療福祉関連学部と神戸市看護大学がグループワークを通じて、互いに専門性を高める専門職連携教育  10学部を持つ総合大学の強みを生かし、学部の枠を超えた幅広い学びの機会を提供している。共通教育科目は、学部の枠を超えて基礎教養を高める科目。このうち、専門の学びや社会で働く際に必要となる技能を身に付ける「リテラシー領域」では、8カ国の語学のほか、高校で学ばない近現代史や現代社会が求めるデータ分析などの科目がある。より広い視野と柔軟な思考力を養う「リベラルアーツ領域」では、兵庫、神戸、明石などの地域について学ぶ科目に加え、経済、経営、食、医療と福祉など他学部の学びの一端を経験し、幅広い視野を身に付ける。
 法学部、経済学部、経営学部、人文学部、現代社会学部の5学部の学生が2年次から選択できる副専攻的なプログラム「スポーツサイエンス・ユニット」は、学部の専門分野を学びつつスポーツについて理論と実践を多面的に学ぶことができる。パートナーシップを結ぶヴィッセル神戸でのインターンシップを通じて、スポーツ経営を学ぶ機会をつくり、スポーツ振興に関わる「健康運動実践指導者」などの各種資格の取得も可能だ。
 また、近年の医療においては多職種の医療スタッフが連携を図りながら治療に当たるチーム医療が重要視されていることから、心理学部、総合リハビリテーション学部、栄養学部、薬学部という医療福祉関連学部を持つ強みを生かし、そこに神戸市看護大学も加わって専門職連携教育(IPE)を実践している。多職種連携のために相互理解を深めており、グループワークを通じて各分野の価値観を共有しながら課題解決を図り、コミュニケーション力を鍛える。

就職支援 1年次から

各種資格試験の対策講座も

就職支援に関する協定の締結を交わした滋賀県の三日月知事(右)と佐藤学長  段階的な支援プログラムで卒業後の進路に向けたキャリアサポートを行っている。1年次には関心のある学問分野、将来への職業の興味をもとに4年間の行動計画を決め、2年次には将来の目標を明確にし、職業観を確立。3年次以降は本格的な就職ガイダンス・講座などのほか、キャリアカウンセラーの資格を持つ職員による個別指導を対面もしくはオンラインで実施し、一人一人に寄り添い、柔軟かつ丁寧に対応している。
 また、国家資格をはじめとした各種資格試験や公務員試験の突破に向けて、41の講座を開講。課外講座・資格サポート室の職員がそれぞれの学生の希望に合わせて資格取得プランを提案し、将来のキャリア実現を後押ししている。こうした取り組みの結果、2020年度卒業生は国家試験でも好成績を挙げた。薬学部における薬剤師の新卒合格率は92.61%(全国平均85.55%)で県内トップ。栄養学部では管理栄養士国家試験受験有資格者89人が受験し87人が合格。合格率は97.8%(同64.2%)だった。
 国家公務員、地方公務員、警察官など公務員採用者数は、過去5年間(16年度~20年度卒)で551人に上っている(臨時採用者は除く)。
 さらに、兵庫、滋賀、和歌山、三重、石川、福井、福岡の各県に加え、中国5県、四国4県と就職支援に関する協定を締結。相互に連携・協力して、県内企業等における学生のインターンシップ派遣・受け入れや、県内企業の合同企業説明会の開催などを通して、U・Iターン就職希望者の支援充実に取り組んでいる。

学長に聞く

個の可能性を引き出す

佐藤雅美学長
―大学の概況は。

 本学は有瀬キャンパス(神戸市西区)、ポートアイランドキャンパス(同市中央区)の2拠点で10学部13学科、学生数1万1千人以上を擁する文理融合型の総合大学です。創立者で初代学長の森茂樹博士は高名な医学者で、地域の将来の医療を担う人材を育成すべく栄養学部を創設したのを皮切りに、薬学部、総合リハビリテーション学部といった医療・福祉系学部・学科を充実させてきました。文系学部も、法▽経済▽経営▽人文―といった伝統的な学部に加え、心理▽現代社会▽グローバル・コミュニケーション―と多彩です。

―教育の特色は。

 建学の精神である「真理愛好・個性尊重」を踏まえ、専門分野の探究に加え、自治体や企業と連携し、まちづくりや商品開発に関わる実践の場、ボランティア活動、課外活動など学生の興味に応じて学べる「成長のステージ」を豊富に用意しています。学部の専門の学びだけでなく、個性を生かしてさまざまな活動に挑む「プラスアルファ・チャレンジ」を勧めています。

―大学生活をどのように過ごしてほしいですか。

 特定の学部の学びへの目的意識のある人はもちろん、将来の目標が定まっていない人も大学生活を通じて、じっくり目標を見定めてほしいです。本学も学生の期待に応えられるよう2040年ごろを見据えた「長期ビジョン」を策定中です。アフターコロナに対応したキャンパス整備構想、データサイエンスを駆使できる人材の養成、障がい学生支援体制の整備など、地域、社会にとって存在価値の高い「兵庫・神戸を代表する総合大学」を目指し、着実に実行していきます。

在学生からのメッセージ

課外活動通じ積極的に

経営学部3年 神田了誠さん

 高校時代、塾の講師から、神戸学院大学は国際系に強いという評価を聞いたこと、そして実際にキャンパスを訪ねてみて海を望む広々とした環境に惹(ひ)かれ入学を決めました。かねてよりボランティアに興味があり入学後すぐにボランティア活動支援室の活動に参加し、2年次生の夏から学生スタッフ国際班のリーダーを務めています。フェアトレードをテーマに途上国の商品を販売したり、多くの学生にフェアトレードについて興味を持ってもらうための勉強会を開いたりしています。
 高校時代は内気な性格でしたが、リーダーとしてさまざまなことを企画し、発信しています。親も驚くほど積極性を身に付けました。学生生活の残り1年半はしっかり勉強し、貿易会計の仕事に就くという目標を実現させたいと考えています。

掲示板

グリーンフェスティバル

 地域の皆さんを対象にクラシック音楽や日本の古典芸能・演劇などの一流舞台芸術を、毎年、春と秋に提供しています。地域に根差す大学として、本学課外活動団体や地元を中心とした将来性のある若い方にも出演いただくなど、その独自性については高く評価されています。

第433回 狂言をたのしむ会

7月10日(土)15:00開演

第434回 アフター・アワーズ・セッション ピアノ三重奏によるコンサート~ブラームス・シリーズⅡ~

7月18日(日)15:00開演

会場:有瀬キャンパス メモリアルホール(9号館6階)
参加無料。申し込み方法など詳細はホームページをご覧ください。

大学概要

住所 ポートアイランドキャンパス=神戸市中央区港島1の1の3
有瀬キャンパス=神戸市西区伊川谷町有瀬518
アクセス ポートアイランド=ポートライナーみなとじま駅徒歩約6分
有瀬=JR明石駅から神姫バス「神戸学院大学方面」行き
学部(本年度定員) 法学部(450人)、経済学部(340人)、経営学部(340人)、人文学部(300人)、心理学部(150人)、現代社会学部(220人)、グローバル・コミュニケーション学部(180人)、総合リハビリテーション学部(170人)、栄養学部(160人)、薬学部(250人)
教員 教授156人、准教授78人、講師70人、助教26人、助手3人
在学生 11373人(5月1日現在)
ホームページ https://www.kobegakuin.ac.jp/

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