心に響く医 連携し学ぶ
兵庫医科大学

心に響く医 連携し学ぶ

来春、兵庫医療大と統合へ

 兵庫医科大学は2022年4月、兄弟校・兵庫医療大学との統合により医系総合大学として新たなスタートを切る予定だ。医学部に薬学部・看護学部・リハビリテーション学部を加えた4学部が一体となり、これまでも取り組んできた多職種連携教育(IPE)をさらに深化。学部の枠を超えて連携しながら学び、チームの一員として「心に響く医」を提供できる次世代の医療人を育成する。(文部科学省への申請状況により、統合計画が変更する場合がある)

医・薬・看・リハ チーム医療教育を徹底

「痛み」理解へシステム構築

学部混成で6、7人のチームをつくり、ディスカッションを経て発表や模擬カンファレンスに取り組むアクティブラーニング「チーム基盤型学修(TBL)」  学校法人兵庫医科大学は、1972年4月に兵庫医科大学を西宮に開学。2007年4月には将来的な医療の在り方「チーム医療」をコンセプトに掲げ、薬学部・看護学部・リハビリテーション学部を擁する「兵庫医療大学」を神戸・ポートアイランドに開設した。さらに開学50年にあたる22年4月、この2大学の統合を予定。医・薬・看・リハの4学部を擁する関西有数の医系総合大学に生まれ変わり、IPEを深めてチーム医療教育のさらなる充実を図る。
 開学50周年に合わせ、スローガンを「EMPOWER THE PEOPLE―心に響く医を、私たちがいるかぎり」に刷新。一人一人の人生が豊かな社会を目指し、仲間と知識・技能・人間性を高め合いながら答えを追求し続けることを新ビジョンとして掲げた。「心に響く医」を提供できる次代の医療人育成を目指している。
 新生・兵庫医科大学の特長はまず、実践的なIPEの展開。1年次という早い段階から、専門の枠を超えたIPEを進める。軸となるのは、兵庫医科大学が約10年前に導入し発展させているアクティブラーニング「チーム基盤型学修(TBL)」だ。
 例えば脳卒中患者が求めるのは、手術や治療などの医学的アプローチや薬物療法。さらにリハビリ専門職が最も多く関わる疾患であり、急性期から慢性期までさまざまな看護ケアも必要だ。こういった医・薬・看・リハの着眼点を相互に学ぶ狙いで、学部混成で6、7人のチームをつくり、ディスカッションを経て、チームでの発表や模擬カンファレンスに取り組む。
多職種連携(IPW)の意識を高めるために行われる「チーム医療演習」。4年次に1週間かけて医療職種間の相互理解を深める 4年次に1週間かけて行う「チーム医療演習」で医療職種間の相互理解を深め、多職種連携(IPW)についての意識を高める。ほかには、原因が多岐にわたる「痛み」を理解し、正しく治療するための4学部連携教育も。基礎医学や疼痛(とうつう)患者対応の倫理的側面から、麻酔薬の薬理作用、看護ケア、リハビリまで「痛み集学的診療」を教育できる体系的なシステムを構築している。
 臨床実習を含める恵まれた環境で、IPWを身に付けた医療人に育て上げる教育は兵庫医科大学ならでは。患者のQOL(生活の質)向上のため、IPWの考え方は今後ますます重要性が増していく。
また、付属する大学病院での実践的な実習も特長に挙げられる。主な実習施設は、最新機器を備え高度医療を提供する兵庫医科大学病院。救急など急性期の医療を手がける「急性医療総合センター」や、地域包括ケアをリアルに学べる「ささやま医療センター」(丹波篠山市)でも実習が積める。
 これらの医療現場では実際にIPWが機能し、さらには診療科の垣根を越えた医療チームも活動中。家族のケアや育児支援も含めたサポートを学べる「周産期管理チーム」のほか、コロナ禍で重要な「感染対策チーム」や「認知症ケアチーム」などだ。これらの恵まれた環境で診療チームの一員として患者に接し、質の高い医療を提供するための素養や問題解決力を実践の中で身に付けていく。

兵庫医科大学病院 新病院棟 26年開院

患者、医療従事者ともに配慮

2026年の開院を目指す「新病院棟」(完成イメージ図中央)。さらなる地域医療への貢献に期待がかかる  メインの実習先である兵庫医科大学病院では、新病院棟建設プロジェクトが進行中だ。医学教育機関として常に先進的な医療を提供してきた同病院。「医療人育成と臨床研究機能の充実」などを基本方針とし、地域に対して安全で質の高い医療を継続的に提供するため、2026年の開院を目指している。
 西宮キャンパス内にある多くの建物が開学当時の建設で老朽化していたため、11年に西宮キャンパスの整備計画に関する将来構想を策定。以降、救命救急などを行う「急性医療総合センター」、学生の学びやである「教育研究棟」などが建設され、新病院棟は長年進めてきたキャンパス整備計画の仕上げにあたる事業となる。
 医師や看護師、事務などを中心に建設のための準備室を発足させ、全診療科・部門だけでなく患者にもヒアリングを行った上で、動線を意識して各フロアのレイアウトを設計。医療行政の動向を踏まえ、最新設備を完備した15階建て(予定)の新病院棟は、「急性医療総合センター」と行き来を可能にすることで、両棟合わせて現在と同じ計963の病床数を確保する計画だ。
 コンセプトに掲げるのは「患者と医療従事者のどちらも笑顔になる病院棟」。もちろん、これから入学する学生にとっても快適な実習施設となるに違いないだろう。

高い国家試験合格率

125の病院登録 「連携病院の会」も強み

 兵庫医科大学病院などの実習先で目にするのは、最前線で勤務する卒業生の姿。将来働く姿を意識しながら学べることも大きなメリットで、高い国家試験合格率と確かな就職・進路へとつながっている。20年度の国家試験合格率は保健師、助産師、理学療法士がいずれも100%、看護師99.2%、作業療法士97.6%、医師93.1%、薬剤師83.0%。ほとんどの国家試験で全国の合格率平均を上回る。
 また、125の病院が会員登録する「兵庫医科大学 連携病院の会」も大きな強みだ。会を通じて多くの求人が寄せられるほか、神戸キャンパスで開催される合同病院説明会では各病院の概要や求める人物像などについて個別に説明を受けることも可能。阪神間に広がる実習地としても大いに役立っている。

学長に聞く

多職種連携、発展させる

野口光一学長
―来年春に新生・兵庫医科大学が誕生する予定ですが。
開学50周年にあたる2022年4月に、兄弟校の兵庫医療大学と統合を目指しており、認可されれば、関西では最大規模の医系総合大学に生まれ変わります。

―大学を統合する目的は。

 医系総合大学としての認知度を高め、世界の潮流であるIPW(多職種連携)を質量ともに発展させたいと考えます。
 これまでも4年生を中心に学部を超えたIPE(多職種連携教育)を先進的に行ってきましたが、統合によってカリキュラムをさらに円滑に組み立てられるようになります。1年生からチームによるアクティブラーニングを導入。最終的には西宮キャンパスに隣接する兵庫医科大学病院で学部を超えた臨床実習も行い、実際の医療現場でIPWを実践できる人材育成を目指します。多くの卒業生が活躍する大学病院で、働く姿を意識しながら実習を積めるメリットも実感してもらえるでしょう。

―どんな学生を求めていますか。

 50周年に合わせて刷新したスローガン「EMPOWER THE PEOPLE 心に響く医を、私たちがいるかぎり」には、「医で人々を支える存在になりたい」という決意を込めました。一人一人の人生が豊かな社会を目指し、そのために知識や技能、人間性を仲間と高め合いながら、新しい答えを追求し続けるのが私たちのビジョンです。いわば、喜ばれることが喜びと感じられるような医療人を養成することが本学の使命ですので、阪神間を愛し、地域の人々のために頑張りたいと思う若者に学んでほしいですね。

在学生からのメッセージ

より良い医療の提供を

医学部医学科4年 篠田佑乃さん

 交通の便が良く通学しやすい上、新しい教育研究棟が完成するなど、恵まれた環境で医学を6年間学びたいと兵庫医科大学を選びました。先生方は一人一人の成績や理解度を認識し、成績が振るわないときは丁寧にフォローしてくれる心強い存在です。目的に応じた学習環境も整っているので、休日でも友達と気持ちを高め合って勉強できるところが気に入っています。授業以外では、大学祭の実行委員としてパンフレットの広告を集めるために学校周辺の商店を回り、大学と地域の深いつながりを実感することができました。
 これからの時代は、患者さんのQOL(生活の質)向上のために多職種が連携して、より良い医療を提案することが大切。兵庫医科大学で培った学びをもとに、自分の役割をしっかりと果たせる医師になりたいです。

掲示板

オープンキャンパス開催

【開催日】
8月7日(土)(薬・看・リハ)
8月9日(月)(薬・看・リハ)
8月11日(水)(医)
8月12日(木)(医)
8月21日(土)(薬・看・リハ)
8月22日(日)(薬・看・リハ)

※日程によって開催する学部が異なります。

※医学部は西宮キャンパス、薬・看護・リハビリテーション学部(設置認可申請中)は神戸キャンパスで開催します。

※詳細はホームページをご確認ください。

大学概要

住所 西宮キャンパス(医学部)=西宮市武庫川町1の1
神戸キャンパス(薬学部、看護学部、リハビリテーション学部)=神戸市中央区港島1の3の6※設置認可申請中
アクセス 西宮=阪神電鉄「武庫川」駅西改札口から徒歩約5分
神戸(設置認可申請中)=ポートライナー「みなとじま(キャンパス前)」駅から徒歩約10分、神姫バス「ポーアイキャンパス東」バス停下車すぐ
学部(本年度定員) 医学部(112人)
【2022年4月設置予定学部】薬学部医療薬学科(150人=兵庫医療大)、看護学部看護学科(100人=同)、リハビリテーション学部(理学療法学科40人=同、作業療法学科40人=同)
教員 教授76人、准教授33人、講師100人、助教233人
在学生 705人(5月1日現在)
ホームページ https://www.hyo-med.ac.jp/

特集大学

  • 神戸大学
  • 兵庫県立大学
  • 芸術文化観光専門職大学
  • 甲南大学
  • 神戸学院大学
  • 流通科学大学
  • 兵庫医科大学
  • 神戸常盤大学
  • 神戸芸術工科大学
  • 関西国際大学
  • 園田学園女子大学
  • 大阪芸術大学短期大学部

特別インタビュー