コロナ禍の中、４月２２日からＩＣＴを駆使したオンライン授業を開始。受講のための環境整備として支援金を給付するなど学生をバックアップしている 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、同校ではいち早くオンラインで入学式や授業を実施。「ｆｏｒ　ｔｈｅ　ｓｔｕｄｅｎｔ」を実践し学生をバックアップした。
当初、入学式は中止を検討していたが、新入生や保護者にとって門出の機会を設けたいとの教職員の思いから、自宅にいながら入学式に参加できるオンライン入学式を実施した。クラス担当教員の紹介に続き、学生が「なりたい自分」に気付くための第一歩として、一人一人が入学を迎えての抱負を自分の言葉で語った。
全学生が大学に来られない状況の中、４月２２日からはＩＣＴ（情報通信技術）を駆使したオンライン授業の開講に踏み切った。以前から学内Ｗｉ―Ｆｉ（ワイファイ）環境を整え、スマートフォンを活用した授業を実施していたこともあり、スムーズな導入が可能に。オンライン授業を受講した２年生は「接続などが不安だったが、きちんと授業が受けられて良かった」と安心した様子で話していた。
コロナ禍で不安を抱えている４年生にも、就職部がオンラインで就職活動をサポート。企業がオンラインでの説明会や面接に切り替えていく中、学生が対応できるようオンライン面接練習を実施している。職員は面接の準備から受け答えのポイントまで丁寧に指導。学生は「オンラインでの面接は相手との距離が近くなることに気付きました。表情を豊かにすることを心がけようと思っています」と手応えを感じている。
また、オンライン授業受講の環境整備のため在学生に一律５万円の支援金を支給。学費納付期限の延長や留学生へのフォローなど、コロナ禍の影響を受けた学生の緊急支援も手厚く行っている。

人間社会学部観光学科の学生らが「本物の結婚式」をプロデュース。新郎新婦には打ち合わせから関わり、会場設営・演出・進行をやり遂げた 　スペシャリスト育成を目的とした独自のプログラム「キャリアアップセミナー」。各業界の第一線で活躍するビジネスパーソンを講師に迎え、業界の現状や基礎知識を短期集中で習得する授業だ。マーケティング、リテール、ホテル、ブライダルなど、学生が希望する業界への理解を深め、将来に向けたネットワークの構築を目指す。
昨年はホテル・ブライダルコースで学んだ学生たちが、力を合わせ本物の結婚式をキャンパス内でプロデュースした。カップルを一般から公募し、会場装飾や進行・演出のアイデアを出し合う。新郎新婦と打ち合わせを重ね、衣装やメークから会場設営、サプライズ演出などプロデュース全般を担った。カメラマンは卒業生で、写真スタジオを立ち上げた中谷早里さんが担当した。
失敗が許されない大切な一日だけに緊張感や充実感は大きく、学生らには模擬結婚式では得られない貴重な体験となった。当日は新郎新婦と一体感に包まれ、感極まり涙する学生が続出。新郎新婦は「一生の思い出に残る最高の結婚式でした」と感想を述べた。
セミナー体験後、ウエディングプランナーの道を選択した学生も多く、その一人、大田美奈さんは２年次終了後にブライダルコーディネーターの国家資格に合格。
「このセミナーを通して、相手が求めるものを聞き取るコミュニケーション力や自分の提案を伝えるプレゼンテーション力、あらゆるサービス業の質を高めるホスピタリティー（おもてなしの心）を身に付けることができます。今後も続けたい」と担当の石橋仁美特任教授は話している。

留学生らが「母国のおかゆ」を調理・披露するパーティー。「ＲＹＵＴＯＰＩＡ」ではさまざまな国際交流イベントが企画され人気を博している＝２０２０年１月 流通科学大学には中国、ベトナム、韓国、ロシアなど１０カ国以上、約６２０人の留学生が在学する。約３９００人の学生全体の約１６％を占め、国際色豊かな学生生活が繰り広げられている。
２０１８年には留学生と日本人学生が共同生活を行う国際交流施設・学生寮「ＲＹＵＴＯＰＩＡ（りゅうとぴあ）」をキャンパス内に開設した。現在、１１の国と地域の学生が共同生活を送っており、日常の国際交流を通してグローバルマインドを育むことができる。
１階は国際交流スペース、２、３階が居住スペース。居住スペースは、１ユニットに留学生と日本人が半数ずつで計６人が入居できる。ベッドや机などが備わった個室がそれぞれ用意され、リビングルームやキッチンなどの共同生活空間で一緒にテレビを見たり食事を楽しんだりするシェアハウス方式だ。
国際交流スペースでは勉強会や餅つき、流しそうめんなど、学生が企画したさまざまなプログラムが行われる。入寮者だけでなく、流科大の学生なら誰でも使用することができる。「海外への留学が困難な時期なので、神戸にいながらにして国際交流できる魅力的な場です」と学校側は話す。

キャンパス内の学生寮 キャンパスの敷地内にある寮に住んでいます。留学生と日本人３人ずつの計６人がユニットになり、それぞれ個室を持ちながらリビングやキッチンを共有する共同生活を送っています。個室には冷蔵庫やベッドがついており、セキュリティーもしっかりしているので安心して生活できます。私は、中国、ベトナム、香港の留学生と同じユニットで、おしゃべりや食事をしながら異文化交流を楽しんでいます。また寮内国際交流支援団体のリーダーも務めており、寮内で季節ごとにイベントを開き、留学生と交流を図っています。強い向上心を持って来日した留学生は尊敬できる人ばかりで、その力に少しでもなれたらと思い活動しています。
（商学部マーケティング学科２年・油木（ゆのき）満里奈さん）

藤井啓吾学長
―新型コロナ対策で、いち早くオンライン授業を開始。

今後の状況が見通せない中、とにかく４月２２日からオンライン授業をスタートさせることを最初に決めました。初めての試みに課題も山積みでしたが、学生のために教職員一丸となって取り組みました。以前より学内オンライン環境を整え、スマートフォンを活用した全員参加型の双方向授業を実施していたことも早期の対応を可能にしました。今も学生の不安を少しでも軽減するため、日々、学習環境を整備しています。コロナ対策だけでなく、ＩＣＴ（情報通信技術）を活用した今後の大学教育の姿を考える機会にもなったと感じています。

―「夢の種プロジェクト」について。

「なりたい自分」＝「夢の種」を探し、育て、咲かせる、という独自の教育プログラムです。さまざまなカリキュラムと４年間の演習型のクラス・ゼミで構成します。初年次は「なりたい自分発見カリキュラム」。３学部横断編成のクラスに所属し、企業人との交流やフィールド演習などを通じて自分の「夢の種」を探します。２年次からは学部・学科ごとに専門基礎演習がスタート。企業や地域と連携する「社会共創プログラム」など「考える学習型授業」を実践し、業界トップの講義も組み込みます。夢の実現に向け、ゼミの担当教員と就職部が連携し、卒業まで手厚く学生をサポートします。

―学長からメッセージを。

本学創設者から受け継ぐ「ネアカ　のびのび　へこたれず」の校是の下、社会の中で一人一人が夢の実現に向けて力強く生き抜いていくための、本物のチカラを育てていきます。そのために流科大は総力を挙げて学生を応援します。