社会人の礎 人間力向上
甲南大学

社会人の礎 人間力向上

学校法人甲南学園は昨年、創立100周年の節目を迎え、本年度から新たな世紀に向けて一歩を踏み出した。人文、自然、社会科学系の8学部14学科を持つ総合大学ながら、学生数約9千人というミディアムサイズの強みを生かし、学業成績だけでなく学内外での活動や、知識・技能を生かした行動力などを総合的に評価する指標を導入。人間力を高め、社会で通用する教育を実践している。

体得した力測る指標導入 成長を実感、目標立てやすく

「ジェネリックスキル測定」の結果解説会。2度の測定で自身の成長を実感できると好評だ 「人物教育の率先」を掲げる甲南大学。学業成績だけでなく、学びによって身に付けた力や社会で活躍するために求められる能力を総合的に測る指標として、「学修ポートフォリオ」と「ジェネリックスキル測定」を導入している。学生は、その結果をもとに自身の成長を確認できるだけでなく、伸ばしたい能力に合わせた学びを自ら選択することができる。
大学での学びで身に付けた力を可視化するとともに、さまざまな活動を記録するのが学修ポートフォリオ。科目ごとに身に付く力を明らかにし、単位を修得すると身に付いた力が加算され、その状況がレーダーチャートで表される仕組みになっている。
例えば、共通教育では情報を読み解く力、知識を社会で生かす力、専門科目では学びを将来と結びつけて考える力、問題解決能力など、学生が身に付ける知識、能力の到達目標が項目として示され、どの科目を取るとどの能力を伸ばせるかはシラバスに記載される。これにより学生は身に付けたい能力に対応した科目を的確に選ぶことができる。
また、課外活動、ボランティア活動、留学などの大学での経験を記録することができ、在学中の成長の過程を振り返ることにも役立つようになっている。
学内での成績、活動をもとにした学修ポートフォリオと合わせて、社会で活躍するために求められる力を客観的に測定・把握するジェネリックスキル測定も導入した。知識を活用する力であるリテラシーと、行動特性であるコンピテンシーの二つの領域について1年次と3年次でその変化を数値化し、成長がわかるようにした。具体的にどのように成長したのか、学生からは「自分で新しい人脈を作るのが得意になった」「はっきりした目標を立ててから課題に取り組むことが多くなった」と、大学生活を通じたジェネリックスキルの成長を実感する声が上がっている。

知能情報学部など より実践的なカリキュラムに

マネジメント創造学部の「専門教育」は、少人数のプロジェクト形式で課題を選び問題解決を図っていく 専門教育についても学生の視点に立った、より実践的なカリキュラム改革を進めている。
経済学部では本年度から米ユタ州にあるウイーバー州立大学(WSU)とのダブルディグリー制度を導入。1・2年次を甲南大学で学修した後、3年次からWSUに2年間留学し、最短4年半で両大学の学位を取得できる。
知能情報学部では、情報技術の基礎から応用までを身に付けた、AI(人工知能)時代に求められる人材を養成すべく、2021年度から「クラウドシステム」「AIデータサイエンス」「知能ロボット」「メディアデザイン」「ヒューマンセンシング」「数理情報」の6コースを開設する。コースを横断した自由な学びが可能で、分野横断型の情報科学ゼネラリストを育てる。
また、マネジメント創造学部はマネジメントコース、特別留学コースを21年度から統合。短期のフィールドワーク留学から長期のアカデミック留学まで、さまざまな海外留学・研修プログラムの中から学生の希望する制度を通じてグローバル力を育てる。さらに「パブリック」「グローバル」「ビジネス」「超領域」といった課題の中から興味のある項目を選び、少人数のプロジェクト形式で解決策を提案する中で、コミュニケーション力やプレゼンテーション能力も身に付けられる。

キャリア創生共通科目

経営マネジメント、ITリテラシー、英語で学ぶビジネス… 社会人としての素養習得

学部を超えて受講できる「キャリア創生共通科目」。資格取得や外国語、ボランティアなど、社会人の素養が身に付く実践的な授業になっている 甲南大学では、専門教育を基軸にしながらも、卒業後の社会生活を有意義に営むための社会人としての素養や能力を伸ばすために学部を超えて受講できる「キャリア創生共通科目」を設けている。
これまでも広域副専攻というかたちで学部を超えて受講できる科目は設けてきたが「経営マネジメント能力やITリテラシー、英語で学ぶビジネスなど学生が社会人になって必要とされる力を育成する視点からプログラムを作り直した」と学長補佐で国際言語文化センターの伊庭緑教授。
同科目は、生涯を通じた就業力を培う科目群として「キャリアデザイン系」、働くための力を磨く科目群として「ビジネス系」「政策・法務系」「情報系」、活躍する世界を広げる科目群として「国際系」「ボランティア・地域連携系」「福祉・スポーツ健康科学系」に分類され、多くの科目を実務家教員が担当する。
例えば「ビジネス系」の科目では、ビジネスやマネジメントの意義を理解する力を養い、日商簿記検定、ビジネス会計検定、税理士、公認会計士などの資格取得にも結び付ける。また、「国際系」の「グローバル・コミュニケーション」の科目では、ネーティブの講師が英語でのプレゼンテーションや会議で通用する英語力を身に付けるための実践的な授業を行う。
同科目を統括する共通教育センターの小西幸男准教授は「90分2コマの連続した授業により、どう伝えるか、どう受け取るかを確かめ、フィードバックしながらやりとりすることによって社会で通用する交渉力を英語で身に付けてほしい」と授業の狙いについて語る。

在学生だから知る!お薦めスポット

サークル、自習に活用

複合施設アイ・コモンズの大食堂 キャンパスの背後にはすぐ山が迫り、建物の高層階からは海の眺望も楽しめる自然に恵まれた環境です。授業の空き時間や放課後に僕が使うお気に入りの場所が複合施設アイ・コモンズの大食堂です。食事はもちろんのこと、サークルなどの打ち合わせ、自習にも活用しています。スペースは3つに分かれており、白い清潔なイメージの「South」、落ち着いた雰囲気の「North」、掘りごたつのある「West」とそれぞれ個性があり、好みに応じて使い分けることができます。 2号館地下にある複写センターは学習用冊子の作製や名刺づくりもできます。意外と知らない学生が多く、知っておくと勉強に就活に便利な場所です。
(経済学部経済学科2年・松下冬弥さん)

学長に聞く

新しい自分発見を応援

中井伊都子学長
―4月に学長に就任。

学校法人創立101年目という「新たな世紀」に向かうタイミングでした。建学の精神「人物教育の率先」をさらに磨き上げることが使命と考えています。法学部教員として22年間で感じた甲南大生の特長は、普段はおとなしく柔らかいのにいざというときに驚くほど強く、さらに自信をつかんでからの脱皮力が目覚ましいこと。こうした成長の機会をさまざまな形で提供できる大学でありたいですね。

―そのための仕組みは。

4月に全学教育推進機構を設置、「徳・体・知」の人物教育の基盤を支える一体的な共通教育体制を整えました。これを中心に学部の枠にとらわれない共通教育をさらに強化していきます。国際言語文化センターや国際交流センターなどが中心となり全学生が受けられる「融合型グローバル教育」も本学の特色で、さらに充実を図ります。
学業成績だけでは測れない学生の力を評価認定する「KONAN サーティフィケイト制度」の役割も重要です。留学などの国際交流活動、地域連携やボランティア、読書に関する活動、スポーツ・健康マネジメント、ラーニングサポートなど授業では測れない力を評価することで、自身の成長を実感し、新たな学びへの意欲を後押しします。

―受験生にメッセージを。

本学は、8学部約9千人の学生が学ぶ「ミディアムサイズ」の総合大学です。この特長を生かし、他学部生と学び合う授業や卒業生と交流できる機会を設け、多様な視点や興味を得ることができます。豊かな緑の中、学生が行き交い、刺激し合うキャンパスで人間力・融合力を磨き、「まさか自分が」と思えるような新しい自分を見つけてください。

在学生からのメッセージ

自信創出力 大きく伸び

経営学部経営学科4年 大堀舞佳さん

少人数教育を掲げ、大学からしっかりサポートを受けられると感じ甲南大学を選びました。1年次の共通基礎演習では他学部生と学ぶ機会があり、学問に対する興味の幅が広がりました。
経営学部の独自プログラムであるインターンシップ制度では、人材派遣会社で3カ月間過ごし、成果に結びつくまで考え抜く粘り強さを体得しました。社会人基礎力を測定・把握する「ジェネリックスキル測定」では1年次から3年次で「自信創出力」のスコアが大きく伸びました。さまざまな経験を通じて「頑張ればできる」と前向きに努力する姿勢が結果に表れたようです。
この経験を生かし、将来は組織の中の人を支える仕事に就き、専門性を高めていきたいです。ぜひ、甲南大学ならではの学びの機会を最大限に活用し、充実した学生生活を送りませんか。

大学概要

住所 岡本キャンパス=神戸市東灘区岡本8の9の1
西宮キャンパス=西宮市高松町8の33
ポートアイランドキャンパス=神戸市中央区港島南町7の1の20
アクセス 岡本=阪急岡本駅徒歩10分
西宮=阪急西宮北口駅徒歩3分
ポートアイランド=ポートライナー京コンピュータ前駅徒歩4分
学部(本年度定員) 文学部(405人)、理工学部(155人)、経済学部(345人)、法学部(345人)、経営学部(345人)、知能情報学部(120人)、マネジメント創造学部(180人)、フロンティアサイエンス学部(45人)
教員 教授192人、准教授60人、講師23人、助教3人
在学生 8693人(男子4990人、女子3703人)
ホームページ https://www.konan-u.ac.jp/

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