大阪芸術大学短期大学部（芸短）は「メディア・芸術」「デザイン美術」「保育」の３学科１３コースを持つ全国でも珍しい総合芸術短期大学だ。このうちメディア・芸術、デザイン美術の２学科は伊丹市内にキャンパスがある。第一線で活躍する現役のプロフェッショナルが教員陣に名を連ね、学生たちは学科・コースを超えた仲間との作品づくりを通してスキルと幅広い視野を身に付け社会に巣立っている。

声優、音楽など５コース９専攻　専門外のジャンルも幅広く受講

「ちびまる子ちゃん」のたまちゃん役などで活躍する声優の渡辺菜生子さん（左）も声優コースの指導にあたる メディア・芸術学科には「メディア（ライティング・編集・取材・ウェブ、広告、放送、映像）」「声優」「舞台芸術（身体表現、舞台制作）」「ポピュラー音楽」「ポピュラーダンス」の５コース９専攻がある。機材やスタジオなど充実した設備のもとで、コースごとの専門演習、実習のほか、コースを超えて他ジャンルも幅広く学べるのが特徴だ。
１年次には学年をコース混合の４クラスに分け、１人の先生が担任する必修科目「プレ・ゼミナール」があり、コースを超えたつながりが生まれる。「例えば短編映画を作るため必要な役者や音楽の仲間に声がかけられる関係を築くことができ、互いに交流し、刺激し合いながら成長できる」と松尾理也学科長は話す。

石原卓客員教授による「エンターテイメントと情報社会」の授業。この日は短編映画の鑑賞、考察から表現の奥深さを学ぶ 全コースの学生が受講できる選択授業でもボーダーレスな学びが得られる。「エンターテイメントと情報社会」の授業では、出版、映画、音楽・放送のそれぞれのプロをゲストに招いて話を聞くほか、雑誌の企画や映画のストーリーを考えるプレゼンテーションを通してアイデアの発想力、文章表現力も学ぶ。「さまざまなジャンルに触れておくことで社会に出てからも自分に合ったキャリアを積んでいける」と講義を担当する石原卓客員教授は狙いを語る。
キャンパス内には音響、放送、カメラなどの設備やコンピューターがそろい、最新の機材を使って実技や演習ができるのも特長だ。また、教授陣は各界の最前線で活躍するプロフェッショナルばかり。ドラマ「西部警察」で刑事リュウ役を演じた加納竜さんは「舞台芸術コース」の教授。声優コースの教授、渡辺菜生子さんはアニメ「ちびまる子ちゃん」のたまちゃん役を担当する声優だ。学生たちは毎年、声優の名門「青二プロ」のオーディションに挑み、多くの卒業生が声優として活躍している。

空間、絵画など７コース１０専攻　コース、専攻超えた作品づくりも

デザイン美術学科は７コース１０専攻。グラフィックデザイナーの松井桂三さん（左端）をはじめ、第一線で活躍するアーティストら教員陣が直接指導する デザイン美術学科は「グラフィックデザイン・イラストレーション」「空間演出デザイン」「アートサイエンス」「キャラクター・マンガ・フィギュア」「アニメーション・デジタルデザイン・ゲーム」「工芸・立体デザイン」「絵画・版画」の７コース１０専攻に分かれている。１年次の前期に、７コースの基礎実習から自分に合った三つを選んだ上で、後期に専攻コースを選択する。
各コースでは、少年ジャンプなどで作品を発表している漫画家の凸ノ高秀さん、世界のファッション誌で活躍する写真家の畑口和功さん、国内外で数々の受賞歴を誇る建築家の谷尻誠さんをはじめ、それぞれの世界を究める教員陣から直接指導が受けられる。
音や映像、データ通信など最新のテクノロジーとアート・デザインを融合させ、未知の体験を提供する作品づくりを目指す「アートサイエンスコース」では、ライブの映像演出などインタラクティブコンテンツの企画、制作を手掛ける第一人者、木村幸司さんが担当教員を務める。同コースで学ぶ学生が昨年、若手アーティストを発掘する国際的なコンテストで上位受賞を果たした。

学生に人気の「クリエイティブ研究」は、専攻外のジャンルの授業を受けることができる また、コースや専攻の枠を超えたジャンルとの組み合わせで作品づくりができる「クリエイティブ研究」は学生に人気の授業だ。グラフィックデザイン専攻の学生が金属工芸やデジタルデザインを取り入れたアパレル作品でブランドショップを立ち上げ、キャラクター・マンガ専攻の学生がフィギュアやスマホケースを作るなど学生の創作意欲を満たしている。
松井桂三学科長は「どんな社会でも求められる、さまざまな分野を結び付けて自分の発想を形にしていくディレクション力を養うことができる」と語る。

１年次から就職や進学、資格取得に役立つ講座や説明会を開き、希望や個性に合わせたサポートをしている。メディア・芸術学科における１年次のプレ・ゼミナールでは社会人の心構えを学びながら企業研究も行う。各学科から教員１人ずつが参加する就職委員会も定期的に開催。全学生の内定状況をフォローアップしながら就活を支援する。
何より２年間の実践的な授業や創作活動を通し身に付けるコミュニケーション力や表現力、協調性こそが芸短生の強み。教員の手厚いサポートと幅広いネットワークも心強い。

芸短は大学名に「大阪」が付いているが、３学科のうち「メディア・芸術」「デザイン美術」の２学科が伊丹市にキャンパスを置く。神戸方面からのアクセスは、阪急伊丹駅、山本駅、ＪＲ中山寺駅など複数の経路がある。キャンパスは緑豊かで広々としている。荒牧バラ園に隣接し、四季の自然が美しい。

〝頼れるお姉さん〟常駐

表現や創造目指す人に

多分野の友人から刺激

メディア・芸術学科　ポピュラー音楽コース１年　本間志乃さん