新時代へコースを再編
神戸親和女子大学

新時代へコースを再編

神戸親和女子大学の学びが2020年4月から変わる。教員養成に定評のある発達教育学部児童教育学科に中学校教諭1種免許(英語・数学=申請中)が加わり、文学部総合文化学科では国際人を養成する2コースが開設され、1年間西オーストラリア大に留学するカリキュラムも設ける。「超えていけ、じぶん」を合言葉に学生の可能性を最大限に伸ばす教育を目指す。

総合文化学科

国際的人材育成に注力「日本を学ぶ」「世界で学ぶ」

国際コミュニケーションコースの2年次に1年間の留学を行う「西オーストラリア大学」。同大学の授業料は神戸親和女子大が負担 総合文化学科は「日本語・日本文化コース」「国際コミュニケーションコース」の各コースに生まれ変わる。経済のボーダレス化が進む中、国内外で活躍できる国際人の養成を目指す。
日本で働く外国人が増え、日本語教育を担う人材の養成が急がれている。「日本語・日本文化コース」ではそのような背景を受け、従来に増してより深く日本語、日本文化、日本語の教え方を学ぶカリキュラムの充実を図る。日本語教員だけでなく中学・高校の1種免許(国語)とのダブル取得を目指すことができるほか、国内外で活躍できる人材の育成を目指す。20年にはインドの日本語学校と連携し、インターンシップを開始する予定だ。
「国際コミュニケーションコース」では、1年次から英語、中国語の基礎力を磨き、2年次に1年間、西オーストラリア大学(CELT)への海外留学を必修で課す。留学先の西オーストラリア大学の授業料は神戸親和女子大が負担。希望者は中国の大学への留学も可能だ。留学先では語学力を高めるだけでなく、インターンシップやボランティア活動などにも参加し、多文化共生社会を実体験する。4年次でTOEIC750点以上、中国語検定2級以上を目指す。
また学科共通科目として、国際的視野、課題解決力、協働力、企画力を育てるための科目を設置するとともに、企業、自治体などの現場で学ぶフィールドスタディで社会人としての実践力を育て、就職に結び付ける。

ジュニアスポーツ教育学科

社会的課題に応える3コース

スポーツの重要性や役割が高まる中、コーチングやマネジメントなどの学びで活躍できる人材を養成する「ジュニアスポーツ教育学科」 健康への関心の高まり、地域スポーツクラブの増加など社会におけるスポーツの果たす役割が増す中、発達教育学部ジュニアスポーツ教育学科ではスポーツの経験を社会に生かすための学びの場として新たに3コースを設ける。
「学校体育・スポーツ教育コース」は体育の授業づくりとスポーツコーチングについて、「スポーツ心理・健康福祉コース」ではスポーツをする際の心、身体、人々の健康づくりについて、また「生涯スポーツ・マネジメントコース」では地域の活性化と長寿社会を支える生涯スポーツ環境づくりについて学ぶ。卒業後の進路としては、中学校・高等学校1種免許(保健体育)を取得して教職に就いたり、スポーツインストラクターやスポーツ関連企業社員、公務員(警察・消防)などが一般的。実業団選手など競技者として活躍する道もある。
サッカー、バレーボール、バスケットボール、ソフトボール、テニス、ソフトテニス、剣道を七つの強化クラブに指定し、大学を挙げてスポーツを応援している神戸親和女子大学。19年4月に開設された大学スポーツセンターでは、こうした学生のスポーツ活動支援、地域の人々に合った運動プログラムの開発のほか指導者のあるべき姿を実践と研究を通して模索する。また、20年秋には親和アリーナ(第2体育館)が完成する予定。より充実した環境で授業やクラブ活動などが行えるようになる。

児童教育学科

西日本の私立女子大学で初 中学教諭1種免許(数学)取得可
3コース新設海外施設と提携

イタリア教育研修。子どもたちの前でソーランを披露する親和の学生たち=マリア・コンソラトリーチェ幼小一貫校 児童教育学科では教育現場の改革に合わせた人材養成を目指し、「小学校・中学校教員コース」を新設。従来の小学校教諭1種免許に加え、中学校教諭1種免許(英語・数学=申請中)を取得し、専門性を持った教員として送り出す。
中学校教諭(英語・数学)養成課程を新設する狙いは、小中一貫教育に備え、小学校で必修化される英語、プログラミング教育について中学英語・数学への専門的な理解を深めること、小学校高学年の教科担任制への対応も可能になる教員を養成する。小学校教諭1種免許と数学の中学校教諭1種免許を合わせて取得できるのは西日本の私立女子大学では初めて。
「小学校教育プラスコース」では小学校教諭に加え幼稚園教諭、そして発達障害をはじめサポートが必要な子どもたちと向き合える特別支援学校教諭1種免許取得を目指すことが可能。「幼児教育・保育コース」は、幼稚園教諭1種免許、保育士資格のダブル取得を目指すことができる。さらに同科は、世界で最も優れた10の学校に選ばれたイタリアのレッジョ・エミリア幼稚園やドイツのフレーベル幼稚園、世界の最先端教育を実践するトロント大学付属小学校・幼稚園など初等教育の先進施設で学べる連携プログラムが充実。
三つのコースでは、「特別支援教育」「子ども学」「教育学・教育心理学」「芸術・体育」「教育保育実践」「小中一貫教育」「国際教育」の七つの学びのプログラムが用意され、免許・資格取得のための本格的な学び以外に、自分の関心事を広く学ぶ機会が用意され、「なりたい先生像」に近づくことができる。

心理学科

「公認」「臨床」の資格取得

職場や学校での人間関係のストレス、子育てや介護の悩みを抱える人が増え、「こころのスペシャリスト」への期待が高まっている。発達教育学部心理学科では大学院心理臨床学専攻と連携して、従来の臨床心理士の養成に加え、18年から国家資格である「公認心理師」を養成する教育課程を開設している。  臨床心理学の知識や技術を生かして心の専門家として役割を果たすのが臨床心理士。これに対し公認心理師は日本で初めてとなる心理専門職の国家資格で、医療、福祉、教育など幅広い分野で、心身に問題を抱える人々の支援を行う。心理学科では、併設する大学院を修了することにより公認心理師と臨床心理士との資格ダブル取得を目指すことができる。
また、「現代女性のための心理学プログラム」「子どもの心がわかるプログラム」「公認心理師・臨床心理士(心の専門家)プログラム」の三つを用意し、一つの分野を重点的に学んだり、興味のある分野を複数学ぶこともできる。

キャンパスらいふ

学外授業で針路に刺激

地域活性化プロジェクトで「三田青磁」を広く発信 中学校の国語教員になるつもりで入学したのですが、フィールドスタディの授業で三田青磁を広く発信する地域活性化プロジェクトに携わって、商品をマーケティング、企画する面白さに目覚めました。今では一般企業への就職を目指しています。キャンパス内にあるシアトルズベストコーヒーとゼミ室が私のお気に入り。友人や先輩らと勉強し、刺激を受けながら充実した時間を過ごしています。

下宿仲間でカフェ巡り

徳島県出身で、大学のすぐ近くで下宿生活を送っています。下宿している友達同士で行き来して、ワンルームの部屋に多いときで7人くらい集まってわいわいとたこ焼きパーティーなどをしています。休みの日は、連れだって三宮や大阪へ出掛け、買い物やカフェ巡りを楽しんでいます。何でも自分一人で考え、動くようになって、引っ込み思案だった自分が想像できないほど積極的になりました。
(文学部3年・宮脇千晴さん)

学長に聞く

生き抜く人間力を養う

三井知代学長
―新たな教育ビジョン「SHINWA VISION 2030」の狙いを。

1887年に開校した本学は「誠実(まことのこころ)、堅忍不抜(やりぬくこころ)、忠恕温和(思いやりのこころ)」という校訓のもと人間形成を重視した教育に取り組んできました。グローバル化が進み、ITやAI(人工知能)など科学技術が発展し、人生100年時代を迎えた現在、激動の時代を生き抜く人間力が求められています。そこで本学では三つの「超えていく力」、すなわち「課題解決力」「コミュニケーション力」「自分の限界を超える力」を育てていきます。こうした思いのもと今後10年を見据えたビジョンを定め、教育改革に取り組んでいます。

―改革の具体的な中身は。

2020年度から新たなコースを設けます。例えば発達教育学部児童教育学科では、小学校教諭1種免許に加え、中学校教諭1種免許(英語・数学=申請中)の取得が可能となり、小学校の英語・算数教育で中心的な役割が果たせる教員を養成します。文学部総合文化学科では、日本語教員と中学校・高等学校教諭1種免許(国語)の取得が可能な「日本語・日本文化コース」、全員が1年間西オーストラリア大学に留学する「国際コミュニケーションコース」を設け、内外で活躍する国際人の育成を目指します。

―「親和らしさ」とは。

本学は全学生1700人程度の小規模な大学です。教職員が学生一人一人に寄り添い育てる教育が強みです。「可能性を試したい」と考えている学生の適性を見いだし、温かく、時に厳しく接し社会に送り出していく。そして、生涯にわたり支えとなる学びと出会いの場を提供していきます。

在学生からのメッセージ

課外プログラムも充実

発達教育学部児童教育学科4年 高橋優果さん(21)

中学生の時に「トライやる・ウィーク」で小学校の職場体験をしたことをきっかけに、子どもたちの成長に深く関わることのできる小学校の先生を目指すようになりました。「先生になるなら、親和」の言葉通り、多彩で充実したカリキュラムと先生方の親身で温かい指導、仲間思いの同級生たちのおかげで7月に行われる教員採用試験の目標に向かうことができています。
小学校に出向いて教室で子どもたちの学習を支援する学校園ボランティア、さまざまな理由で学校に行けなかった高齢者のために文字の書き方を教える識字教室での指導など、課外での教育プログラムが充実しているのも親和ならでは。そのような場には積極的に参加するようにしています。子どもたちの挑戦する気持ちを後押しできるような先生になることが目標です。

大学概要

住所 鈴蘭台キャンパス=神戸市北区鈴蘭台北町7の13の1
三宮サテライトキャンパス=神戸市中央区三宮町1の9の1、三宮センタープラザ9階
アクセス 鈴蘭台=新開地駅―神戸電鉄鈴蘭台駅徒歩10分。三宮、三田、小野からスクールバス利用可
三宮=JR三ノ宮、阪急・阪神神戸三宮、神戸市営地下鉄三宮駅徒歩5分
学部(本年度定員) 文学部(60人)、発達教育学部(355人)
教員 教授52人、准教授17人、講師8人
在学生 1680人
ホームページ https://www.kobe-shinwa.ac.jp/

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