医療の中核担う力育む
兵庫医療大学

医療の中核担う力育む

兵庫医療大学は薬学部、看護学部、リハビリテーション学部(理学療法学科、作業療法学科)の3学部4学科を擁する医療総合大学だ。2007年の開学以来、兄弟校である兵庫医科大学との連携で、チーム医療や地域医療を担う人材の養成に力を入れている。

地域包括ケア 視野に

「ビジョン20」策定

17年に迎えた開学10周年を機に、次の10年で目指すべき姿を示した「兵庫医療大学ビジョン20」を策定した。到達目標は「西日本を代表する医療総合大学としての教学基盤の確立」。基軸に掲げるのは「兵庫医科大学との協働」「医療専門職者としての、高い専門性と、人間力の醸成」「次代を拓(ひら)くヘルスサイエンスの深化と創出」「地域社会との双方向の教学実施による社会連携」「安全・安心な大学環境の維持・健全な管理運営」の5項目。
行動計画として「医療専門職者として必要な知識と技術の修得とコミュニケーション力を育む」「地域医療課題解決型カリキュラムを充実する」「兵庫県多自然地域の地域創生に取り組む」などを挙げる。25年以降に構築される地域包括ケア体制の中核となり、次世代の医療科学を担う人材の育成を目指している。

臨床で多職種連携を実践

医科大、付属病院が協力 少人数で症例診断演習

看護師、薬剤師、理学療法士を目指す学生が協力して課題に取り組む。「チーム医療」に必要な知識と連携力を育む これからの医療現場では医師だけでなく看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士などの医療専門職者が協力して最適な治療・ケア方針を決める「多職種連携(チーム医療)」が不可欠となる。  兵庫医療大学では医療総合大学の強みを生かし、兵庫医科大学や兵庫医科大学病院と一体となりボーダーレスな教育環境を整えている。学生は臨床実習などを通して実地に「多職種連携」を身に付けることができる。
また、1年次から全学部学科合同で「医療概論」を受講し、医療の歴史や制度、倫理観などを学ぶ。学部混成の少人数グループを編成し、兵庫医科大学病院で「早期臨床体験実習」を行うのも特徴だ。
3年次には各学部の専任教員による専門職についての講義を、他学部の学生を対象として実施。4年次には兵庫医科大学医学部の学生とも合同で少人数のグループを編成し、与えられた症例の診断を行い、治療やケア、療養などの方針を決める演習も行う。こうした手厚い教育により、17年度は看護師、助産師、理学療法士の国家試験で100%の合格率を達成した。

全学挙げて地域貢献

山南町で薬草の商品開発

丹波市山南町の住民と一緒に薬草「トウキ」の栽培に取り組む薬学部の学生ら。商品開発にも携わる 地域密着を目指す兵庫医療大学は15年4月に「社学連携推進機構」を開設し、全学挙げて「地域貢献」に取り組んでいる。  その一つが「地域医療解決型カリキュラム」。大学で身に付けた技能を社会でどのように生かすかを修得するのが目的。地域の医療課題の発見や解決能力を養うことで、専門職の役割を考える場となる。
学生の企画が実を結んだのが、江戸時代から薬草の産地として知られる丹波市山南町での地域貢献活動だ。教員も参加してチーム「薬活オウルズ」をつくり、現地に拠点を設け、16年度から「もっと兵庫の薬草を知ろう・広めよう・味わおう」プロジェクトを始めた。
注目されるのが、山南町で婦人病薬の主薬とされてきた薬草「トウキ(当帰)」に関する取り組み。兵庫県の「大学等との連携による地方創生拠点形成支援事業」にも採択され、学生らはトウキを学ぶイベントや商品開発に知恵を絞る。すでに「とうき葉うどん」や「とうき葉塩」「とうき葉ふわり塩」「とうき葉ぱん(アンパン)」が販売され、葉を食材としたてんぷらなどのレシピも考案。薬草産地の活性化にもつなげる試みだ。
また、神戸市と連携して「介護予防推進サポーター養成プロジェクト」を15年度から始め、講座を修了した住民を「健康づくりサポーター」に認定。「地域住民の、地域住民による、地域住民のための健康づくり」を掲げ、神戸市のあんしんすこやかセンターの健康教室を支援している。

1年生から就職活動支援

連携125機関が合同説明会

125の医療機関による「連携病院の会」は毎年、全学生を対象に合同説明会を実施。高い就職率につながっている キャリアデザインセンターでは、1年生を対象として社会人スキル対策講座を実施する。学年が進むにつれて仕事研究セミナーやインターンシップなどにステップアップし、情報提供や個別相談に加え、公務員採用支援対策講座や模擬面接などをもって進路実現をサポートする。
125の医療機関が加入する「学校法人兵庫医科大学連携病院の会」は、毎年、本学体育館において、全学生を対象にした合同説明会を開催。ほぼ100%の就職率につながっている。
現場で活躍している看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士が働きながらキャリアを磨く教育プログラムにも力を入れている。文部科学大臣認定「職業実践力育成プログラム」として「地域在宅看護実践力育成プログラム」と「PT・OT臨床力ステップアッププログラム」を開講。前者は在宅看護の実践力向上、後者は多職種連携において指導力を発揮できる理学療法士・作業療法士育成のカリキュラムだ。大学院の修士課程では、厚生労働省の給付金を受けることや、長期履修制度を利用することもでき社会人にとって履修しやすい環境となっている。

キャンパスらいふ

模擬店や舞台 学園祭を満喫

1年のときの学園祭では模擬店でチュロスを販売 大学祭ではリハビリテーション学部の1年生でチュロスの模擬店を出したり、作業療法の一環として授業で習った革細工のワークショップを開いたりしました。サークルは「ダンス」と「手話」に所属し、大学祭では野外ステージでダンスを披露。手話歌にも挑戦しました。大学祭のミスコンに出場したのも楽しい思い出です。夏、校庭から神戸の花火大会を眺めるのもすてきなイベントのひとつです。

マンションで新たに友達が

大学のあるポートアイランド内の学生マンションに住んでいます。他大学の学生もたくさんおり、セキュリティーもしっかりしているので安心です。大学の友達とは別に、マンションでの友達ができ、休日にはお互いの部屋を行き来して食事やおしゃべりをして過ごしています。島内にスーパーがあるので自炊にも便利。家族と離れましたが、寂しさを感じることはないですね。
(リハビリテーション学部3年・西谷さくらさん)

学長に聞く

チーム医療の実践強み

藤岡宏幸学長
―兵庫医科大学と連携。
本学は2007年に兵庫医科大学の兄弟校として開学しました。薬学部、看護学部、リハビリテーション学部(理学療法学科、作業療法学科)の3学部4学科を擁し、国家資格を目指す医療総合大学です。最大の特徴は兵庫医科大学との連携によるチーム医療教育。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士などの専門職者がチームで、患者と共に病気と闘うのが今の医療です。本学では学部を超えた多職種連携教育を実践します。1年次の「早期臨床体験実習」では3学部合同チームをつくり大学病院で実習。さらに、兵庫医科大学の医学部生を加えた4学部合同のグループでチーム医療を体験します。4年次の「チーム医療論演習」でも4学部のグループで、実際の症例を基に治療方針を討論し、発表するグループワークを実践。その後、大学病院で医師ら専門職者が指導を行います。異なる専門職者の仕事を学び、コミュニケーションと協働のスキルを身に付ける授業は、付属病院を有する本学ならではです。

―開学20周年に目指すべき姿「兵庫医療大学ビジョン20」を策定しました。

「中核的医療人の育成」を掲げ、各職場でリーダーとなる人材輩出を目指します。診療実務と自己研鑽(けんさん)ができ、直面する課題の研究に取り組める人材です。医療人は新しい知識や技術を常に学び続け、それらを後輩に教育することが重要。科学と医療を両輪とする研究も本学の使命です。

―高校生へメッセージを。

医療系はいわゆる理系の学問ですが、背景には必ず人や社会が存在します。人が好きで、人に寄り添い、社会に関わることができる人物であることが大切だと考えています。

在学生からのメッセージ

他学部生との交流役に

薬学部2年 久野優花さん(19)

子どもの頃から薬剤師になるのが夢でした。看護学部やリハビリテーション学部など、医療系の学部がそろっていることから入学を決めました。昨年、他学部と合同で実施した多職種連携教育の授業でプレゼンテーションを行いました。いろいろな学部の学生と話すことで、薬学部だけでは得られない知識や考え方を吸収でき、この経験はきっと将来役に立つと確信しています。
4人一組となり先生と面談するアドバイザー制度では、毎週勉強の目標を設定し、達成度のチェックやアドバイスをしてもらいます。先生方はとても気さくで話しやすい方ばかりです。薬剤師は病院以外にも施設や創薬企業など多彩な活躍の場があります。どの分野で働くことになっても、大学で共に学んだ仲間とまた一緒に仕事をする日がとても楽しみです。

大学概要

住所 神戸市中央区港島1の3の6
アクセス ポートライナー「みなとじま(キャンパス前)」徒歩10分
神姫バス「三宮(そごう前)」から直通バス「ポーアイキャンパス」行き(約12分)「ポーアイキャンパス東」下車すぐ
学部(本年度定員) 薬学部医療薬学科150人、看護学部看護学科100人、リハビリテーション学部(理学療法学科40人、作業療法学科40人)
教員 教授39人、准教授20人、講師31人、助教27人、助手4人(5月1日現在)
在学生 1764人(大学院生含む)
ホームページ https://www.huhs.ac.jp

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