朝日放送テレビアナウンサー(神戸大学海事科学部卒業)
齋藤真美さんに聞く

いかに  頑張るかが大事

▽さいとう・まみ
1988年、大阪市出身。神戸大学海事科学部を卒業。2012年に朝日放送(現・朝日放送テレビ)入社。担当番組は「おはようコールABC」(月~金午前5時)、「ナイトinナイト『なるみ・岡村の過ぎるTV』」(月午後11時22分)。4歳年上の姉、齋藤裕美さんも、毎日放送出身のフリーアナウンサー。

テレビのバラエティー番組や情報番組で活躍する朝日放送テレビアナウンサーの齋藤真美さんは、神戸大学の海事科学部出身。華やかなイメージの女性アナウンサーでは異色の学歴の持ち主で、「研究室でこつこつ実験するのが大好きだった」という。根っからの理系女子の齋藤さんがアナウンサーの道に進んだ経緯や、現在の仕事への思いを語ってもらった。

研究室で実験漬けの毎日

―なぜ海事科学部へ。

齋藤真美さん 実は1浪していて、現役の時は神戸大学の工学部を受験しました。翌年、理工系を全般的に学べる「海事科学部」があることを知ってチャレンジ。高校の頃から数学や化学が好きで、将来は何かものづくりに携わりたいと漠然と考えたからです。海事科学部というと船員になるイメージですが、実はエネルギー科学、環境科学、機械設計など、工学系の学科が幅広くそろっているんです。入学後は、「エネルギーっておもしろい」「機械や電気工学の仕事に就けないかな」など具体的な興味がどんどん湧いてきました。

―大学時代の勉強で心に残っているのは。

なんといっても1年次に行われた1カ月間の乗船実習。朝6時に起きて甲板で体操、掃除。船員さんについて1カ月間ずっと船内で生活し、実技を学びます。厳しい環境での集団行動でしたが、意外なことにそれが楽しくて。体育会系のような生活の良さに初めて気付きました。その後は電気工学系の研究室に入り、実験に明け暮れる毎日。卒論のテーマは燃料電池の電極板の研究でした。独り実験室で徹夜することもよくあったのですが、全く苦にならないほど没頭しました。こつこつ研究することは、本当に楽しい経験でした。

―アナウンサーになったのはなぜ。

学生時代の私はアナウンサーという仕事とかけ離れていました。メーカーに就職して研究職を目指したいという夢もありました。でも姉がアナウンサーだったことや、アナウンサー試験が他より少し早かったこともあり、ダメモトで受験したんです。受かったのは運が良かったとしか思えません。ただ、面接ではエントリーシートを見て面接官が、必ず「海事科学部って何?」と食いついてくれました。おかげでいろいろな学校でのエピソードを話すことができました。文系が多い中で「海事科学部」が勝因だったのかもしれません。
入学後も工学部を落ちたことがすごく悔しくて、ひっかかりはずっとありました。この学部を選んで良かったと思うのは、私の興味の幅を広げてくれたこと、そして就活を成功させてくれたことも大きいですね。

―理系への道をあきらめたことにジレンマは。

アナウンサースクールに通った経験もない私はアナウンサーの知識がゼロ。入社後は仕事を覚えるのに精いっぱいでした。ジレンマを感じる余裕すらなかったというのが正直なところです。テレビの仕事は一回一回必ず何かが生まれ、手応えもあり、反省もあり、刺激的です。まるでものづくりのようで、一度経験すると手放せない魅力があります。

―どんなアナウンサーになりたいと。

入社前は、出演者の引き立て役としてきちんと情報を発信することがアナウンサーの役割と思っていました。でもそれだけではなく、自分のキャラクターを出すことも大事なんですね。今、「なるみ・岡村の過ぎるTV」というバラエティー番組でお笑いタレントのなるみさんとナインティナインの岡村隆史さんとご一緒しています。岡村さんにズバズバ言うキャラクターとして周知されてきたのかなと思います。お笑いタレントのなるみさんら他の出演者の刺激となり、番組を盛り上げられるよう、コメント力、瞬発力を磨きたいと思っています。

―華やかな世界ですね。

練習船実習での作業服姿の齋藤真美さん(右から3人目) 練習船実習での作業服姿の齋藤真美さん(右から3人目) 多くのビッグな方とご一緒でき、いまだに収録中も自分がテレビを見ているみたいだなと感じます。もちろん、イメージと違っていた面もたくさんあります。1年目で神戸マラソンを走る仕事をいただき、独り黙々と走る練習をした時や、顔にペンキを塗ったコスプレでジョニー・デップさんにインタビューした時は、一体何をやっているんだろうとちょっと悩みました。
落ち込んだときは「一人プラネタリウム」でストレス解消。満天の星の中にいると、小さいことで悩んでいるんだなと感じ、もやもやが吹っ切れるんです。

―これからの目標は。

理系の素地(そじ)を生かせないかという思いは持っていて、「ブラックホール撮影成功」や「はやぶさで人工クレーター作成」などのニュースにときめく自分がいます。担当する「おはようコール」のプロデューサーに相談したら、医療系の企画を担当することに。お医者さまと一緒に解説する7、8分間のコーナーでしたが、準備段階からのめり込み、大学時代の実験のわくわくした気持ちを思い出しました。この楽しさを、テレビを見ている方に伝えたいと思っています。科学やものづくりの現場を深く掘り下げて取材し、学んだ知識を番組づくりに生かしていきたい。それが一番の目標です。

―高校生へメッセージを。

挫折で始まった大学生活でしたが、入学してみると意外な勉強の楽しさを発見できました。専攻とは違う分野の仕事に就きましたが、大学の勉強が役に立つことがたくさんあると気付かされました。実際に進んだ道でいかに頑張るかが大事。たとえ何かに失敗したとしても、肩の力を抜いて広い視野で考えると、きっと世界が広がると思います。

特集大学

  • 関西学院大学
  • 甲南大学
  • 神戸大学
  • 兵庫県立大学
  • 神戸学院大学
  • 兵庫医療大学
  • 関西国際大学
  • 流通科学大学
  • 甲子園大学
  • 姫路獨協大学
  • 神戸常盤大学
  • 神戸親和女子大学
  • 神戸海星女子学院大学
  • 頌栄短期大学
  • 大阪芸術大学短期大学部  伊丹キャンパス

特別インタビュー