園田学園女子大学は人間健康学部(総合健康学科、人間看護学科、食物栄養学科)と人間教育学部児童教育学科、短期大学部(生活文化学科、幼児教育学科)を設置し、約1800人が学生生活を送っている。教室で学んだことを社会でどのように生かされるかを実感する「経験値教育」のプログラムは知識を生きる知恵や力に変えていく学びとして全国的にも注目を集めている。
地域が抱える課題の解決を目指す調査・研究「つながりプロジェクト」
園田学園女子大学では、教室で学んだ理論をもとに社会で実践することで知識を知恵に変える力をつける教育を「経験値教育」と名づけ、学生の成長につなげている。文部科学省に選定された「地(知)の拠点地方創生事業」に基づき取り組んでいるもので、同事業の中間評価では全国76大学中で7大学が獲得した最高ランクの「S」評価だった。
同事業の4年目となる2016年度からは、課題解決型科目「つながりプロジェクト」が全学部学科の2年次の必修科目に設定。340人の学生が学部学科横断のメンバー構成で21チームに分かれ、地元尼崎市が抱える課題の調査・研究に当たった。テーマは「地域子育て支援」「『笑い』による健康増進プログラムの開発」「100年の森づくりから生物多様性で遊ぶプログラムをつくる」など多様で、1年かけて地域に入り込みながら提案を練り上げ、2月に最終発表会を行った。
栄養相談や子どもを対象にした食育活動を行う「そのだスポーツ栄養ナビステーション」
経験値教育の評価は、学生自身が1年ごとに126項目について自己評価するほか、毎回の活動やそこでの努力、工夫を記録し、その内容についてかかわった地域の方から「自分で学ぶ」「気づく」「考え抜く」「コミュニケーションをとる」「協働する」の5項目について客観的に評価してもらい全体の評価につなげていく。
地域連携推進機構副機構長の大江篤教授は「学生たちは、地域の方々とともに活動することで、社会人になって、あの時のあの経験があるから今の自分があるといえる1年を過ごしたのではないか」と話す。
未就学児の遊び場、子育て相談も受け付ける「そのだ子育てステーションぴよぴよ」 学内で地域とつながる活動も強化している。17年度は新たに「そのだスポーツ栄養ナビステーション」をオープン。食物栄養学科の学生が演習科目「スポーツ栄養」「地域栄養学」の一環として栄養相談活動や子どもを対象にした食育活動を行う。また、「そのだ子育てステーションぴよぴよ」をリニューアルし、在宅未就園児の遊び場を提供するほか、発育・発達など子育てに関する相談も受け付け、人間教育学部児童教育学科や短期大学部幼児教育学科の学生が地域とつながりながら学ぶ場となっている。
昨年、4年ぶりに全日本大学選手権で優勝を果たしたソフトボール部
体育会系クラブの活躍は毎年華々しく、「スポーツのSONODA」として知られる。この1年間も各クラブの選手たちが全日本クラスの大会で顕著な成績を収めた。
名門のソフトボール部は昨年、4年ぶりに全日本大学選手権で優勝の栄冠を勝ち取った。しかも西日本の初戦から全日本の決勝まで9試合連続無失点記録を樹立。関西学生選手権の春秋連覇、西日本大学選手権優勝と合わせ、2度目の「完全制覇」を果たした。今年も、4人のU―19日本代表をそろえており全日本の連覇に期待が集まる。
1970~90年代に大学王座決定試合15連覇を果たすなど、名門の伝統を持つテニス部。昨年の「全日本学生室内テニス選手権大会」で連覇し、今春卒業した加治遥さんに代わって活躍が期待されているのが小池颯紀(さつき)さん(総合健康学科2年)で、「全日本学生室内テニス選手権大会」で3位に入った。
また、陸上部では那須眞由さん(同3年)が日本選手権の棒高跳びで8位入賞したほか、中島ひとみさん(同4年)が全日本学生個人選手権大会の100メートルハードルで5位に入賞した。
今年3月に学内に発足した「そのだスポーツ栄養ナビステーション」では選手強化・競技力向上のための「スポーツ栄養」相談も行っている。スポーツ振興センター板谷昭彦所長は「各クラブのチーム、選手が活用することで成績向上につながれば」とその効果に期待を寄せている。
ニュージーランドでお菓子作りなどを体験した食物栄養学科の学生ら
国際交流センターでは、ニュージーランド(NZ)、豪州、フィジー、インドネシア、台湾、韓国、中国の7大学と提携し、派遣、受け入れプログラムを実施している。中でもNZにある「そのだクライストチャーチキャンパス(SCC)」への留学支援を強化。昨年から各学科の特性に合わせた専門の体験プログラムがスタートし、英語を習得しながら専門への興味を広げるカリキュラムへと進化している。
1980年代にオセアニア地域の大学と学術交流の協定を結んだことを契機に、NZのカンタベリー大学内に「そのだクライストチャーチキャンパス(SCC)」を設置。毎年夏と春に2~3週間の研修を実施しており、これまでに延べ1200人以上の学生が参加している。
以前は全学部全学科の学生が誰でも参加できるよう普遍的なカリキュラムだったが、昨年度は食物栄養学科、今年度は同学科に加え短期大学部生活文化学科製菓クリエイトコースの学生を対象にした専門プログラムをそれぞれ開設。地元の市場見学やパン作り、製菓体験などを通じて日本とニュージーランドの食文化の違いを学べる内容となっている。さらに、人間看護学科の学生を対象にしたプログラムも新設し、病院見学や助産師セミナー、保健所セミナーなどがカリキュラムに組み込まれる。
国際交流センターの村端慶治所長は「プログラムには現地の学生との交流や、安全に十分配慮しながら学生たちだけで街をめぐる機会も設け、主体性を育む工夫もある。専門プログラムは非常に好評で、今後は他学科のプログラムも増やしていきたい」と話す。
川島明子学長
―大学の理念は。
本学は1938(昭和13)年、地域社会の女子教育に貢献することを目的に「捨我精進」を建学の精神として開学しました。以来、「他者と支えあう人間の育成」を理念とし、経験値教育によって精神的、経済的に自立し、社会で活躍し続けられる女性の育成を目指しています。教職員と学生が寄り添って、共に歩むことで培われるつながりの強さを体験できる環境を生かして学生の成長を支援し、学生が他者と互いに育て合い、育ち合いながら、強く豊かな人間力を養う学風を大切にしていきたいと考えています。
―教育の特長は。
「経験値教育」です。授業で得た知識が、どのように社会で生かされるかを実感するために具体的な経験を重ねる本学独自の学びです。講義はもちろん、ボランティアなどの活動から、「知識」と「知恵」、そして「知識を知恵に変える力」の体得を目的としています。全学部学科の2年次において尼崎市をフィールドに、地域の課題解決に向けた企画立案と提言を行う演習科目「つながりプロジェクト」を必修科目としています。学部・学科を越えてチーム編成することで協働の大切さも学ぶ機会になっています。
―女子大の役割について。
女性には就職・結婚・出産など男性と異なるターニングポイントがあり、専業主婦や子育てといった金銭化されない労働をしている期間も大切なキャリアとして捉え、そうした女性の一生涯を支える大学であり続けたいと考えています。経験値教育、さらにはその土台として新しい知識を入れ続けることのできる教養教育を通じ、学生の将来の希望を実現できるようにしっかり支えていきます。
保健室の先生になりたいと思い、養護コースのあるこの大学を選びました。一つの学科に二人の担任の先生がいて親身になって相談に乗ってくださり、高校の時と変わらないくらい先生と距離が近いことに驚きました。入学直後に学生と地域を結ぶ委員会活動「つなGirl」に入り、地域の方の協力を得ながらさまざまなイベントを企画し、地元尼崎の魅力をたくさん知ることができました。大勢の人の前でも気後れせず話せるようになったことが一番の変化です。今後も経験値を積んで成長していきたいです。
住所 | 尼崎市南塚口町7の29の1 |
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アクセス | 阪急塚口駅徒歩10分、阪神尼崎駅から阪神バス13系統阪急塚口行き(11分)南塚口町1丁目下車すぐ、JR立花駅から阪神バス14系統阪急塚口行き(7分)園田学園女子大学下車すぐ |
学部(本年度定員) | 人間健康学部総合健康学科95人、人間看護学科80人、食物栄養学科80人、人間教育学部児童教育学科95人、短期大学部生活文化学科90人、幼児教育学科120人 |
教員 | 教授45人、准教授35人、講師5人、助教13人、助手11人 |
在学生 | 1778人 |
ホームページ | http://www.sonoda-u.ac.jp/ |
日程 | 7月23日(日)・30日(日)、8月11日(金・祝)・20日(日)、9月3日(日)、10月21日(土)、12月24日(日)、3月25日(日) |
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時間 | 午前10時〜午後3時 (10月21日は午後1時まで、12月24日と3月25日は午後2時10分まで) |
お問い合わせ | 入試広報部 ☎︎06-6429-9903 |