神戸常盤大学には保健科学部(医療検査学科、看護学科)、教育学部こども教育学科、短期大学部口腔(こうくう)保健学科(3年制)があり、医療と教育分野に「いのちを支える専門職業人」を数多く輩出している。座学だけでは養えない〝人間力〟の育成に力を入れており、ボランティアや地域交流にも熱心に取り組む。本年度からは全学科共通で一般教養を学ぶ「基盤教育」を開始。知性と感性をともに養い、社会で活躍できる高度な専門職業人を育成する。
臨床検査技師を養成する「医療検査学科」。「細胞検査士」養成の特別コースもあり、ダブルライセンス取得も可能
海を望む高台の緑豊かなキャンパスでは、4学科の学生が専門職業人を目指して学んでいる。
医療検査学科は2012年、臨床検査技師を養成する大学としては全国で初めて文部科学省の指定を受けた。大学病院の技師長経験者をはじめ、多数の資格保持者が専任教員として在籍し、実践的な指導を行う。
看護師を育てる「看護学科」。取得可能資格は看護師のほか保健師、養護教論など
4年次には、がん細胞の推定診断を行う細胞検査士の受験資格が得られる課程を近畿の大学で唯一設けている。通常は臨床検査技師として1年以上の実務経験を積まなければ受験資格を得られないため、在学中に資格を取得できるのは大きな強みだ。学生には各自専用の顕微鏡とタブレットが用意され、教育環境も充実している。
看護学科は県内の私学で最も早く開設され、看護師や保健師、養護教諭の資格取得が可能。クラス担任とは別に「チューター制」をとり、学生4~5人を一人の教員が卒業まで継続的にサポートする。
「口腔保健学科」は県唯一の歯科衛生士養成の短大として08年に開設
教育学部こども教育学科では、保育士や幼稚園教諭、小学校教諭を目指すことができる。施設内にある附属幼稚園や近隣の小学校でのボランティアやスクールサポーターなど、実習の機会も豊富に用意されている。
短期大学部口腔保健学科は、兵庫県唯一の歯科衛生士養成短期大学として08年に開設された。基礎実習室には48台のマネキンが並び、学生が一人1台を占有できる。キャンパス内の附属歯科診療所や、系列の「ときわ病院」で実習が行えるのも特長だ。
本年度から始まった全学科共通科目「基盤教育」。幅広い一般教育のほか、コミュニケーション能力などを養うカリキュラムが豊富
これからの専門職業人には、主体性や意欲、協調性が求められる。本年度開始の全学で共通開講されている「基盤教育」では、幅広い一般教養のほか、チームワークやコミュニケーション能力を養うカリキュラムを豊富に導入。学科の枠にとらわれず、「学ぶ悦(よろこ)び、知る愉(たの)しさ」をより味わってほしいという前学長の思いが込められている。
1年生対象の「まなぶる▼ときわびと」では、全学科合同で6人一組のチームをつくり、ゲームやグループワークを通してチームワークや大学での学び方、異なる分野の視点を学ぶ。6チームを2人の教員がファシリテーターとして担当し、主体的な学習を支援。昨年度までの全学共通科目である「キャリア基礎」に比べて授業時間数は倍以上に増えており、よりレベルの高い学習の実現を目指す。
協調性や探求力、表現力、自己管理力など、試験だけでは測れない力を公正に評価するため、学習到達度を示す基準を細かく設定した「ルーブリック評価」を採用し、学生に公表しているのも特長だ。アクティブラーニングの取り組みは広まっているものの、1年生全員が必修の科目で、ルーブリック評価を取り入れている大学は全国的に極めて少ない。きめ細かな評価体制は、学生13人に対し教員一人という少人数教育だからこそ実現できる強みだ。
ほかにも、他学科の教授に教わる「大学道場miniゼミ」や、毎回の授業で各界の第一人者を講師に招く「芸術文化論」など、学部間の壁を取り払った自由な学びを実践。また、地域でのボランティア活動も本年度から新たに単位認定する。阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた長田区にある唯一の大学として地域に貢献できるよう、学生に主体的に行動してほしいという意図だ。
「こども教育学科」は「保育者養成コース(保・幼)」と「教育養成コース(小・幼)」の二つ。常盤出身の教育者が第一線で活躍している
こども教育学科には、短大時代を含めて50年以上の歴史がある。輩出した保育士・幼稚園教諭はのべ約1万人に上り、多くの卒業生が教育の第一線で活躍を続けている。その実績は高く評価され、卒業の時期になると、本学学生を指定で求人が続々と寄せられる。実績の高さと就職先の多さは学生にとっても大きな魅力となっており、毎年受験者数を伸ばし続けている。
学びの質を高め、卒業生が小・幼・保の希望した職域で活躍し続けることができる実践力の養成に力を注いでいる。そのため、保育士、幼稚園教諭を目指す「保育者養成コース」と、幼稚園教諭、小学校教諭を目指す「教員養成コース」の二つのコースから2年次に希望コースを選択し、より専門性の高い学びのカリキュラムを展開している。
これまで、小学校教諭、幼稚園教諭、保育士すべての免許を取得可能としていた同学科。しかし、社会的動向を踏まえ、応用力の高い専門職を目指すべく取得免許を考え、早い段階から進路を見据えることで、集中的に高度な学びが可能となった。また、コース制により従来以上の少人数教育が実現し、よりきめ細かな指導につながっている。空いた時間は学外でのインターンシップやボランティアに活用し、実践力を鍛えている学生が多い。
大正期の私立家政女学校の生徒ら。学校法人玉田学園は110周年を迎える
神戸常盤大をはじめ、神戸常盤女子高等学校やときわ幼稚園などを擁する学校法人玉田学園は、2018年に創立110周年を迎える。こども教育学科の学生や高等学校の生徒がときわ幼稚園で実習や見学を行うほか、医療系の学生が関連施設のときわ病院で実習を行うなど、学園内での連携、つながりを大事にしている。このほか、大学が主体となって子育て支援センターを運営するなど、地域活動にも力を入れる。今後は次の10年を見据え、学園内の結びつきをより強固にすることを目指す。
濵田道夫学長
―教育の特色は。
知性と感性を備えた専門職業人を輩出することが、本学の存在意義です。医療と教育に携わる人間は、さまざまな形でいのちに向き合うことになります。学生には知識に偏りすぎず、いのちに対する豊かな感受性を持ってほしい。全学科合同の基盤教育科目の一つ「いのちと共生」では、オムニバス授業で、医療、生物学、看護、社会学、経済などさまざまな切り口で命を巡る問題を扱います。自分の専門分野にはない視点や考え方から、いのちへの理解を深めてくれることを願っています。
―今年度から学長に。
神戸市長田区にある唯一の大学として、学内一丸で地域に密着しているのを実感しています。特に力を入れて取り組んでいるのが、新長田駅近くの子育て支援センター「えん」の活動。教職員とこども教育学科の学生で運営しており、今年で7年目を迎えました。今後は外国人親子の支援も視野に入れながら、全学的に運営できるよう、機能拡充を予定しています。また、年に一度、学生を中心に「ときわ健康フェア」を開催し、地域の方の健康チェックなどを行っています。
―防災や国際交流の取り組みにも熱心です。
2015年には神戸市内の大学で初めて、災害時の福祉避難所に指定されました。実習用のベッドや衛生備品を要援護者の安全・安心な避難生活に役立てます。また、全学生が1年次に市民救命士の資格を取得しています。国際交流は、ネパールと20年以上にわたって交換留学を行っています。日本と異なる状況の中で、いのちについて考えてもらうことが狙いです。
理科の実験が好きだったことから、臨床検査技師を目指して入学しました。四つの部活を掛け持ちしつつ、子宮頸がん検診啓発のボランティアに取り組んだり、ネパールと米ボストンに研修に行ったりと、充実した学生生活を過ごしています。今は細胞検査士を目指して勉強に没頭する毎日です。神戸常盤大は近畿で唯一、在学中に細胞検査士の資格取得が目指せる環境が魅力。勉強を頑張ってこられたのも、明確な目標があったから。臨床検査技師、細胞検査士の資格を取得して卒業し、医療で社会に貢献していきたいです。
住所 | 神戸市長田区大谷町2の6の2 |
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アクセス | 神戸高速鉄道西代駅徒歩9分、JR新長田駅徒歩15分 |
学部(本年度定員) | 保健科学部(155人)、教育学部(80人)、短期大学部口腔保健学科(70人)、短期大学部看護学科通信制課程(250人) |
教員 | 教授40人、准教授19人、講師28人、助教12人、助手3人 |
在学生 | 1300人(男242人、女1058人)、通信制課程356人(男30人、女326人) |
ホームページ | http://www.kobe-tokiwa.ac.jp/univ/ |
日程 | 7月9日(日)、8月5日(土)、9月2日(土) |
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時間 | 午後1時〜午後4時半(受付は午後0時半から) |
お問い合わせ | 入試広報課 ☎078-611-1821 |