学びの場 世界へ広げて
神戸親和女子大学

学びの場 世界へ広げて

神戸親和女子大学は文学部総合文化学科、発達教育学部(児童教育学科、心理学科、福祉臨床学科、ジュニアスポーツ教育学科)、通信教育部、大学院文学研究科で構成されている。学外活動などの「オフキャンパス」を重視した実践教育に力をいれており、特に海外での研修やインターンシップ、国際交流の充実ぶりが高い評価を受けている。学ぶ側の主体性を重視するアクティブ・ラーニングでも、こうした実践教育が役立っている。学びの場はキャンパスを越え、地域へ、そして世界へ広がっている。

進化する海外研修プログラム

現地の学校で教育実習 実践的カリキュラム好評

アメリカで教育実習。現地の子どもたち相手に英語を使って奮闘=パロアルト市公立小学校 同大学が設ける海外研修は現在、計16プログラムに及び、年間の参加者数は約120人と在学生の1割に迫る。研修目的では語学学習が全体の4分の1、ほかは教育実習などの専門学習となっている。
同大学は、小学校・幼稚園の教員採用に強く、民間企業への就職や公務員採用でも実績がある。こうした異文化体験は、就職活動でも大いに役立っているという。同大学国際教育研究センター長の中植正剛准教授は「海外の学校や仕事の現場を経験すると、明らかに学生の学習意欲が向上する」と話す。
研修プログラムの特徴は、そのほとんどが、教員が長い間の創意工夫によって積み上げ、絶えず進化している点だ。中には20年以上にわたって教員自らが訪問し、手間暇かけアレンジした特色あるプログラムも少なくない。
このような積み上げの中から、最近、アドバンストな研修プログラムが生まれたことは特記すべきことだ。その一つに、カリフォルニア大学バークレー校教育大学院との連携協定による「米国教育研修」がある。このプログラムは、主に小学校・幼稚園の教員になる4年次生が対象で、毎回、卒業直前の2月に実施。興味深いのは訪問先の2カ所の学校で、一つは人種、宗教、家庭環境など多様な子どもたちに多文化の教育を推進する学校。もう一つは農業などの体験学習を中心としたユニークな教育方針で知られた学校。中植准教授は「日本で教員になる直前にこのような個性的な教育現場を体験することで、幅広い視野と自信を持つきっかけになっている」と話す。

教育課題について現地の学生と意見交換=カリフォルニア大学バークレー校教育大学院 アドバンストなプログラムとしては、ほかにもシドニー大学での英語研修「チャンスメイキングプログラム」があり好評だ。学生たちの英語によるプレゼン・ディスカッションが中心のプログラムになっている。なお、これらのアドバンストなプログラムには参加資格があり、研修費のほぼ半額が助成される。
このほか、カナダ・トロントの幼稚園・小学校で教育実習を行う「海外教育実地研究」や同じくトロントの特別支援学校や子ども病院を訪問体験する「海外心理学研修」、中国の上海体育学院でスポーツ選手の強化事業やスポーツビジネスを学ぶ「海外スポーツ教育・文化研修」、スウェーデンで福祉先進国の実情に触れる「海外福祉研修」など、幅広いプログラムを用意している。また、近年、海外インターンシップ科目「ミラノの幼稚園」、「ローマの学校」を新設。カナダ・イタリア・中国などの多彩なメニューがある。
海外留学や研修を推進するために、海外の大学との交流をさらに拡充すべく、今年は、イタリア、フィリピン、カナダの大学と交流協定を結ぶ予定だ。山本学長は「世界を視野に入れた学びを経験することで、新しい自分を発見してほしい。私たちは、今後も、さらに高いレベルのドリームプログラムを創造し、学生たちの成長と夢の実現を支援していきたい」と話している。

第12回国際教育フォーラム

「レッジョ・エミリア」から専門家 先進的幼児教育を学ぶ

「国際教育フォーラム」では海外の教育や芸術の専門家を招いて意見を交わす=神戸親和女子大学 神戸親和女子大学が主催する「国際教育フォーラム」は、第1回にアメリカのバーナード・スポディック博士を招いて開催して以来、今回で12回目を数える。世界の初等教育の研究・実践動向を学ぶために、毎年、世界の著名な研究者・実践家を招き、高い評価を受けてきた。
今年は、世界の幼児教育界で注目されているイタリアの「レッジョ・エミリア・アプローチ」をテーマに国際教育フォーラムを開催する。「レッジョ・エミリア・アプローチ」といえば、26年前イタリア北部のレッジョ・エミリア市の幼児学校や乳児保育所の創造性を重視した教育実践であるプロジェクト活動やドキュメンテーション活動が、にわかに世界の脚光を浴びた。欧米の教育界のみならず日本においてもブームになるほど注目され、いわゆる「レッジョ・エミリア詣(もうで)」が話題になったほど。以来、「レッジョ・エミリア」の保育哲学・実践は、世界の幼児教育をリードし続けている。

イタリアの私立幼稚園での実習風景 大学では、母体である親和学園の創立130周年を機に、世界の幼児教育をけん引する「レッジョ・エミリア市幼児教育委員会」から専門家二人を招き、シンポジウム・講演会を開く。改めてこれからの幼児教育の在りようを考える機会にしたいと考えている。

共通教育科目「神戸学」 地域を教科書に世界学ぶ

海外研修や交換留学などを通じ世界に視野を広げた教育に力を入れている神戸親和女子大学。一方で、地域に視線を注いだカリキュラムも充実させている。
学部学科を超えた共通教育科目で選択科目の「神戸学」は、その一つ。担当するのは、元神戸新聞論説委員長の梶山卓司教授だ。授業内容はユニーク。神戸のまちと人々の歩みを内外の歴史、情勢と絡ませながらみていく。教科書はなく、神戸港開港150年、鈴木商店など、神戸にまつわる新聞やテレビのニュースを切り口に進めている。
例えば、授業で神戸・北野天満神社の「北野国際まつり」を取り上げる。祭りには地元住民と在住外国人が多く参加し、歌やダンスなどで交流を深める。メインは民族や宗教の壁を越えて地域と世界の平和を祈る「ピース・セレモニー」だ。世界のさまざまな宗教施設がある国際都市・神戸ならではの行事として定着しており、時には現場にも足を運ぶ。
梶山教授は「今の時代、大切なのは世界的な視野と同時に地域社会への理解です。自分の足元から世界のことまで問題意識をもって対処していく姿勢が求められている。そうした視点を神戸学などを通して学生たちに指導している」と話す。

学長に聞く

世界視野に自立心養う

山本裕之学長 ―親和学園創立130周年を迎える。

神戸親和女子大学の母体である学校法人親和学園は、今年で130周年。創設者の友國晴子先生は、「社会において自立して活躍する女性の育成」という建学理念を掲げました。女性が家庭に入ることが当たり前とされた明治時代に、家庭に閉じこもることなく社会に献身し役立つ人になるよう説いたのです。学びを個人の教養にとどめることなく社会へと導く視点は、よりよい社会を築く上での女性の参加を促す画期的なものであったと考えます。そして、建学から130年たった今でも、親和学園の教育の柱として息づいています。
友國先生が学生と寝食を共にしながら教育に力をいれたように、現在の親和学園も一人一人の生徒・学生と誠実に向き合い、共に学び共に成長するという教育を実践しています。卒業生もそれぞれの場で真摯(しんし)に課題と向き合い、社会で活躍しています。現在の学園への高い評価は、そうした一人一人の生き方によるものだと思います。

―「親和力」のある人材とは。

人とコミュニケーションできる力、課題を解決する力、夢をかなえる力を養うことが本学の教育目標です。卒業後の人生をよりよく生きるため、教養としての学問的知識や専門力は基盤として大切です。さらに、物事の道理や筋道をわきまえ、適切に判断して対処していく力、つまり「知恵」もしっかり磨いてほしい。
海外の連携協定大学は既存14校に、今年新たにイタリア、フィリピン、カナダの3校が加わる予定です。「世界に学び、地域に生かす」という方針に基づき、海外での研修やインターンシップをさらに充実させます。

在学生からのメッセージ

私の夢実現できる場所

発達教育学部児童教育学科4年 中村好さん(22)

オープンキャンパスで先生や在学生と話すうち、やりたいことを見つけ、実現できるのはここしかないと思いました。入学してみると想像通りアットホームな雰囲気。友だちも積極的な人ばかりで刺激を与えてくれます。授業は実習など学外活動が多く、先生のサポートも充実しています。小学校のころ憧れた先生がいて、教師を目指しています。2年生でカナダでの研修に参加し、教育実習をしたこともいい体験になりました。今は自宅のある姫路市で学校ボランティアとして経験を積みながら、夢の実現に向け頑張っています。

大学概要

住所 鈴蘭台キャンパス=神戸市北区鈴蘭台北町7の13の1
三宮サテライトキャンパス=神戸市中央区三宮町1の9の1、三宮センタープラザ9階
アクセス 鈴蘭台=神戸電鉄鈴蘭台駅徒歩10分。三宮、三田、小野からスクールバス利用可
三宮=JR三ノ宮、阪急・阪神神戸三宮、神戸市営地下鉄三宮駅徒歩5分
学部(本年度定員) 文学部(60人)、発達教育学部(355人)
教員 教授49人、准教授17人、講師11人、助教2人
在学生 1797人
ホームページ https://www.kobe-shinwa.ac.jp/

オープンキャンパス スケジュール

日程 7月22日(土)、8月6日(日)・27日(日)、9月24日(日)、12月17日(日)
時間 午前10時〜午後3時
お問い合わせ アドミッションセンター ☎0120-864024

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