神戸学院大学
情報社会を自在に躍動
神戸市内の二つのキャンパスに文系7学部、理系3学部、大学院8研究科を擁し、学生数1万1千人余と同市内最大規模の私立総合大学。デジタル時代の到来に応えデータサイエンス教育に注力するため、全学的なデータサイエンス教育プログラムを昨年度からスタート。本年度は経営学部を改組し、データサイエンス専攻を新たに開設した。
「データサイエンス専攻」を開設
経営学部を改組 実践的な講義幅広く
情報通信技術(ICT)の発展により、あらゆる産業においてビッグデータを有効活用することが求められる時代になった。あふれる情報から価値ある情報を探し出し、加工、活用しながら課題解決につなげるデータサイエンスは、これからの社会で活躍するために必須のスキルとなるだろう。そこで今年4月、経営学部を改組し、データに基づく新たな価値を創造できる人材を養成する「データサイエンス専攻」を開設した。経営学部は「経営・会計専攻」「データサイエンス専攻」の2専攻体制となり、双方の科目を履修できるカリキュラムを展開する。
データサイエンス専攻では卒業後を見据え、データを活用するための知識やスキルを身に付け、即戦力としてビジネスの現場で役立つ実践的なカリキュラムを展開している。
1年次に基礎固めを徹底し、2年次では経営・会計に関する科目を履修しながら専門へとステップアップ、3、4年次に専門性を探究しながら学習の集大成を行う。段階的にレベルを高めるので着実に知識を習得することができる。
具体的には、経営戦略に不可欠な道具の一つと位置づけられるICT技術をまず習得する。次に経営戦略立案のプロセスとしてICTを応用した情報の収集、分析なども学習する。これらの学びを前提に、科学的経営管理、経営戦略へと発展させていく。
例えば「情報管理概論」では、情報処理関連資格試験を受験するために必要な知識と技術を身に付ける。「経営情報論」では、情報戦略や企業会計、品質管理について、実例を中心に理論を分かりやすく学ぶ。
さらにデータの特性や目的に合わせた分析手法を学ぶ「システム分析」など、実践的な能力を身に付けるための講義が幅広く用意されている。
数理・データサイエンス・AI教育プログラム
全学部対象の共通科目
昨年度から全学部生対象の共通教育科目として「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」をスタートした。文系、理系にかかわらず全ての学生が同プログラムでデータサイエンスなどの基礎的な素養を身に付け、情報社会をけん引する人材として育てることが目標だ。
今年5月には、AIやデータサイエンスなどに関する優れた教育プログラムを展開する大学などを政府が認定する「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に申請し、認定を目指している。
この制度は、デジタル時代の「読み書きそろばん」と言える「数理・データサイエンス・AI」の基礎的な力を育み、あらゆる分野で活躍する環境づくりを政府が後押しするものだ。
基礎的な能力を育成する「リテラシーレベル」、課題を解決するための実践的な能力を育成する「応用基礎レベル」、「エキスパート」の3段階があり、今回申請したのは第1段階の「リテラシーレベル」。正規の課程で、全学に開講されることや必要なカリキュラムが整っていることなどが認定要件となる。さらに大学などの特性に応じた特色ある取り組みが実施されていることも必要な条件だ。
社会で広く活用期待
日々、膨大なデータが生み出され、収集されている現代社会では、さまざまな職業においてデータの分析を通じたエビデンス(証拠)に基づく意思決定の重みが増しつつある。数学や統計学の手法を用いてデータから新たな価値を生み出すのは、ビジネスや社会政策の立案にも不可欠な素養になってきた。
同制度に認定されれば、データサイエンス習得の環境が整っていることの証しとなるだろう。
中村恵学長は「あらゆる学問分野で科学的根拠を備えるのに必要なデータサイエンスの素養を身に付け、社会での活用力を習得してほしい」と話す。
4年を通じて就職サポート
国家資格、公務員試験対策など 多数の課外講座開講
卒業後の進路の実現に向けて、さまざまな支援体制を整えている。
就職サポートは4年間を通じて計画的、段階的に実施。職業の選択だけでなく人生設計まで視野に入れながら、1年次から学生時代の過ごし方を考えることで、納得できる就職につながる有意義な学生生活を可能にするのが狙いだ。
就職活動が本格化する時期には、業界研究セミナーや就職ガイダンス、就職講座などのサポートを手厚く用意する。キャリアセンターの職員による個別指導も行うなど、一人一人に寄り添いながら柔軟かつ丁寧に支援をしている。
国家資格をはじめとした各種資格試験や公務員試験に向けて多くの課外講座を開講。課外講座・資格サポート室の職員が学生の相談に乗りながら資格取得プランを提案し、将来のキャリア実現の後押しをしている。
このような手厚いサポートの結果、高い合格実績を維持している。毎年、難関国家資格でも高い合格実績を誇っている。2022年度の合格率は、行政書士48%(全国平均12.1%)、宅地建物取引主任者23.8%(同17%)。
学長に聞く
学部横断の学び実現へ
―教育の特色を。
本学が目指す長期ビジョンに「地域と繫(つな)がる」を掲げています。特に2023年度は神戸市が進める「大学都市KOBE」の地域連携プラットホームづくりを踏まえ、他大学や行政、企業などと一体となった教育プログラムを増やしたい。また、今注目されるデータサイエンス教育の充実を図っており、本年度は経営学部にデータサイエンス専攻を開設しました。昨年度から全学部の共通教育科目にデータサイエンスを取り入れ、政府が認定する「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」にも申請中です。データサイエンスを学び、実践的な活用力を身に付けてほしい。将来、データサイエンスの素養があることによってどんな分野でも活躍できる人材を育成することができると考えています。
―今、計画していることは。
社会で活躍するためには複数の専門知識の統合が欠かせなくなっています。神戸市内最多の10学部を擁する総合大学の強みを生かし、学部外の分野も学べる教育体系を構築することが使命です。保健・医療福祉分野で行ってきた専門職連携教育(IPE)や、学部を問わず、英語を集中して学ぶ「神戸学院カレッジ」は順調に推移発展しています。今後も広く学部横断型の学びを実現したいと思っています。
―どんな学生に来てほしい。
少しでも興味や関心があれば一歩踏み出す行動力を持ってほしい。そのためにもアンテナを広く張る学生を歓迎します。多くの経験の場を提供し、応援することを約束します。一歩踏み出せば、きっと素晴らしいキャンパスライフが実現すると確信します。
在学生からのメッセージ
教員と学生距離が近い
経営学部 経営学科4年 豊田凌太郎さん
神戸学院大学を選んだのは、キャンパスがとてもきれいなこと、さまざまな資格が取得できる環境が整っていることが決め手でした。入学してみると、教員と学生の距離が近いことに驚きました。授業の進め方も学生の意見を取り入れ決めるなど、常に学生のことを考えてくれていると感じます。自分の学びたい分野の授業を他学部の授業でも幅広く選択できるのも魅力です。私は経営学部ですが、法学部の「会社法」や「ビジネス英語」も選択。これらの授業を通じて他学部の学生とも交流を深めることができました。入学時の目標通り、オフィス関連のパソコンソフト資格取得や英語検定試験「TOEIC」にも取り組みました。卒業後は金融関係への就職をめざしており、経営学部で学んだ経営戦略などの知識を生かしたいと考えています。
大学概要
住所 | ポートアイランドキャンパス=神戸市中央区港島1の1の3 有瀬キャンパス=神戸市西区伊川谷町有瀬518 |
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アクセス | ポートアイランド=ポートライナーみなとじま(キャンパス前)駅徒歩約6分 有瀬=JR明石駅から神姫バス「神戸学院大学方面」行き |
学部 (2023年度定員) |
法学部(450人)、経済学部(340人)、経営学部(340人)、人文学部(300人)、心理学部(150人)、現代社会学部(220人)、グローバル・コミュニケーション学部(180人)、総合リハビリテーション学部(170人)、栄養学部(160人)、薬学部(250人) |
教員 | 教授162人、准教授78人、講師61人、助教25人、助手3人(5月1日現在) |
在学生 | 11358人(5月1日現在) |
ホームページ | https://www.kobegakuin.ac.jp |