実学重んじ少人数教育

神戸常盤大学 2024

神戸常盤大学

実学重んじ少人数教育

「医療」と「教育」に特化した学部構成で、専門職業人の育成を目指す神戸常盤大学。保健科学部の医療検査学科、看護学科、診療放射線学科、口腔(こうくう)保健学科と教育学部こども教育学科の2学部5学科を擁する。口腔保健学科は2022年度に短期大学部から県内でいち早く4年制大学へ移行した。こども教育学科は保育・幼児教育と義務教育の2コース制をとる。いずれの学部も少人数教育をモットーとし、実学を重んじる教育体制を貫いている。

こども教育学科

多様な実習の場で体験

「ときわんクニヅカ」で未就園の子どもと遊ぶこども教育学科の学生=いずれも神戸市長田区、KIT(きっと)

保育・幼児教育と義務教育の2コースがある。保育・幼児教育コースは保育士や幼稚園教諭が、義務教育コースは小学校教諭一種免許状、中学校教諭一種免許状(理科)が取得可能だ。
実学を重視する同校では、両コースともに実践力につながる実習の場を多彩に用意している。

「てらこや」で小学生の学校の宿題を見てアドバイスするこども教育学科の学生

その一つが神戸市内の長田、兵庫、西元町で展開する子育て総合支援施設KIT(きっと)だ。KITのそれぞれの施設には、地域の小学生を対象に体験教室と学童ラウンジが一体となった「てらこや」、小さな子どもと保護者の交流の場「ときわんクニヅカ」などがあり、学生たちはスタッフとして支援に携わる。
学生はKITで教材の工夫をしたり、子育ての悩みを聞いたりしながら実際に子どもや保護者と関わることで通常の実習では得られない体験を積むことができる。
小中学校教員を目指す学生はKITで、小学校の学習支援を3年間継続して行う。授業で学んだ知識をKITで実践することで、高い現場力を身に付けた保育者、教員の養成を可能にしている。

外国をルーツとする人々に、日本語学習支援、多言語相談など取り組んでいる

また、同大学は21年に神戸国際コミュニティセンター(KICC)と協定を結んだ。KIT内の「てらこや」では外国にルーツを持つ子どもの学習支援などに取り組んでおり、学生が国際的な視野から学びを重ねることができる。

「認定絵本士」養成で講座

こども教育学科では23年度から県内4年制大学で初となる「認定絵本士」の養成講座を開講。絵本に関する深い知識や高度な技術を備えた専門家で、絵本専門誌委員会(事務局・国立青少年教育振興機構)が認定する。卒業後、実践を積めば、
保育者に人気抜群の「絵本専門士」へのステップアップも可能だ。

口腔保健学科

高度な専門スキル習得

昨年から地域住民の診療を開始した学内歯科診療所「はあみる」。高齢者のオーラルフレイルチェックの取り組みも始めている

22年度に短期大学部から移行し、県内初の4年制大学の口腔保健学科となった。
「高度な専門スキル」「キャリアを築く+αの資格」「〝食べる〟を支える力」を育むことを三つの柱として挙げる。
「高度な専門スキル」は、歯科衛生士に必要な基本スキルに加え、病院での入院や手術前後の患者の口腔ケアのスキルなど、3年制では学べない高いレベルのスキルを身に付ける。
「キャリアを築く+αの資格」では一生の仕事として続けるため、自らのライフイベントに合わせたキャリアの具体的な築き方を学ぶ。企業でのインターンシップや国際保健医療活動などの科目の設置、保育士、歯科医療事務管理士、食生活アドバイザー、食育指導士などの資格取得が在学中に可能になる。
「〝食べる〟を支える力」では、食べることを支える専門家である歯科衛生士として、食べることに問題のある子どもから嚥下(えんげ)や咀嚼(そしゃく)が困難な高齢者まで、全身管理も含めた知識やスキルを学ぶ。

学内に診療所 実践力磨く

学内歯科診療所「はあみる」の外観

学内には、22年から一般患者の治療も行うようになった歯科診療所が開設され、学生の実践力を磨く場になっている。
さらに、市民のオーラルフレイル(加齢による口の機能の衰弱)チェックや口腔健診、企業でのオーラルヘルス事業参画や商品開発など、行政や企業と連携したさまざまな取り組みも実施。将来に向けた実践力の習得につなげている。

医療検査学科

50年超える歴史と実績

治療の早期発見や診断、治療法決定に必要な生体情報を提供する専門職である臨床検査技師や細胞検査士を養成する学科。50年を超える技師養成の歴史と実績があり、多数のスペシャリストが教員として在籍する。
近畿の大学で初めて設けた細胞検査士養成課程では高い合格率を誇っている。
医療の分業化や検査技術の高度化が進む中、臨床検査技師は不可欠な存在となっており、医療機関だけでなく研究機関での活躍も期待できる。

診療放射線学科

学部横断の教科も用意

今年3月、東日本大震災の爪痕が激しい福島県双葉町を訪問。震災の記録を確認しフィールドワークを実施した

診療放射線技師を育てる学科として20年度に開設された。放射線や超音波などを利用して検査を行う専門職の資格取得を目指すだけでなく、豊かな教養と人間性につながるよう学部や学科を横断する教科を用意している。

今年3月、東日本大震災の爪痕が激しい福島県双葉町を訪問。震災の記録を確認しフィールドワークを実施した

22年から東日本大震災の震災学習のため1泊2日の「福島スタディーツアー」を実施。被災地の現状や復興の取り組みを学ぶなど、放射線を使用する放射線技師を目指す上での考察を深めている。

看護学科

医療や教育 活躍目指し

看護の本質である「ケア、ケアリング」の考えのもと、看護学を系統的に学び、実習で臨床力を高めていく。22年の看護学教育の歴史と実績があり、多数の卒業生が県内外の医療・教育現場で活躍している。取得可能な資格は看護師、保健師、養護教諭一・二種免許状、第一種衛生管理者免許。資格取得後は病院だけでなく在宅や地域、学校での生活を支える看護専門職を目指すことができる。

学長に聞く

専門職業人育成に尽力

―教育の特色は。

濵田道夫学長

本学は1908年に創立された私立家政女学校をルーツに持ち、庶民の実学を重視する建学の精神を受け継いでいます。「医療」と「教育」を2本柱として専門職業人の育成に努め、地域活動にも力を入れているのが特長。中でも神戸市内3カ所で展開する「KIT(きっと)」は教職員と学生が携わる、地域に根ざした子育て支援施設です。また、毎年キャンパス内では「健康ふれあいフェスタ」を開催し、地域の方々の健康チェックなどを実施。さらに多文化共生を医療の面から支えていこうと、「国際保健室」活動も行っています。医療や教育は人と人が直接つながる仕事。現場での体験は学生たちの重要な学びの場でもあります。今の社会で重要とされる多職種連携教育に力を入れているのも特長。医療、教育の各専門学科がつながり、チーム力を育むカリキュラムを積極的に取り入れています。

―新しい取り組みは。

昨年からキャンパス内に一般患者の診療も行う歯科診療所をオープンしました。口腔(こうくう)保健学科の実践力を磨く場でもあり、地域に根ざした大学ならではの取り組みです。また、子ども教育学科義務教育コースの学生は、小学校教諭一種とともに中学校教諭一種免許状(理科)も取得できるようになりました。将来の選択肢の幅が広がるので、ぜひ取得を目指してほしいです。

―どんな学生に来てほしい。

国家資格などを取得し社会で活躍する人材を育成するのが本学の使命。それだけでなく、教養教育を重視し、幅広い視野や深い思考力を持つ学生を育てたい。具体的な将来像を思い描き、夢を持って来てほしいと思っています。

在学生からのメッセージ

検査法開発の研究者に

保健科学部 医療検査学科4年 杉山佳穂さん

国家試験の合格率が高く、細胞検査士の資格取得を目指せること、海外研修が充実していることから神戸常盤大学を選びました。各学科の学生がグループワークを行う「まなぶる▶ときわびと」など、1年生からチーム医療を視野に入れた授業が始まります。3年生からは本格的な国家試験対策も始まり、早い時期から国家試験に必要な基礎力と対応力を身に付けることができたと感じています。授業以外ではネパールとのオンライン交流会に参加しました。また、昨年は韓国で開催された世界医学検査学会の国際学生フォーラムに日本代表として参加し、奨励賞を受賞しました。どちらも大学からの情報にチャレンジし、実現できました。将来、検査方法の研究開発に携わりたいので大学院進学を目指しています。

大学概要

住所 神戸市長田区大谷町2の6の2
アクセス 神戸高速鉄道西代駅徒歩9分、JR新長田駅徒歩15分
学部
(2023年度定員)
保健科学部(310人)、教育学部(80人)
教員 教授43人、准教授14人、講師28人、助教10人、助手1人
在学生 1505人(男子304人、女子1201人)(5月1日現在)
ホームページ https://www.kobe-tokiwa.ac.jp/univ/

 

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