甲南大学

人間力磨き未来を開く

約９千人の学生が人文・自然・社会科学系の８学部１４学科４研究科で学ぶ甲南大学。この「ミディアムサイズ総合大学」だからこそできる質の高い人物教育を建学理念として実践している。社会変化のスピードが加速する中でますます重要となる「人物教育率先」をさらに磨き上げ、一人一人の個性を尊重し可能性を引き出すカリキュラムを設定。人間力を糧に、未来を切り開く学生を育成している。

本年度、「社会連携機構」を新設

起業家育成プログラム開講

予測不可能な時代に応じた新しい教育プログラムを展開する甲南大は、スタートアップなどを望む人材に実践教育を提供する「社会連携機構」を２０２２年度に開設した。
この機構では三つのプログラムを運用しており、一つ目は起業家を育成する「ソーシャルビジネス・アントレプレナー育成プログラム」で、９月に開講する。これまで既存の「地域連携センター」が学生のボランティア活動や地域プロジェクトへの参加を支援してきたが、活動を通じて地域のためにビジネスを立ち上げたいと考える学生が増えたため、社会人も含めて受け皿を整えた。
前半６カ月で、アイデアを出し合いながらビジネスプランを作成。後半に「基礎コース」か「実践コース」を選択し、「実践コース」では学内外のさまざまな専門家から助言を受けながらスタートアップ創出に挑戦する。対象は起業を目指す社会人や学生。学生にも大学を巣立つ前から積極的に社会と関われる場を提供し、地域に貢献できる人材を育成する。
「マルチステージ型の人生をデザインする上で、自分らしい生き方をかなえる手段として起業を考える人に受講してもらえたら。副業や子育て後の社会復帰を考えている人にもお勧めしたい」と石川路子・社会連携機構長。一方で起業を志す学生が増えたことに加え、今春からは成人年齢が１８歳に引き下げられた。「人生をどう歩むのか、考え始めるのは早いほどよい。起業は学生にとって就職プラスアルファの選択肢となるだろう。学生と社会人が刺激し合いながら前向きにライフプランを考えられる場になれば」と話している。

「人生１００年時代の学び」も
社会人、シニア世代と高め合い

プログラムの二つ目は、学び直しを支援する「人生１００年時代の学び」。昨年４月に本格スタートし、今年はシニア世代ら５１人が入学した。今年度開講のコースは、大人の自己探求（人文科学系）▽ネクスト・キャリアをどう生きるか（社会科学系）▽多文化共生、グローバル社会で生きる（多文化・国際系）▽植物と生きるために、その力を学ぶ（自然科学系）▽安全安心な社会を構築するために（総合情報系）―の五つ。一つを選択し、ワークショップや講義を通じて学ぶ。
三つ目の「甲南発法務リカレント」プログラムは今年４月に本開講。「ビジネス法務コース」と「自治体法務コース」があり、法制度などに関する学びを提供する。スキル、キャリアアップにつなげたい現役ビジネスマン７人が受講している。
「人生１００年―」「甲南発―」とも現役学生と同じ教室での世代を超えた学習機会を設定。多様なバックグラウンドを持つ世代が集うことで、大学全体の活性化や若い世代の学びの深化も期待されている。

スポーツ分野活躍目覚ましく

女子陸上・青山選手　現役学生初オリンピアン

甲南大が進める「人物教育」の枠組みは、「専門教育」「全学共通教育」「正課外教育」の３要素で成り立つ。学内外のあらゆる経験が大学の学びとつながり、幅広い人間性を養うのが正課外教育。近年特にスポーツ分野で目覚ましい活躍を見せる選手が増えている。
女子陸上競技部の青山華依選手（経営学部２年）は現役甲南大生初のオリンピアン。男子１００メートルの元日本記録保持者、伊東浩司・全学共通教育センター教授の指導を受け、１年生で東京五輪の女子４×１００メートルリレーに第１走者として出場を果たした。国際大会に出場する選手から一般で入学した選手まで、同じ練習メニューをこなす女子陸上競技部。岡崎汀選手（経営学部４年）は青山選手の活躍に刺激を受けたといい、昨年秋の関西学生対校選手権１００メートル障害で優勝した。

サッカー部初の全国出場

２０２０年に関西学生リーグ１部３位となり、創部以来初の全国大会出場を果たしたサッカー部も成長を続ける。昨春卒業の木村太哉選手がＪ２岡山、今春卒業した井上聖也選手もＪ１福岡入りを果たすなど、２年連続でＪリーガーを輩出。昨年、アメリカンフットボール部、バスケットボール部も関西学生リーグ１部昇格を決めるなど、体育会の躍進が続いている。
授業だけでは評価できない学生一人一人の力を大学が公式に評する「ＫＯＮＡＮサーティフィケイト」の認定制度もある。これまでにスポーツなど５分野に１３００人以上の学生が挑戦し、４００人以上の認定者を輩出している。

受験の機会拡大へ　入試制度を変更

甲南大学は２０２３年度に入試制度を複数変更し、これまで以上に受験の機会を拡大する。
まず年明けの一般選抜に、「中期日程」（２月９日）を新たに加える。「前期日程」（同月１～５日）の直後となる。この中期日程では文系学部の「国語」の出題範囲は現代文のみ、また３教科型の選択科目に「地理」が加わるなど、受験生にとって学習範囲が絞られ選択肢も増えた。
一方で年内に行う公募制推薦入試は、これまでの「教科科目型」に、新しく「外部英語試験活用型」を加える。これは「教科科目型」の英語に代えて「英検」などのスコアをみなし得点に換算して判定する方式で、一般選抜の前期日程・中期日程でも行う。また「個性重視型」の対象である経営学部、マネジメント創造学部に、次年度から文学部歴史文化学科を加える。
公募制推薦、一般選抜内で、それぞれ同一学部・学科に限って併願可能なケースもあり、２出願目の入学検定料は５千円（１出願目３万５千円）になる。

学長に聞く

人物教育を率先　今こそ

―大学の理念は。

教育に情熱を注ぎ文部大臣も経験した学園創立者の平生釟三郎（ひらおはちさぶろう）は、開学にあたり「人物教育の率先」を教育理念に掲げました。２０１９年に学園創立１００周年を迎え、甲南新世紀の新たなステージに向かう矢先に、コロナ禍により大学教育は大きく形を変えざるを得なくなりましたが、さまざまな工夫を加えながら、「人物教育」に欠かせない対面で学ぶ機会の確保に注力してきました。８学部１４学科で約９千人が学ぶ「ミディアムサイズ総合大学」だからこそ、学生が交じり合い、高め合いながら多様性を受け入れていくのだと、実感しています。

―理念の実現に向け取り組んでいることは。

教育理念は１００年を超えても変わりませんが、教育内容は磨き続けねばなりません。２１年に策定した「ＫＯＮＡＮ　Ｕ．ＶＩＳＩＯＮ　２０２５」のもと、学部の専門教育の魅力を一層高めながら、本学の特色である全学共通教育、正課外教育の革新をはかり、予測困難な時代で飛躍する人物を育む、彩り豊かな教育プログラムを提供していきます。本年度からは、実績ある地域連携教育をさらに発展させるべく、その拠点となる「社会連携機構」を開設したほか、時代が求めるＡＩ・データサイエンス教育、グローバル教育など、さらなる学びの進化に力を尽くします。

―受験生にメッセージを。

人物教育を骨組みとする本学は、個性を力にするための選択肢をそろえ、一人一人の成長を応援します。将来の方向性を見いだせていない方も、ぜひ本学で学び、自分を見つけ、確かな自信を胸に社会に歩みだす力を身に付けてください。

在学生からのメッセージ

英語力評価され自信に

経済学部経済学科４年　中村ゆきのさん

掲示板

講座の受講生を募集

公開講座「死生学入門」

開催日時	７月９日（土）１０：００～１１：３０
対象	一般・社会人・学生（高校生以上）
受講料	５００円
申込期間	６月６～１５日（先着順）

「ソーシャルビジネス・アントレプレナー育成プログラム」

受講生募集中！（６月１５日締め切り）

対象	一般・社会人（定員２０名）
受講料	無料　※２０２２年度「県内大学と連携した起業人材育成事業」（兵庫県）

詳細はリカレント教育センターＨＰをご覧ください。
【問い合わせ】
MAIＬ：recurrent@adm.konan-u.ac.jp
ＴＥＬ：０７８・４３５・２５９８

大学概要

住所	岡本キャンパス＝神戸市東灘区岡本８の９の１ 西宮キャンパス＝西宮市高松町８の３３ ポートアイランドキャンパス＝神戸市中央区港島南町７の１の２０
アクセス	岡本＝阪急岡本駅徒歩１０分 西宮＝阪急西宮北口駅徒歩３分 ポートアイランド＝ポートライナー計算科学センター駅徒歩４分
学部 （本年度定員）	文学部（４０５人）、理工学部（１５５人）、経済学部（３４５人）、法学部（３４５人）、経営学部（３４５人）、知能情報学部（１２０人）、マネジメント創造学部（１８０人）、フロンティアサイエンス学部（４５人）
教員	教授１７７人、准教授５０人、講師８人、助教１人
在学生	８６６７人（５月１日現在）
ホームページ	https://www.konan-u.ac.jp/