▽ゆか 大阪府出身のシンガー・ソングライター。交流サイト(SNS)を中心に活動を始め、昨年リリースしたシングル「Partner」がSNSでの総再生回数13億回を突破。今年1月18日にメジャーデビューシングル「Baby you」をリリース。「Baby you」はBillboard TikTok Weekly Top20で1位となり、SNS総再生回数9億回、SNS投稿数も15万本を超え大きな話題の楽曲となる。

「好き」を究める毎日を
シンガー・ソングライター 有華さん

自分自身の気持ちをまっすぐに表現した歌詞が若い世代を中心に共感を呼んでいる有華さん。2022年4月にリリースした「Partner」はストリーミングで5千万回の再生数を記録し、23年1月にメジャーデビューを果たした。「思い通りにならなかったことも含め、大学時代の経験があったからこそ今がある」と有華さんは言う。

幅広い分野学べる大学選択

―歌手を目指したきっかけは。
 幼稚園に通っていた頃に習い始めたピアノとコーラスが大好きになり、いつかは歌手になりたいと思っていました。高校生になってオーディションやコンテストを受けたのですが、なかなか合格できませんでした。あるコンテストを受けた時、審査員から「ピアノと歌の両方をやっているのならシンガー・ソングライターを目指しては」とアドバイスを受け、高校3年生の時に活動を始めました。

―大学選びはどのように。
 音楽を学ぶための大学の選択肢はたくさんありましたが、音楽だけでなく幅広い分野について学べる点を重視し、総合大学で音楽学部を持っているところを探しました。さまざまな視点を持った友達と知り合うことで、自分の視野を広げられるとも考えました。

―どのような大学生活を送ったのでしょうか。
 日中は大学に通い、授業を終えたらアルバイトにいき、家に帰ってから曲を作る日々を送っていました。授業が昼までで終わる日には、あらかじめ大学のグランドピアノのある練習室をいち早く予約し、歌ったり、曲作りをしたりしていました。  好きな授業を選択できたので、女性の心理についての授業を選びました。大好きな英語の授業はネーティブの先生に教わることができました。全学科の学生が学べる授業で知り合った友人とは今でも連絡を取り合っています。

学生時代、大阪のライブハウスで演奏する有華さん

―音楽の授業はどうでしたか。
 専攻していた応用音楽学科では老人ホームなどに音楽療法で訪ねる機会があり、一緒に歌を歌ったり、楽器を配って合奏したりしていました。初めてお会いした時には全くしゃべることのなかった方が、懐かしい歌を一緒に口ずさんでいる様子を見て、音楽の力を改めて思い知らされました。  学科の学生は学年で20人ほど。毎日のように顔を合わせていたので、先生も含めて何でも相談できる存在でした。私は喜怒哀楽が激しく問題児でしたが、それも含めて受け入れてくれました。  声楽の授業では皆、クラシックを歌う中で、発表会で私だけシンガー・ソングライターとして弾き語りすることを認めてもらいました。その時に、先生も友達もそんな歌を歌うんだとびっくりしながらほめてくれて。それまでは学内で自分の音楽活動のことを公言していなかったのですが、オープンに言えるようになり、多くの友達に応援してもらうことができました。

音楽への思いを絶やすことなく迎えた卒業式

―振り返ってどのような4年間でしたか。
 高校3年生の時にイメージしていた私の理想では、19歳でプロデビューしているはずでした。期待と現実のギャップはありましたが、自分がやりたいようにやらせてもらった4年間でした。いかにその環境が恵まれていたかということを改めて思い、両親に感謝しています。

―進路はどのように決めたのでしょうか。
 両親との約束で、就職活動をする時期までに所属する音楽事務所が決まっていなければ就職することになっていました。残念ながら決まることはなく、一般企業に入社して営業職を経験しました。ただ、夢はあきらめることなく、空いた時間にシンガー・ソングライターとしての活動を続けていました。

―デビューのきっかけは。
 インスタグラムやユーチューブを使ってカバー曲やオリジナル曲の動画を載せていたところ、たくさんの方に聞いていただけるようになりました。勤めていた会社は1年少しで辞め、以来音楽一本で活動し、2年前から音楽事務所に所属しています。それまでは自分自身で作詞、作曲することにこだわっていましたが、昨年4月にリリースしました「Partner」で初めて作曲を他の方に依頼し、ヒットにつながりました。こだわりを捨てたことで、新たな世界が開け、私にとっては大きな転機になりました。

学生時代、大阪のライブハウスで演奏する有華さん


「新しい」楽曲これからも

―これからの目標は。
 理想では28歳の今は結婚して子供も産んでいるはずだったのですが、今その年齢になってみるとまだまだたくさんのことに興味が湧いてきます。最近は、歌詞の内容も、曲調もテンポも今までとは違うものにチャレンジしており、ポジティブな意味で「新しいね」って言ってもらえるような楽曲をこれからも出していけたらと思っています。

―大学時代の自身にかけてあげたい言葉があるとすれば。
 今までの経験をふまえ、未来が必ずこうなると分かってしまう人生は面白くないと思えるようになりました。今を思いっきり楽しみながら過ごしていればその時の経験は必ず未来につながると思います。思い通りにいかないことも多いかもしれないけどその経験を精いっぱい楽しんで、って伝えたいですね。

―大学を目指す人たちにメッセージを。
 大学ではさまざまな学びの機会があり、人との出会いも広がります。いろんな授業を受け、さまざまな友人をつくり、その中から自分自身がワクワクできることを見つけてください。そこで、自分はできないとあきらめてしまうのではなく、「好き」を究めていく毎日を過ごしてください。それが必ず将来の自分につながるはずです。


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