▽おだい・りょうへい 1971年大阪市生まれ。小学2年から川西市で育ち、神戸学院大学卒。メーカーに勤務しながら94年にモデル活動を始め、2002年に俳優デビュー。07年、歌謡グループ「純烈」のメンバーに。18年、NHK紅白歌合戦に初出場。22年に卒業し、ソロで芸能活動を続ける。
「どんな状況も前向き楽しむ」
タレント・俳優 小田井涼平さん
(神戸学院大学法学部卒業)
歌謡グループ「純烈」のコーラスとして活躍し、現在はタレント・俳優として活動を続ける小田井涼平さん。大学生活は自分の思い通りにならないところから始まったが、その境遇を楽しむ姿勢を持ったことで今の人生につながった。
部活、体育会本部…試練かと

―神戸学院大学に進学した経緯は。
高校時代にバレーボール部に入っていたのですが、それがすごく楽しかったのでぎりぎりまで部活動をしていました。あまり受験勉強をしていなかったこともあり、推薦入試のある大学を探して神戸学院大学に決めました。当時、実家のあった川西市から神戸市西区のキャンパスまで通学に片道2時間ほど要しましたが、緑の多い落ち着いたキャンパスがとても気に入りました。
―どのような大学生活をイメージしていたのですか。
オリエンテーションの期間中に仲良くなった学生とサークルに入って明るいキャンパスライフを送ることを考えていたのですが、たまたま体育館でバレーボール部の練習をのぞいていたらそのまま誘われて、入部しました。体育会のバレーボール部だったので、毎日20時くらいまで練習に明け暮れていました。どうせ毎日練習があるのだからと授業も毎日1限目から通うようになって、3回生までに単位を全て取ることができました。
―その他にも何か活動はされていたのでしょうか。
大学の学生課と連携して学園祭や大学対抗戦などの行事の運営に当たる体育会本部という組織があり、その委員をクラブから1人出さなければならなかったのですが、あみだくじで僕が当たってしまいました。行事の前になると準備に追われ、遊んでいる時間もないほどでした。内心は損な役回りだなと思ったし、部活も体育会本部もやめようと思えばやめられたのですが、この状況は自分に課せられた試練なのかなと前向きに考えるようになりました。

体育会本部では、応援団でもないのに詰め襟の学生服を着なければなりませんでした。いちいち着替えるのも面倒くさいので、キャンパスでは学生服で過ごしていました。授業でも目立つので、どうせなら前に座ってしまえと、みんなが後ろの方に座るなか、一人先生の真ん前に座りました。先生も気にかけてくれるようになり、集中して授業を聞くようになったおかげで、ほとんどの科目の成績は一番いい「A」評価。もう少しで授業料免除になるほどでした。
―印象に残っている授業はありますか。
出席する以上は授業も楽しもうと思いました。そんな気持ちで講義を聴いていると、何かしら自分に引っかかるものがあって興味がわいてくるものです。憲法の条文はあいまいなものでいろいろな解釈のしようがあること、民事訴訟法と刑事訴訟法の境目はどこにあるのかなど勉強になりました。憲法9条の条文は、いまだにそらで言えるほど頭に刻み込まれています。
―大学時代の経験は人生に影響を与えていますか。
体育会本部では、行事の調整について学生課の職員の方々と話したり、企画書のようなものをつくってプレゼンテーションしたり、社会人になってからするようなことを疑似体験していたので、その経験は就職活動でも役に立ちました。
神戸市に本社があるアンテナメーカーに就職したのですが、1カ月の研修を経て配属される時、他の同期は大阪や東京に複数人ずつ配置されたのに、僕だけ一人、仙台に行くことになりました。会社の人に聞くと、「君はしっかりしているから大丈夫」だと。
人としての基本のところは高校生までで形成されると思いますが、大学時代に大人になるために必要な枝葉をつけ、社会人になって花の咲かせ方を教えてもらうことができたと思います。
純烈、年収2万も「いつか」信じて

―就職してからは。
関西に残りたいと思って神戸の会社を選んだのに、仙台に行くとは思い通りにはならないものです。でも、そのおかげで仙台で働きながら、モデルの活動を始めることができました。いよいよ本社に戻れるかなと思った時に阪神・淡路大震災が起きて、戻れる状況ではなくなりました。仕方なく会社を辞めて関西に向かう途中、東京でも少しモデルの仕事をしてみようと思いました。2年間のモデル活動にも満足して、さあ関西に帰ろうという時に「仮面ライダー龍騎」の主役に選ばれました。37歳で純烈に入ってからはグループとしてのトータルの年収が2万円しかない時代を経験しましたが、今はしんどくてもいつか花開くだろうと思えたから続けることができていました。
―これから大学を目指す人にメッセージを。
大学時代から、自分の思い描いていた通りにはならないことばかりでしたが、いつか今の境遇が自分のためになる時が来ると発想を切り替えて、つらいことも受容していったことが、自分の人生を変えることにつながりました。
希望の大学に入れないこともあるでしょう。大学に入って自分の思い通りにいかないこともあると思います。だとしても全てのことを前向きに捉えてほしいと思います。仮に思っていた方へと人生が進んでいったとしても、その先の人生が幸せかどうかは検証のしようもありません。どんな状況になったとしても打ちひしがれるのではなく、その境遇をとことん楽しんでみてください。そんなふうに考えて大学生活を送ってみると、面白いことがたくさんありますよ。