未来を開く学びへ発展

甲南大学 2025

甲南大学

未来を開く学びへ発展

甲南大学は約9千人の学生が人文、自然、社会科学の8学部14学科1学環で学ぶ。専門教育を中心に、全学共通教育や正課外教育を連携させた人物教育を行うことで、学部の枠を超えた交わりや学び合いを生みだすことが「ミディアムサイズの総合大学」の魅力だ。今春、新たな学位プログラムとして「グローバル教養学環」が誕生した。2026年度の「環境・エネルギー工学科」設置を軸とした進化型理系構想も着々と進む。甲南学園創立から一世紀の時を超え、新たな伝統を紡ぎ出す。

今春、「グローバル教養学環」新設

世界的視野で地域貢献する力育む

グローバル教養学環(STAGE)は今年4月に設置された。世界規模(グローバル)の視点や国際社会で通用するスキルを持ち、地域(ローカル)の活性化にも貢献できる人物。そんな「グローカル人材」の育成を目指している。
1学年の定員25人のための特別なプログラムを用意した。多様な言語運用力を養うため複数の言語圏への「ダブル留学」を卒業の要件としている。留学先は協定校・認定留学先を合わせて23カ国149校に上る。
以前から甲南大学は、留学にあたって親身なサポートに定評がある。先輩学生や留学生との交流、留学中の危機管理サポートのほか、奨励金・奨学金や、語学力アップへの支援なども受けられる。
さらに海外の人々と協力し、政策・企画を立案できる人材養成に向け、データサイエンスや人工知能(AI)を幅広く学んだり、地元神戸市など地域や企業が抱える課題解決の経験を積んだりすることもできる。有用で実践的な学びを実現できる。
STAGEを支える教員陣が充実しているのも特長だ。文部科学省が定める「学部等連係課程制度」を活用、学部などの枠を超え、世界を知る教員たちがチーム体制で手厚く指導にあたる。少人数クラスのゼミを必修科目とするため教員と学生の距離が近いのも魅力といえる。
卒業後の進路は、商社・貿易・各種製造・販売など企業の国際部門、報道機関などのグローバルに活躍する民間企業、行政機関や地方自治体、非政府組織(NGO)などの各種団体、国家公務員を目指した大学院進学―などが想定されている。

複数の言語圏への留学必須

今年4月に開設した「グローバル教養学環(STAGE)」

甲南大学のグローバル教育の歴史は古い。1976年の「甲南・イリノイセンター」(現在の国際交流センター)開設までさかのぼり、同センターと94年に開設された「国際言語文化センター」との両輪で取り組んできた。
2015年からは所属学部を問わず、すべての学生が語学力や国際理解力を養う「融合型グローバル教育の推進」を掲げ、世界とつながり学びたいという学生の意欲を後押ししている。経済学部に海外大学の学位も取得できる制度(ダブル・ディグリー)があるほか、経営学部やマネジメント創造学部にもグローバル教育のプログラムがある。
確かな実績があってこそのグローバル教養学環の誕生。同大学の学部やセンター、海外の協定校、そして社会と連携した学びの「環(わ)」として、豊かな学びを提供していく。

進化型理系構想

時代ニーズに応じた人材育成

岡本キャンパスに2027年完成予定の新しい理系棟(イメージ図)。

理系3学部(理工、知能情報、フロンティアサイエンス)では26年度、理工学部に「環境・エネルギー工学科」を新設予定など、「進化型理系構想」への取り組みを進めている。
その意図は時代ニーズに応え、社会が求める人材を輩出することだ。大学開設当初からの伝統と確かな教育・研究力による正統派理系のベースを保ちつつも、グリーン社会の実現など成長分野を中心とした需要に即応する体制を目指す。
環境・エネルギー工学科では「科学で持続可能な地球の未来を創る」を基本理念として、グリーン分野などの研究開発に貢献。太陽光発電、バッテリー、水素、資源・カーボンニュートラルなど、次世代の環境・エネルギー産業の重要分野で活躍する人材を育成する。

27年、岡本に新理系棟完成予定

2階吹き抜け部分

また、理工学部の物理学科と機能分子化学科を、それぞれ宇宙理学・量子物理工学科と物質化学科に名称変更する予定で、工学・応用分野を強化する。
フロンティアサイエンス学部生命化学科では、先進科学コースに、創薬専攻▽医療専攻▽先端材料専攻▽化粧品・食品専攻―の4専攻を設置。「神戸医療産業都市で学び、研究する」という特徴をより分かりやすく可視化する。さらに、知能情報学部では、新設のデジタルツイン研究所と連携して最先端の研究を教育に生かすなど、ほかの学部・学科も学びの内容をリニューアルする。
27年には岡本キャンパスに新しい理系棟が完成予定。理系学部の進化する姿を強く打ちだす。

リカレント教育にも注力

起業、語学、金融など開講

リカレント教育プログラムは、基本1年の期間で組まれ開講している

さまざまな世代の人が「学び直す」リカレント教育にも力を入れる。目指すは、若者だけでない、学びの徒が集う「マルチステージキャンパス」の実現だ。
「人生100年時代の学びプログラム」は本年度、大人の自己探求▽ネクスト・キャリアをどう生きるか―など5コースが用意され、受講生は1年にわたって学ぶ。もちろん、前期・後期試験もある。
受講生は図書館で調べものをしたり、学食で昼食をとったり、キャンパスライフを謳歌(おうか)している。
「ソーシャルビジネス・アントレプレナー育成プログラム」は、実践型の起業家育成プログラムが人気を集める。
「グローバルリテラシー教育プログラム」は本年度に新設し、英語ネーティブ教員による指導で、国際対話能力を養う。
「金融リテラシー教育プログラム」は来年度から本格的に開講するが、本年度後期よりプログラムの一部をプレ開講する。
「ソーシャルビジネス」「金融リテラシー」は、6月28日まで受講生を募集している。

学長に聞く

「彩り教育」で個性磨く

―教育理念は。

中井伊都子学長

甲南学園の創立者である平生釟三郎(はちさぶろう)が開学にあたり掲げた教育理念「人物教育の率先」は、105年たった今も輝きを放っています。専門教育と全学共通教育、クラブ・サークルや留学、ボランティアなどの正課外教育の三つのバランスが取れた「人物教育」が、本学が実践している教育の在り方です。

―4月に設置された「グローバル教養学環」や始動した「進化型理系構想」の意義は。

前者は予測困難な時代に世界基準で考え、グローバルに、あるいはローカルに活躍する人材を育てたいとの思いから誕生しました。グローカル人材を育成してきた本学の特色をより鮮明にした学びのステージです。
後者は8学部14学科1学環・約9千人の学生がさまざまな分野で学び合うことができる「ミディアムサイズの総合大学」の本学において、理系の魅力をさらに高める取り組みです。2026年度、理工学部に「環境・エネルギー工学科」を設置、既存の学部・学科もリニューアルするなど3学部6学科が、社会のニーズに対応した〝進化〟を目指します。
さらに、さまざまな年代や国籍の方々も本学で学ぶ「マルチステージキャンパス」化を推し進めます。また、昨秋設立された「大学都市神戸産官学プラットフォーム」の中で、神戸で学ぶ魅力の創出にも取り組んでいきます。

―受験生にメッセージを。

一人一人の個性に合った学びがきっと見つかる「彩り教育」は、将来の方向性にさまざまな可能性の扉を開く、本学独自のプログラムです。本学で「天賦の才」を育て、個性を力にして、未来を切り開いてほしいと願っています。

在学生からのメッセージ

幅広い学びで成長実感

経済学部 経済学科4年 馬場一瑛さん

就活生のサポート体制が充実していることや、正課外教育の一環として、学生の学力以外の力を大学が評価認定する「サーティフィケイト制度」が設けられていることに魅力を感じ、進学しました。経済学部で環境経済を学んでいますが、自分の学部以外の科目を幅広く履修できるのが大きな魅力です。さまざまな選択肢が用意された「彩り教育」で成長を実感することができます。大学が大き過ぎず、少人数制の授業やグループワークが多く、先生方が親身になって教えてくれるので、より深い学びができていると感じています。オープンキャンパスの企画運営、新入生向けパソコン講座のスタッフ、後輩に学習支援を行う「ラーニングアシスタント」など、学内でさまざまなサポート業務に携わりました。将来もこの体験を生かせる仕事に就きたいです。

大学概要

住所 岡本キャンパス=神戸市東灘区岡本8の9の1
西宮キャンパス=西宮市高松町8の33
ポートアイランドキャンパス=神戸市中央区港島南町7の1の20
アクセス 岡本=阪急岡本駅徒歩10分
西宮=阪急西宮北口駅徒歩3分
ポートアイランド=ポートライナー計算科学センター駅徒歩3分
学部
(2025年度定員予定)
文学部(405人)、理工学部(155人)、経済学部(345人)、法学部(330人)、経営学部(345人)、知能情報学部(120人)、マネジメント創造学部(170人)、フロンティアサイエンス学部(45人)、グローバル教養学環(25人)
教員 教授177人、准教授47人、講師12人、助教1人
在学生 8924人(5月1日現在)
ホームページ https://www.konan-u.ac.jp/

 

TOP